写真から伝わる猫の気持ちがいとおしい 沖昌之さんの写真集シリーズ第3弾

穴にはまる猫
『必死すぎるネコ~一心不乱篇~』より (沖昌之撮影、辰巳出版提供)

 猫写真家の沖昌之さんによる大人気写真集『必死すぎるネコ~一心不乱篇~』(辰巳出版)が発売され好評です。これまでに「必死すぎるネコ」シリーズは累計8万部を記録。第3弾となる本作も、魅力ある写真にあふれています。今回の帯には猫好きで知られる藤あや子さんの「猫は我が師匠!」の言葉。撮影エピソードや本に込めた思いなどを、沖さんと担当編集者に聞きました。

(末尾に写真特集があります)

猫に頭が上がらない

立ち上がる猫
『必死すぎるネコ~一心不乱篇~』より (沖昌之撮影、辰巳出版提供)

 目をまん丸にして落ち葉をつかもうとしたり、大ジャンプをして仲間に覆いかぶさろうとしたり、驚いた形相で物陰から何かを見たり……。

 ぺージをめくるたび、猫ってなんでこんなに一生懸命なの?という思いがこみ上げます。と同時に、沖さんはなぜいつもこんな瞬間に出会えるの?という興味も湧いてきます。

 でも実は、いつも撮影がスムーズ、とは限らないようです。

 たとえばこの記事の冒頭の、くぼみに猫がはまって、なぜか楽しそうに尾をペロペロなめている1枚。どうなってるの?と思うような変わったポーズですが、沖さん自身、「撮れるとは思わなかった」のだそう。

「くぼみの猫の写真は、テレビのロケで久々に訪れた香川県の佐柳島で撮れた1枚です。何度も訪れて何度もよい瞬間に出会えている島なので、心のどこかでロケが滞りなくうまくいくと勝手に思い込んでいたのですが、本当に撮れなくて、すさまじくテンションが落ちていた……その時にこの“シーン”に出会えたんです!僕はそんなところにくぼみがあることを知らなかったし、そのくぼみにはまって猫が遊んでいたのが奇跡的でしたね」

 くぼみにはまっていた猫は、撮影クルーがいたにもかかわらず、集中力を切らさず、いろんなことをしてくれたのだとか。そのため沖さんは「この子には頭が上がらない」と言います。

ベビーカーと猫
『必死すぎるネコ~一心不乱篇~』より (沖昌之撮影、辰巳出版提供)

 猫がベビーカーのバッグをのぞく写真も、「何してるの?」と引き込まれる1枚。この写真も、沖さんとしては撮影が「簡単ではなかった」そうです。

「台湾の猫村『ホウトン』の1枚で、初めて台湾に写真を撮りに行った時ものものです。海外からの観光客も多く、人も猫もごった返していたので撮影するのが難しくて……それでも『せっかく海外に来たし何とか撮りたいなー』と、人にかまわれていない猫を探しながらウロウロしている時に、たまたま出会いました。見つけた時にはすでに猫はベビーカーに近づいていて、『何かしたらいいのになー』と思ったら、たまたまバッグをのぞいてくれて(笑)。夢中でシャッターを切りました」

 絶妙なタイミングで「何か」をしてくれたこちらの猫にも、沖さんは頭が上がらない様子。

「ねこの最高にかわいい瞬間に立ち会えて、しかもカメラを構えてそれを撮影できるって奇跡だなって、しみじみと神さまに感謝することがたまにあります」

 こうあとがきにつづられているのですが、おっとりしながらも瞬間を逃さないところが、沖さんのすごさなのでしょう。

驚く猫
『必死すぎるネコ~一心不乱篇~』より (沖昌之撮影、辰巳出版提供)

外の猫を皆で見守りながら

 ところで、このシリーズはすべて屋外の猫を撮影したものですが、沖さんは、外猫や地域猫をお世話するボランティアさんと、話をすることがしばしばあるそうです。

「猫のお世話をされているボランティアさんや地域のみなさんのご理解があって、僕は写真が撮れているので、感謝しています。ボランティアさんからは、『あの子は食事をきちんと食べていたよ』などコンディションのことを聞き、僕は『さっきあの子はこういうことをしていた』とか様子を伝え、お互いに見ることのできない時間の“穴埋め”のような会話をすることが多いですね」

 こんなふうに猫を見守りつつ撮影をしている沖さんですが、とにかく大事にしているのは「その子らしさが見える瞬間」をきちんと撮ることだといいます。

「猫は寝ていることや、どこか遠くを見てボーッとしていることの方が多いので、そういう時は撮りたいと思う気持ちをおさえて、猫優先。撮影に固執せず諦めています」

ネットに張り付く猫
『必死すぎるネコ~一心不乱篇~』より (沖昌之撮影、辰巳出版提供)

猫の内面が映し出されている

 第1弾、2弾に続き今回も編集を担当した辰巳出版の小林裕子さんは、沖さんの写真の魅力について、こう分析します。

「いちばんの魅力は、猫の内面が映し出されているところだと思います。『それが好きなんだな』とか、『どうしても我慢できなかったのね』とか、『かまってほしそう』といったわかりやすい心情はもちろん、『いったいどういう思考回路でそうなったの?』という状況も含め、写真から伝わってくる猫の“気持ち”がいとおしくなります」

 あとがき以外に文書はなく、“写真のみ”。それも本書の特徴です。

 小林さんが続けます。

「本シリーズは、これまでも今作も、キャプションを一切つけていません。猫たちの気持ちを想像して、みなさんも自由にセリフをつけながら楽しんでみてください!」

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「必死すぎるネコ~一心不乱篇~」
著者:沖 昌之
発行:辰巳出版
定価:1430円(税込み)
160×160mm、96ページ、オールカラー
(画像をクリックするとアマゾンにとびます)

藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は18歳の黒猫イヌオと、4歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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