アナフィラキシーショック、発熱… 犬猫でも起こりうるワクチン接種後の副反応
病気やトラブルから犬や猫を守るため、飼い主さんにぜひ知っておいてほしい知識を、シリウス犬猫病院の院長、石村拓也獣医師が教えてくれます。連載16回目は犬や猫のワクチン接種後の副反応についてです。
ワクチン接種による副反応の症状
新型コロナウイルスワクチンの一般接種が急速に進んでいますね。しかし、それと同時に“ワクチン接種後の副反応”というワードも、ニュースで見かけない日はないと思います。
ワクチン接種は免疫反応を誘導し、恐ろしい感染症から体を守る効率的な方法です。しかし残念ながら100%安全とは言えず、ヒトと同じように犬猫もワクチン接種後に副反応が起こる可能性があります。
今回は犬や猫のワクチン接種後の副反応についてお話ししたいと思います。
ワクチンによるアレルギーは、大きく2つの症状に分かれます。
ひとつは命の危険性のある、接種後すぐに反応が現れる「即時型のアナフィラキシーショック:。もうひとつは顔が腫れるなど、しばらく経ってから症状がみられる「遅延型のアレルギー反応」です。
① アナフィラキシーショック
ワクチン接種後すぐに、けいれんや呼吸困難、急激な血圧低下など生命に関わる反応(アナフィラキシーショック)が見られることがあります。
症状が現れるのは、ワクチン接種から数分(1時間以内)のことが多いです。
- 嘔吐(おうと)
- 下痢
- 低血圧
- 頻脈
- 虚脱(ぐったり)
- 呼吸困難
など
② 遅延型のアレルギー反応
ワクチン接種後、症状が数時間で現れる遅延型のアレルギー反応。
- 顔周りや目周りが腫れる(ムーンフェース)
- 注射を打った部位が腫れる
- 皮膚の赤み、痒み
- 一時的な発熱
- 打った部位を触ると嫌がる、怒る、痛がる
- 元気、食欲の消失
- 下痢、嘔吐
など
アナフィラキシーに対する対処法
アナフィラキシーショックは一刻を争う緊急事態のため、飼い主のみで応急処置をしようとせず、早急に動物病院に連れて行きましょう。
緊急処置として気道確保、エピネフリン、輸液療法、抗ヒスタミン剤、ステロイドなどで治療を行います。いかに早くこれらの処置を行うかが大事で、早急に処置をしないと生命に関わります。
症状が早く出るほど重症になる傾向があり、迅速に適切な処置を行わないと死亡することもあります。できればワクチン接種後30分は動物病院内もしくは病院付近で様子を見てあげるといいですね。
ワクチン接種の際の注意点
アナフィラキシーショックは命への危険もあります。何かあったらすぐに病院へ連絡が取れ、症状への対処・処置ができる時間帯を考えると、午前中にワクチン接種をすることをおすすめしています。
主な注意点はこちら
- 体調の良い日にワクチン接種しましょう
- 何かあった時に対処しやすいように、午前中にワクチン接種をしましょう
- ワクチン接種後は、15分~30分ほど病院内で様子を見ましょう
- 帰宅後、体調の変化があった場合はすぐに病院へ連絡しましょう
また現在は、抗体価検査の利用も増加しています。
抗体価検査を実施することで、感染症に対するワクチン効果の保有状態を数値化して評価することができ、抗体があれば接種しない、なければ接種する、といった選択も可能となっています。
ぜひかかりつけの動物病院で相談してみてくださいね。
まとめ
ワクチン接種によるアレルギー反応、時には命に関わることあります。
副反応に関して正しい知識を持ち、ワクチン接種後の体調の変化によく注意し、ご家族もアレルギーについて正しく理解しておくことが重要ですね。
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