猫が「お土産」を家に持ち込む それは家族への愛情表現かも、叱らないであげて

 猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。今回も、入交先生が読者から寄せられた質問に答えます。

猫が「お土産」を持ってくる

 この記事が掲載されるころには、東京オリンピックは終わっていることと思います。次はパラリンピックですね。パラリンピックのチケットが当たっていたのですが、無観客になってしまいました。国立競技場の中に入れるチャンスでしたが残念です。でも仕方のないことですね。

 さて、今回もいくつかご質問をいただきました。ありがとうございました。

 Q1:この時期ベランダにセミが来るのですが、猫がセミを捕り部屋に持ち込みます。どうしたら、部屋に持ち込まないようになりますか? (そらさん)

 A1:猫がどこからかお土産を持ってくること、よくあります。虫の死骸が枕元にあった、小さなネズミの死体が玄関に置いてあった、など猫さんのご家族からよく伺うお話です。なぜどのような気持ちで持ち込んでいるのか、猫に聞かないと分からないのですが、猫は子育てをしているときに、子猫たちに獲物を持って帰ってきて、ハンティングの方法や、何を食べたらいいのかなどを教えています。

 今回のご相談のセミなどのお土産は、ご家族を子猫だと思ってもって帰ってはいないでしょうが、何らかの親愛の情であったり、大切な人だよというコミュニケーションのために行う行動なのかもしれないです。家族の皆さまが好きだからもってかえってきてそうな感じですよね。「戦利品」を見せてくれている猫さんに対して、「悪さ」をするために持ち帰っているわけではないので、叱りたい気持ちもあると思いますが、ぜひお仕事をした猫を叱らないであげてください。

「お土産」は愛情表現なのかもしれない

子猫が遊んでいると興奮してかんでくる

 Q2:初めまして。先月1カ月半の黒猫の子猫を保護しました。元々子猫の時に保護した9歳のキジトラ猫を飼っています。今回保護した黒猫は気性が荒くて、遊んでいると興奮して手や足、顔をかんできて困っています。遊んでいる途中で目が合うと、顔をめがけて飛んできます。かみグセを治すにはどうしたらいいですか?先住猫にも攻撃的です。(レオママさん)

 A2:元気な子猫を保護されたとのこと、やんちゃなのですね。子猫さんが興奮し始めたら遊びはやめて、クールダウンしていただくのがよいのですが、なかなかいつ興奮のスイッチが入るかわからないと思います。みていられない時や、かまってあげられないときには、勝手に飛びついてかみつく行動を覚えないように、ケージの中におもちゃなどと一緒に入れておき、一人遊びをさせてあげたらよいかと思います。様子を見てあげられるときやかまってあげられるときは、おもちゃを使って思いっきり遊んであげてください。

おもちゃで思い切り遊ぼう

 万が一遊んでいる時に手に飛びついたり、顔に飛びついてきたら、すぐに遊びを中断し、部屋を出て行って猫一人残してもよいかもしれません。落ち着いたころに戻ってまたおもちゃで遊びか、おやつを使ってケージに戻してもいいでしょう。

 先住猫との関係も、先住猫をいじめてしまうのであれば、監視できないときは子猫をケージに入れておくとよいでしょう。先住猫がケージの周りで新しい子に興味を示したら、先住猫におやつをあげます。新しい子猫はいい子だよ、ということを襲われることなく学ぶためです。

 「かみ癖」と書かれていますが、子猫がかんでくるのは遊びたい時だと思います。今回のアドバイスは、人と遊ぶときはおもちゃで遊ぶんだよ、と遊び方を教えてあげていく方法です。しかし、非常に興奮したり、何らかの恐怖があり、その気持ちを転嫁してご家族に攻撃的になることもあります。いずれにしろ、気持ちが高ぶると家族をかむような状況にさせてはいけないので、感情がコントロールできるまでケージなどで管理することを考えてください。

 今回もありがとうございました。

(次回は9月12日に公開予定です)

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【前の回】猫の歯磨きやブラシ、かまれて出来ない時 お手入れされるといいことがあると教えよう

入交 眞巳
獣医師。東京農工大学 特任准教授。どうぶつの総合病院・行動診療科主任。旧日本獣医畜産大学卒業後、米国パデュー大学で学位取得、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。アメリカ獣医行動学専門医の資格を有する。

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この連載について
ねことの暮らし相談室
 獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が、どうやって猫と幸せに暮らすかのヒントとともに、猫たちの困った行動への疑問に答えていきます。
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