4歳の愛猫、ベルをチーンして「おやつくださーい」できるかな? 楽しく練習中

ベルを押す猫
「おやつくださーい」技を習得しつつある?愛猫はっぴー

 一般的に猫はトレーニングができないと思われています。でも世の中には「お手」や「おかわり」のほか、ベルを連打するなど高度な“技”を習得したスーパーにゃんこもいます。刺激を受け、我が家の4歳のオス猫もベル鳴らしに挑戦することにしました。

(末尾に写真特集があります)

憧れのベル鳴らし 

「ご無沙汰しています。(うちの)テトは、お手を覚えました」

 先日、ラインでお便りと動画が届きました。送り主は以前、取材をさせてもらった広告カメラマンの吉田さん。動画には、にゃあ!と鳴きながらパパの手に前脚をのせる白猫テトちゃんの姿が。

 「お手」だけではありません。チーンと前脚で「ベル」を鳴らし、ごはんを催促するシーンもありました。

「お手」からの「ベル鳴らし」をするテトちゃん

「わー、アレを覚えたんだ~」と、私は思わず声をあげました。

 ベル鳴らしは、以前にペットフードの製造や販売を手がける「アイシア」のCMで、キジトラと白黒猫がチン、チンして話題になりました。

 その時、「世の中にはすごい猫がいる!」と驚きましたが、うちは無理だ、と遠い出来事のように感じていました。

 でも、テトちゃんには会ったことがあるし、自分の知っている猫が覚えたとなると別。とても身近に感じたのです。

ベルと猫の前脚
最初は前脚を持ってベルの上に。なぜか条件反射のようにベロが出るはっぴ

テトパパに教えを請う

 ベル鳴らしを覚えたテトちゃんは、3歳4カ月。その年齢になってから覚えられるなら、4歳3カ月のうちのはっぴーもいけるかも。ベルトレ、いくか!

 というわけで、早速テトちゃんと同じベルをネットで探しました(100均にもベルがありますが、ペット用の方がボタンが軽い)。せっかくなので、17歳10カ月の愛猫イヌオちゃんにも色違いを買いました。

 肉球マークの黒いボタンを押してみると、チ~ンと“ゴング開始”のよう。胸が高まります。

 ベルの説明には、①まずベルを置く②犬(猫)の手をベルに持っていく③上手に鳴らせたらご褒美、と書いてあります。ベル=おやつを“関連づける”わけです。

 吉田さんことテトパパは、「お座り」と「お手」を覚えてからベル鳴らしにトライしたそう。あらためて尋ねてみました。

 やり方は、以下の通り。

「ご飯の時、いつもならお皿にドライフードをざらざら~って入れていたのをやめて、『おすわり』と言いながら、腰を少し下に押して、座ることを教えました。座ったら、フードを1~2粒だけお皿に入れました」

 お手も同様で、『お手』と口に出して言いながら、手(前脚)をチョンと触る、とのこと。

「初めはチョンとされると嫌がりますが、たいてい触ると、手を少し上にあげるので、そのタイミングで手を軽くつかんで、その後またフードを1~2粒だけお皿に入れます。それを毎日、数回ずつ繰り返すと、10日から2週間でなんとなくできるようになりました」

 お手&お座りマスターの後、テトパパはネットでJuns Kitchenさんの猫がベルを鳴らす動画を見て、「これはテトにできるかも」と思ったそうです。

「最初はフードを1~2粒入れるたびに、私がベルを鳴らしました。たまにテトの手を取ってベルを押させて、その後にフードをあげました。やはり1週間くらいで覚えてくれましたよ」

「はっぴーもがんばれ~」連打をキメるテトちゃん

ベルの音が聞こえる?

 テトパパが、「おなかが減っているタイミングで教えるのがよいでしょう」とアドバイスをくれました。はっぴーは体重7㎏の食いしん坊なので、チャンスはけっこうありそうです。

 初日、食事の時に私がベルを鳴らしました。2日目、はっぴーの手を取ってベルの上に乗せてからごはんに。3日目、ベルを鳴らすとベロが出る。4日目、ベルを鳴らすと横を見る。

 5日目、あれ?音が聞こえてる?6日目、はっぴーがベルを後ろ脚で鳴らし……いえ、蹴りました。飽きちゃった?

 そういえばテトちゃんは、「もともと集中力がある猫」だと、パパが言ってました。はっぴーも、遊ぶ時は一生懸命だし、食べる時も目がキラキラ。その真剣さがベルを鳴らす行為に結びつくといいのだけど……。

猫とベル
思わず足蹴りでチーン「使い方が違うかにゃ」

犬と猫の違い

 テトちゃんのようにベルを鳴らす猫はSNSで他にも見かけますが、そう多くはいないようです。

 獣医師の白井活光先生にテトちゃんの動画を見せて、“犬との違い”を聞いてみると、こんなことを話してくださいました。

「もともと犬は、人の集落の周りで残飯などをもらう代わりに(集落を)危険な動物から守っていて、そこから人と犬との絆ができ、犬はその遺伝子を長年引き継いでいると考えられます。だから、犬は自分にプラスになることを積極的に取り入れるのでしょう。猫と人の関係はそういう背景ではないので、基本的には“ご褒美目的”のしつけは難しいのだと思います」

 しかし、漁師と船旅をともにしてきた猫などは、人からお裾分けをもらっていたようですし、「とくに近年は猫と人の距離がぐっと近づいているので、変化もあるかも」と白井先生。

「最近の歴史の浅い純血種(そこから派生した雑種猫)は、家庭内の伴侶動物として昔より自立していなくて、人に依存する部分が多くなっている可能性があり、そうなると、今回のようなしつけも可能なのかもしれません……。あと、猫は虫とかパンチしてそのあと食べることもありますが、もしかして、ベルを連打するのは、そんな本能的な慣習の延長なのかもしれないですよね」

 ……と面白い考察をされていました。

 猫のしつけは奥深いです。

 以前、防災のスペシャリストの辻直美さんが「うちの猫は笛をピッと吹くとハウスに入るよう訓練しました」とおっしゃっていて、しつけは災害にも役立つのだな、と感心したことを思い出しました。

 いずれにしても、無理させず楽しく。継続が大事なので、飼い主の根気が大事そうです。今は無理でも、絶対できないとは言い切れませんしね。

 そう思った矢先、はっぴー君がやりました。私がキッチンにいる時に「チーン」と、憧れの音が響いたのです。慌てて居間を見ると、空のお皿の横で、“鼻先”をベルにつけていました。

 いいよ、手で鳴らさなくても、鼻バージョンでも!

 音が鳴ったのが偶然かもしれないのに、私はほほ笑んでしまったのでした。いつかちゃんとできるようになったら、また報告したいと思います。

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藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は17歳の黒猫イヌオと、3歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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この特集について
ねこ飼い日記
古い魚屋の天井が崩れ、落ちてきた子猫「はっぴー」。その成長と、引き取った筆者との生活ぶりを同時進行でつづっています。
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