【弁護士が解説】ウクライナ避難者の愛犬 成田空港での留め置きについて
ペット関連の法律に詳しい細川敦史弁護士が、飼い主の暮らしにとって身近な話題を法律の視点から解説します。今回は、狂犬病予防接種について紹介した最新記事と関連し、「成田空港での犬の留め置き」についての話です。該当記事と併せてご覧ください。
ウクライナ避難民の愛犬が成田空港で留め置きに
狂犬病予防接種についての原稿を書き上げた後、戦禍を逃れて飼い犬を連れて日本に入国したウクライナ人が、成田空港の検疫所で検査のために犬を留め置かれ、さらに待期期間180日の費用として約54万円を負担するよう通知され、非常に困っているとのニュース報道がありました。
「狂犬病予防法令」に基づいたもの
180日の待期期間は、狂犬病予防法令に基づく手続です。
「6月中に飼い犬に接種を 法律的観点から、改めて『狂犬病予防接種』を知る」で見てきたように、日本が狂犬病の水際対策を徹底してきた歴史や、狂犬病が発生したときの社会に与える影響が甚大であることから、数年毎に数名の狂犬病発症例が確認されているウクライナからやってきた犬について、他の犬と異なる特別な取り扱いを相当とする理由は見出しがたいと思います。
人道支援は、飼育費用の援助という形で
一方で、待機期間中の世話代や食費を飼い主負担とすることやその具体的な金額については、法令上の根拠は見当たりませんでした。
他国の情報をみても、ウクライナから逃げてきたペットの検疫について、飼い主に費用負担をさせない取扱いが見受けられます。避難民である飼い主に対する人道支援は、費用負担の減免や、費用援助という形でできるかを検討するのが妥当だろうと考えます。
なお、約54万円のほとんど、180日×3000円と言われている世話代の部分は、飼い主から民間の委託業者と契約してもらう形式で、国は関わらない形のようです。国が委託業者に特別に無償でやれとはいえないでしょうから、飼い主に費用を支援する形が現実的だろうと思います。
(4月17日地点の情報に基づきます)
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