真夏のエアコン取り換え工事、2匹の猫はどうする? 想定外の連続でパニック〈前編〉

 今年も暑いですね。四六時中、快適な室内で過ごすイエネコにとっては、“猛暑”の感覚はあまりないかもしれません。

エアコン2台取り替える間、猫はどうする?

 とはいえ、12年目のエアコンの寿命が気になる今日この頃。最近、エアコンの効きが悪いので、突然壊れたら一大事です。エアコンの効きが悪くなってきたことを管理会社に連絡すると、すんなり「リビングと寝室の2台を取り替えましょう」との回答が。

 これで安心だと、ホッと……いや、ちょっと待って? 2台のエアコン取り換えって、そのとき猫らはどこにいればいいの?

 7月半ばになり、ほとんどの日が最高気温30度を超える頃。工事は午前中なので、そこまで暑くないうちに終われそうですが……シミュレーションは必要です。

 夫に相談すると、「凍らせたペットボトルにタオルを巻いて、猫のそばにおいておけばいい」と、出所不明のアイデアを提案してくれたので、早速水を入れたペットボトルを冷凍庫に入れました。

 猫2匹をマンションの共用個室(エアコン付き)に大きめのケージごと持っていって、一緒にいようかとも思いましたが、かえってストレスになるだろうと却下。

 協議の末、猫にはリビングの隅の3畳分くらいの小上がり部分にいてもらうことにしました。業者さんが通ることはないし、2匹とも普段から好きな場所なので、問題ないはず。

 猫を端っこに追い立てて、つい立てでもおいておこう。私もそこに入って、一緒に過ごせば安心してくれるだろう。

 エアコンを取り付ける人はひとりだと聞いているし、ビビりのキジトラ猫・モモも、そこまでおびえないはず。頭の中のシミュレーションはバッチリ。のはずでした……。

キジトラ猫モモ
安心しているときのモモ

猫が逃げちゃった? パニックになる飼い主

 そして当日。ペットボトルはカチカチに凍っているし、準備は万端です。

 猫はずっと閉じ込めておけないから、チャイム音がしたら計画開始だ。

 すると、準備の整っていない9時前に「ピンポーン」。うそっ!予定より30分以上早い!早くても9時半、遅ければ10時半頃と聞いていたのに……。

 その時点で動揺して、もう予定通りにやれない嫌な予感が。モモは常にチャイム音にビビる猫なので、早くもうろたえています。

「モモちゃん、こっちおいで、モモちゃん」

 追えば追うほどダダ―っと逃げるモモ。いや、病院に連れていこうってんじゃないんだよ。家の端っこにいてほしいだけなんよ……。お願い。

 そうこうしているうちに、業者さんがやってきました。まぁひとりだし、なんとかなると扉を開けると……なんと、業者さんは2名。また話が違うー!

 あれよあれよとふたりの屈強な男性が入ってきました。パニックになったモモは、忽然と消えていました。

 ええーっ! シミュレーションまったく役に立ってなーい!!

 エアコン本体を運び込む人、壊れる寸前のエアコンを外す人、2人で連携して、テキパキと作業を始める業者さん。玄関もベランダも、作業がやりやすいように開けっ放しです。

 開けっ放し……これ、やばいんじゃ……。パニックになった猫が、外に出てしまうかも……。

 血の気がサッと引いて、モモを探しましたが、どこにもいません。私までパニックになり、「モモちゃん、モモちゃん……」どんどん泣きそうな声になっていきます。

 すると、子どもを外で遊ばせていた夫が来たので、「モモちゃんがいなくなっちゃったよぉ」と半泣きで訴えました。

 夫は冷静に、いつもモモが隠れる夫の机の裏側を探しました。すると「いたよー!」と。

 机の裏側を見ると、目だけをギラギラ光らせたモモの姿があり、心底ほっとしました。

「モモちゃん、ずっとそこにいるんだよ」

 そこにいろと言わなくても、モモは作業が終わるまで出てこられないでしょう。

好奇心旺盛な猫はその頃……

 その時、サビ猫のあんずは、キャットタワーの一番上にいました。好奇心旺盛なあんずは、業者さんの仕事ぶりをじっと見つめていました。よしよし、あんずもそこにいるんだよ。

サビ猫あんず
キャットタワーの上から見守るあんず

 作業が進み、再度キャットタワーを見ると、あんずの姿がありません。

 えっ!? あんずどこっ!??

「あんず、あんずぅ……」

 またパニックになった私は、あんずを探すと「にゃー」。すぐ近くにいました。モモ並みにパニックになりやすい飼い主です。

 もう気が気じゃなくて、この時点で了解をとって、玄関の扉は閉めさせていただきました。

 人見知りしないあんずですら、巨大な室外機の搬出入や、エアコン取り外しの大きな音に驚いて、身を低くして様子をうかがっています。

 ごめんよ……私がふがいないせいで、猫らに余計なストレスをかけてしまった……。計画性のなさを悔やんでも、今さら取り返せません。

 モモは身を隠したままだし、あんずだけでも、わたしのそばで安心してもらわないと!

「あんちゃん、ここにいるんだよ」

 そう言って、ナデナデ。あんずの好きな“コロコロ”(掃除用の粘着テープで毛づくろい)をやってあげました。あんずものどを「ゴロゴロ」鳴らして気持ちよさそう。

 しかし、そう長時間大人しくしていられる猫ではないあんず。怖がって身を低くしていたはずが、徐々に好奇心が勝っていき、そろーりと一歩を踏み出そうとしています。

サビ猫あんず
好奇心旺盛なあんず。じっとしていられません

「あんちゃん、ここにいてよぉ」

 だからといって、あんずを押さえつけてもいられないので、あんずの行動をずっと見守ることにしました。

 もう少しでエアコンの工事は終わりますが、このお話は終われそうにないので、この辺で次回に続いてしまいます。

(次回は8月19日公開予定です)

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安田有希子
2015年からsippoにて「猫アレルギーですけど」の連載開始。2匹の元保護猫と暮らして4年目に猫アレルギーが発覚するも、平和に暮らす。猫の好きなパーツは、小さく並んだ門歯。幼少の頃「うちのタマ知りませんか?」のすごろくに大ハマりした年代。栃木県出身。

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この連載について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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