2匹の黒猫兄弟を迎えたカップル トイレ問題や病気を乗り越え「とにかく可愛い」

2匹の黒猫
パン君(手前)とネロ君(あいみさん提供)

 猫好きな漫画家カップルが、同居を機に黒猫の兄弟を迎え入れました。保護猫カフェに3年も滞在した猫でしたが、2匹と出会ったふたりは、「兄弟一緒に迎え入れたい」と熱望……思うように懐かなかったり、病気が見つかったりもしましたが、その都度ふたりで向き合い問題をクリア。猫の漫画も描いているふたりに、いとしい2匹について伺いました。

(末尾に写真特集があります)

保護猫カフェで3年を過ごした

「黄色い目の子がパン(愛称パンパン)、緑がかった目の子がネロです」

「推定7歳の兄弟ですが、すごく甘えん坊です。今では両方とも(笑)」

 千葉県に暮らす、漫画家・イラストレーターのあいみさん(26歳)と、同業のパートナー真利子利真さん(26歳)が、2匹の美しい黒猫を紹介してくれた。

 2匹を迎えたのは2018年5月。

 同居を始めた数カ月後に“いい出会い”があったと、あいみさんがいう。

「私も彼も実家で猫を飼った経験があり、いつか飼いたいなと思っていました。それで、引っ越し先は猫可物件を選んでいたのですが、春ごろに浦安駅で、浦安市内にある保護猫カフェのポスターを見かけて。『うちに迎えられるような子がいるかな』と、ふたりで出かけたんです」

 そこにいたのが、パンとネロの兄弟だった。

2匹の黒猫
家に迎えて1週間の頃(あいみさん提供)

 2匹のことが「気になった」と、利真さんが当時を振り返る。

「ネロはとにかく人懐こかった。でも一方のパンパンはケージにいて触ることができず……。兄弟で別々にいるんだ、可愛い半面ちょっとかわいそうだなと思い、印象に残ったんです」

 じつはネロは、一度、カフェからトライアルに出たのだが、鳴き続けて飼い主が根負けし、戻ってきた。パンはシャイすぎたせいか、声がかからず、トライアル経験もなかった。

 あいみさんと利真さんはいったん家に戻り相談。その頃はコロナ禍の前で、外に仕事にいっていたので、「1匹より2匹の方が留守番もさみしくないし、兄弟ならいいね」と、パンとネロを一緒に迎えることで意見が一致。申し込みをしたのだった。

 利真さんが続ける。

「一般的には婚姻関係にないカップルだと譲渡は難しいかもしれないですが、2匹を保護していた『猫の館ME』の代表が僕らと面談して、信頼して下さり、2匹を委ねてくれることになりました。ありがたかったです」

閉ざされた心が劇的変化

 こうして黒猫兄弟は、そろって保護猫カフェを卒業して家に迎えられた。

 だが、ことはそう簡単ではなかった。パンはふたりの想像以上に“人が苦手”だったのだ。

「最初は2匹ともケージに入れたけど、パンパンは超シャーシャーで近づこうものなら中から手を伸ばして引っかこうとしていたよね」

「1カ月してケージから出すと、ネロはすぐなじんだけど、パンパンは私たちのいる部屋の反対の部屋にさーっと逃げちゃって」

2匹の黒猫
「どっちがどっちかわかるかな?(左がパン君)」(あいみさん提供)

 3カ月経っても半年経ってもパンはふたりを避けたので、「家で暮らしてる間、触れないかも」という思いもよぎった。それでもふたりは、じっくり構え、歩み寄りを続けた。

 仲良くなる手段がないかと考え、思いついたのが、“長い猫じゃらし”で体に触れること。

「私たちの手ではなく、棒の先に肉球のオモチャがついた長い猫じゃらしで、パンパンの顔に触れるようにしました。初めは逃げたけど、徐々に“棒越し”のナデナデを受け入れるようになってきて……棒を少しずつ短く持つようにして、距離を縮めたんです」

「触われるようになったのは、家にきて1年後くらいかな。急にひざに乗ってきた瞬間、たぶん僕らは泣いていたと思う(笑)。“たったの”1年で触らせてくれるなんて感動的だった」

 ふたりのおおらかな愛情が、パンパンの心を開いたのだろう。変化はどんどん起きた。

「パンパンはなでられるのが気持ちいいと覚えてくれたと思うのですが、(うれしいのか)なでるとゴロゴロいってヨダレも垂らすようになって(笑)。しばらくすると止まりましたが、その後、なでて~と自ら“なでられ待ち”をしたりひざに乗ったり、信じられないほどの甘えん坊に変身したんです」

2匹の体調をその都度ケア

 パンは元々尿路結石になりやすい体質で、初めはその対策にも追われたという。

「パンパンはペットシーツにしかおしっこをしないのですが、部屋のあちこちでおしっこをするので、気づけば、おふとんもびしょびしょ。ソファも2回買い替えました。仕事から戻ると、『ああ、またぬれてる~』みたいな日が続き、猫の館MEさんにも相談をしました」

 外に近い窓の下でマーキングのように尿をかけることがあったり、ふとんなど柔らかな場所をトイレと間違えているかもしれないので、「トイレの場所は窓辺」と決めた。

 そしてペットシーツを前よりたくさん重ねたり、そのシーツの下にブランケットなどを入れてフワッとさせる工夫をすると……お悩みの尿問題は解決したそうだ。

甘える2匹の黒猫
あいみさんのひざで甘える2匹、上がパン(あいみさん提供)

 一方のネロは、人見知りもなくトイレの問題もなく手がかからなかったが、家に来て1年半くらいして、持病が見つかったという。心筋症だった。

「前よりオモチャで遊ばなくなってきて、食欲も落ちてきたなと思って動物病院で調べたら、心臓が厚くなりやすく、疲れやすいとわかったんです」

 手術の必要はないが、心臓の壁が厚くなるのを防ぐ薬を与え、心疾患によいとされる療法食に替えることが必要だった。ふたりは慌てることなく、ネロの状態を受け入れた。

「2匹それぞれ食べるフードが変わるので、ちょっと大変でしたが……。パンパンは尿結石防止用で、ネロは心臓病対策用。同じ部屋ではいっと同時にあげて、どちらかが違うのを食べようとしたら、ダメ!と見張っています(笑)」

 一見すると、2匹のケアは大変そうだが、あいみさんも真利さんも、笑顔で話す。

「不安もあったけど、その都度、できることをしてきましたね。今はトイレもちゃんとするし、ごはんもしっかり食べるし」

「よく遊ぶし、2匹とも健康そうだし……とにかく可愛いよね」

漫画でふたりの笑顔もますます増えて

 ところで、あいみさんと利真さんのふたりは漫画の専門学校で知り合ったカップルで、猫を迎える前の会話は漫画やイラストのことばかりだった。でも猫を迎えてからは、話題はすっかり猫中心になったそうだ。

 ふたりとも猫のことを漫画に描くことがあると、あいみさんが教えてくれた。

「私は、パンパンとネロのちょっとした出来事を面白く描いて、気が向いた時にインスタ
に投稿しています。最初の頃の尿路結石のトラブルや、よだれのことも描いています」

漫画
あいみさんが描いたパンとネロの漫画(あいみさん作画、提供)

 一方の利真さんの絵は、かなり違うタッチだ。

「僕も日常のことを描いていますが、どちらかというと“ギャグ寄り”で、飼い主だから許されるような、ちょっぴりこばかにしたようなものをツイッターに載せています。彼女には、クセが強いと言われていますけど(笑)」

漫画
味のある真利子利真さんの漫画(真利子利真さん作画、提供)

 描き方こそ違うが、ふたりの絵には2匹への愛がいっぱい詰まっている。ふたりでお互いの絵をみて笑い合うこともあるそうだ。

 今年の5月が来れば、家に迎えて4回目の記念日。

 2匹への思いや願いを聞くと、あいみさんと利真さんが、それぞれこんなふうに答えてくれた。

「私は、ネロがパンパンにもう少し優しくしてくれるとうれしい。今はパンパンも私たちの布団に入ろうとするのだけど、ネロが焦って追い出そうとするので(笑)、みんなで一緒に寝たいなあ。とにかくずっと健康でいてほしいです」

「僕は、歩いている時や、椅子にもたれる時にパンパンを踏みそうになることがあるので、『ニャ(ここにいる)』とひと声かけて欲しい(笑)。今やすっかり甘えたさんで、音もなくいつしかそばにいるからね。もちろん、ネロともずっと仲良くいてほしい!」

 兄弟猫との楽しい生活が末永く続き、ふたりの絵の宝物もどんどん増えますように。

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藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は18歳の黒猫イヌオと、4歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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この連載について
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