捕獲の様子は極めて残酷 研究用に輸出・繁殖させられるインドネシアのサルたち
2022年2月、JAVAは、協力関係にある世界中の霊長類のための活動を行う「Action for Primates」(拠点:英国)から、インドネシアにおける研究用にするカニクイザルの捕獲と輸出・繁殖をやめさせるためのキャンペーンへの協力を求められました。
輸出され、研究や毒性試験の犠牲に
2021年、インドネシア政府は、研究・実験産業に用いるために、野生のカニクイザルの捕獲と輸出の再開を許可しました。2,000頭以上の野生のサルを捕獲・輸出することになり、すでに数百頭が捕獲され、生息地から連れ出され、家族や群れから引き離されています。
捕獲されたサルたちは輸出されて研究や毒性試験に使用されたり、繁殖に利用され、その子孫が研究用に輸出されたりします。
輸出先は、主に米国と中国の研究所です。インドネシアが提出したカニクイザルの輸出総数データによると、2020年、中国に2,793頭、米国に120頭のカニクイザルを輸出したことが示されています。
2021年に研究用の捕獲が再開されたことにより、2021年の輸出数はまだ公表されていませんが、これまでより多くなり、今回問題としている野生で捕獲されたサルも含まれると予想されます。
乱暴な捕獲方法
サルたちは大きな網の中に捕えられ、強引に網から移動させられる際、尻尾をつかまれて引きずり出されることもしばしばで、これは重度の脊髄損傷の危険があります。
また、捕獲者に足で踏まれて地面に押さえつけられ、両腕を背中に回され(これは脱臼や骨折にいたる可能性もあります)、首を掴まれて移動させられたサルもいました。子ザルたちは母ザルたちから無理やり引き離されました。そして、サルは頭から袋に投げ入れられるか、複数が同じ木箱に詰め込まれました。
捕えられた1頭のオスザルが棒で殴られて傷つき、フラフラになったところを尻尾を引っ張られ、押さえ付けられ、ナタで喉を切られて殺されたということもありました。捕獲者たちはサルを扱っている間、笑ったりジョークを言ったりしていました。
このような残虐で非人道的な扱いは、「国際霊長類学会(International Primatological Society: IPS)」が出している動物福祉ガイドライン「霊長類の入手、飼育、繁殖に関するIPS国際ガイドライン(IPS International Guidelines for the Acquisition, Care and Breeding of Non-Human Primates)」の明らかな違反であり、容認できるものではありません。
その残酷さ、悲惨さはAction for Primatesが公開した動画をご覧いただくと一目瞭然です。
※動画は日本語字幕付き。字幕翻訳:JAVA
当局の言い訳
インドネシア当局がサルを捕獲する理由とする、よくある言い訳は、住民や農民とサルとの間に衝突があるというものです。しかし、この「衝突」と言われていることは、人間が野生動物の生息地へ侵入し続けていることが原因であり、サルたちは繁殖するため捕獲しても解決にはならないことは明らかです。
サルを捕獲して研究用に輸出したり殺したりするのではなく、サルを人里に引き付けてしまう森林伐採や食品廃棄物の処分といった、衝突を引き起こしている原因となっている問題に対処するよう、Action for Primatesは当局に要請しています。
オンライン署名に賛同を
JAVAは、3月28日、インドネシアのシティ・ヌルバヤ・バカール環境林業大臣とヘリ・アフマディ駐日インドネシア共和国大使宛に、ただちにカニクイザルの捕獲、研究用の輸出・繁殖を禁じることを求める文書やメールを送りました。
また、このおぞましい虐待をやめさせるために、Action for Primatesはオンライン署名活動を行っています。ぜひご賛同ください。(署名のページは英文です。趣旨の和訳や署名方法の日本語での説明はJAVAのウェブサイトに掲載しています。プライバシーポリシーはリンク先の署名サイトのポリシーが適用されます)
(次回は7月11日公開予定です)
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