食べ物以外に植物も注意が必要! 犬や猫が食べてはいけない食べ物

 病気やトラブルから犬や猫を守るため、飼い主さんにぜひ知っておいてほしい知識を、シリウス犬猫病院の院長、石村拓也獣医師が教えてくれます。連載15回目は食べてはいけない食べ物についてです。

人間にとってはいいが犬猫にとっては害

 愛犬・愛猫は大切な家族の一員です。しかし、だからと言って食べる物も全く同じではありません。人間が普通に摂取するものでも、犬猫にとっては害になってしまう食べ物もあるのです。犬猫と暮らしていく上で、食べてはいけないものを把握しておくことはとても重要です。

 今回は、食べてしまうと中毒症状を引き起こす可能性がある食べ物についてご説明させていただきます。

犬や猫が中毒を引き起こす可能性があるもの

  1. ネギ類(タマネギ・ネギ・ニラ・にんにくなど)
    これらの食材に含まれる成分は、血液中の赤血球を破壊し貧血を引き起こすと言われています。生でも加熱しても与えてはいけません。煮汁なども気をつけましょう。症状としては、貧血、元気消失、嘔吐(おうと)、下痢、血尿、黄疸(おうだん)などが見られます。
  2.  チョコレート
    カカオに含まれるデオブロミンと呼ばれる成分には、心臓・中枢神経を刺激し、不整脈や心拍上昇などの症状や発作を引き起こす可能性があります。カカオ含有量の多いビターチョコレートなどには、特に注意しましょう。症状としては、嘔吐・下痢、興奮、多尿、けいれんなどがみられます。
  3. キシリトール
    キシリトールの摂取により、血糖を下げるホルモンであるインスリンが分泌され、低血糖を引き起こしたり、肝臓に障害が起きる可能性があります。
  4.  ぶどう・レーズン
    急性腎不全を引き起こす可能性のある果物です。中毒のメカニズムに関してはまだ解明されてないところも多く、中毒量も不明ですが、少量でも与えるべきではありません。食欲低下・元気消失・嘔吐下痢・腹痛・おしっこの量が減る・脱水などの症状が見られます。
  5. マカダミアナッツ
    多量摂取により、運動失調や後肢のまひを起こすことがあります。
  6. 生のイカ・タコ
    生のタコに含まれているチアミナーゼという酵素は、ビタミンB1を分解してしまいます。ビタミンB1が不足してしまうと、後ろ足のふらつきなど神経症状を起こしてしまいます。この症状は人間でいう脚気(かっけ)と同じで、江戸時代には多くの死者を出しました。特に猫は犬よりもビタミンB1の要求量が多く欠乏症になりやすいと言われています。生のイカやタコは与えないようにしましょう。
  7. 人間のクスリ(解熱鎮痛薬など)
    例えば、ヒトの風邪薬の70%以上の製品に含まれている“アセトアミノフェン”。犬猫では安全域が狭く、1錠飲んでしまっても中毒を引き起こすことがあるので気をつけましょう。
  8.  観葉植物(特にユリ科)
    猫にとってユリ科の植物は、非常に危険な観葉植物です。摂取が少量でも、急性尿細管壊死(えし)を特徴とする急性腎不全を引き起こし死に至ります。多くの場合致死性で、救命できたとしても慢性腎不全を患います。

 ユリの中でもテッポウユリ、オニユリ、ヤマユリなどは猛毒であり、例え葉っぱ1枚でも中毒が起こります。 ユリの葉、茎、花弁を嚙んだり、食べたり、花粉をなめたり、ユリを入れた花瓶の水を飲んでも同様な中毒を引き起こします。ユリのどの成分が中毒症状を引き起こすのかはいまだ解明されていません。症状としては、嘔吐、食欲不振、多飲・多尿などで、腎不全は摂取後24~96時間以内に発症します。

 摂取量にもよりますが、治療に対する反応は悪いです。食べたり、飲んだ直後であれば、直ちに嘔吐させるか胃洗浄を行うことにより救命できることもありますが、摂取させないことが第一でしょう。

 中毒を引き起こす危険植物は、700種類以上あると言われており、室内に観葉植物等を置く場合は十分な注意をこころがけましょう

犬猫は食べてはいけない食べ物
ネギ類、チョコレート、キシリトール、ぶどう・レーズン、マカダミアナッツ、生のイカ・タコ人間用の薬、観葉植物(猫は特にユリ科)に注意

病院ではどんな処置をするの?

 摂取した異物の種類や量、摂取後経過している時間によって治療法は異なります。

 催吐処置を行ったり、点滴で血液中の濃度を薄めたり、解毒剤を使ったり、吸着剤で吸収を抑えたり等の治療を行います。

動物病院の治療
動物病院では催吐処置や点滴で血液中の濃度を薄めたり、解毒剤、吸着剤で吸収を抑えたり等の治療を行う

まとめ

 犬猫が食べてはいけないものをあらかじめ、知っておくことは犬猫と暮らす上でとても重要です。もし中毒を起こす可能性がある食品や薬物を食べてしまった場合は、誤食したと思われる現物とその成分表などを持っていくと治療方針の目安となりますので、動物病院に持参するといいですね。

 もちろん誤食はないに越したことはありません。起きてしまってから対処するのではなく、出来るだけ起こさないように日頃から気をつけてあげましょう。

【前の回】誤食に注意! 犬や猫が飲み込んでしまうと危険なおもちゃ

石村拓也
獣医師。東京農工大学農学部獣医学科卒業。横浜市内の動物病院などを経て、2017年3月にシリウス犬猫病院開院。川崎市獣医師会、日本獣医皮膚科学会、耳研究会、日本獣医輸血研究会所属。

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