想像以上に可愛い猫のしぐさを写真絵本に 外猫の暮らしにも思いをはせてほしい1冊
『必死すぎるネコ』『ぶさにゃん』など表情豊かな猫の写真で大人気、インスタフォロワー数が25.8万人の猫写真家、沖昌之さんの写真絵本『いない いない にゃあ』(講談社)が発売されました。子どもと、かつて子どもだった人々を“笑わせてくれる”絵本にはどんな思いを込められているか。沖さんの秘めたる気持ち、そして編集を担当した新井公之さんが明かす思いとは?
まずは沖昌之さんに伺いました。
――表紙からして、インパクト大ですね、目を閉じて赤い舌を出して……。
「そうなんです!じつは今回の本の表紙には、長年の思いが込められているんです。表紙の子はぼくが猫写真家になるきっかけをくれた猫 『ぶさにゃん先輩。』なんです。自分にとってはスペシャルな猫の1匹だったので、写真を撮り始めた頃から、機会があれば表紙にしたいって思い続けたけども、なかなか夢をかなえることができず……何と7年以上経ってやっと今回、成就しました」
――『ぶさにゃん先輩。』に背中を押され、猫を今まで撮り続けてきたわけですね。この絵本にも思いが詰まっていそうです。
「あの頃から、猫は自分の想像以上のしぐさをたまにしてくれて そのたびに、やっぱり猫は可愛いなーという思いを募らせながら、今まで撮り続けてきました。本書では、その可愛い!って思える瞬間を、いないいないにゃあの 『にゃあ』の写真で表現しています。もちろん『いない いない』の部分も可愛いので、ぜひ楽しんでくださいね」
見て見て見まくった
本書の担当編集、新井さんには、企画の背景を伺いました。
――“いないいないばあ”をテーマにしたいきさつは?
「沖さんの写真集が好きで、よく見ていました。杭に抱きついた立ち姿で顔が隠れている写真(今回も使用)を見て、そのしぐさが可愛くて釘付けになったのですが、この猫はどんな顔をしているんだろうと気になりました。猫が杭から顔をのぞかせている写真があれば『いない いない ばあ』だなあと思ったら、写真の前後にそんな写真がありました。他にも面白かったり、可愛かったりする表情の前後に顔が隠れている写真があれば、そして、たくさんの猫の『いない いない ばあ(にゃあ)』の組み写真がそろえば、本ができる!と思い、すぐに沖さんに連絡をしました。しかしそう簡単ではありませんでした(笑)」
――どんなご苦労があったのでしょう。
「沖さんに相談をすると、いいなあと思う猫の写真はほぼ連写しているというので、撮影した全ての写真をお借りしました。それがすごいデータ量で、ハードディスクが4台。気の遠くなるような膨大な量の猫写真が入っています。1時間見ても3日分くらいの写真しかみることができないのですが、それが数年分(笑)。沖さんはそれだけ猫と向きあっているということですね。でも、可愛かったり、面白い表情の『にゃあ』があっても顔が隠れている写真『いない いない』はなかったり、『いない いない』の写真はあったのに顔がフツーだったり。今年のゴールデンウィーク中、コロナでどこにも行かれない間、沖さんの猫写真を見て見て見まくって組み合わせを探す真剣な長い旅(作業)をしました(笑)」
可愛い存在だけではないことも忘れずに
――あらためて、沖さんが撮る猫写真の魅力を教えてください。
「魅力は“思ってもみない表情の猫”をたくさん撮影されているところにあると思います。その表情は家猫とは少し違う外猫の「ある種の自由さ」を感じます。もちろん、家猫も面白い表情を見せることはありますが、バリエーションの豊富さというか、突き抜け方とかが、沖さんの写真の猫の表情にはとても新鮮さを感じます。ウチの猫は可愛いに決まってますが、ウチの猫は決して見せない表情が沖さんの猫写真にはあります!」
――どんな世代にこの絵本を読んでほしいですか?
「もちろん、お子さんとその親御さんには、『この猫、どんな鳴き方なんだろうね』といったお話をしながら、一緒に『にゃあ!』と鳴きながら声を出して読んでほしいな、と思います。書いてある通りに鳴かなくたっていいですよ。自由に私はこんなふうに鳴いていると思う、と思うままに鳴いてください!」
「大人も楽しめる絵本だと思うので、多くの世代の方に楽しんでほしいですが、外猫たちが『耳がカットされているな』とか『河原で遊んでいる猫はどんな生活をしているのかな』とかいったことにも、少しだけ思いをはせてもらいたいな、とも思います。ただ可愛い存在だけでなく、この猫たちは生きているんだ、ということは忘れないでほしいです」
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