「猫が僕を変えた」 音楽家が5匹の愛猫とのワンルーム暮らしを脱出し家を建てた理由

 猫たちの追っかけっこを2歩で終わらせたくない、ダダダダダーッとのびのび走らせてあげたい。そんな思いからワンルーム脱出を決断し、マンション購入、さらには一戸建てを建てるに至ったのが、“猫マスター”響介さん。

 現在、発売中の著書『下僕の恩返し 保護猫たちがくれたニャンデレラストーリー』(ビジネス社)では、猫のために間取りを考えるところから、業者とのやり取り、金額までを包み隠さず公開しています。

「猫がいなかったら今の僕は存在しない」と語る響介さんに、猫へのいっぱいの愛を語っていただきました。

(末尾に写真特集があります)

ワンルームで走る5匹に「みんなごめん」

寝そべる猫
新居の大きな窓辺の猫用ベッドで、気持ちよさそうに日なたぼっこ(画像提供:響介さん)

――猫を飼い始めたときはワンルーム暮らしだったとのことですが、猫と暮らすことで何が変わったのですか?

 以前の僕は、生きたいように自堕落に生きていたんです。今でこそ、“猫マスター”を名乗って、偉そうに「きちんと考えて飼ってください」と発信していますが、当時の自分は、勢いで飼ってしまった最低な猫飼いだったと思います。全力疾走もできないワンルームで、とても5匹の猫を飼うような環境ではありませんでしたから。「こんな最低のやつで、みんなごめん」と申し訳なく思っていました。

 猫と暮らすようになってからは、小さな命を預かっている責任感のようなものを意識するようになりました。SNSでは冗談っぽく「一緒に住まわせてもらっている」「一緒に過ごさせてもらっている」と下僕的な視点で書いているのですが、それは半分本気です。家を建てることも、この子たちがいなかったらかなわなかったと思います。

 実は猫と暮らし始めた頃は、楽器や機材への投資で借金がすごかったんです。しかも、「いつか返せばいいや」という、今思うとヤバイやつでした(笑)。もし猫がいなかったら、今も同じ部屋に住んで、借金もふくらんで、音楽的にも成長できなかったんじゃないかという思いもあります。

――音楽にも猫の存在が影響しているということですか?

 それは確実にあります。全然曲を書けずに悶々(もんもん)としていたら、猫が僕の目の前にあるキーボードの鍵盤に乗って、ポンと音を出したんです。何も浮かばないから、じゃあ、この音始まりでフレーズを考えようかな、次はこの音始まりで……とやっているうちに、バーッと曲ができて「ありがとう!」ということも。

 そうやって作った曲が、僕の仕事のターニングポイントにもなり借金も返すことができました。猫に劇的に人生を変えてもらったんです。

広い家に引っ越しても猫たちは……

――ワンルームからマンション、一戸建てと住む場所がどんどん広くなっていき、猫たちに変化はありましたか?

腕に乗る猫
広い家に住んでいても、結局、一番居心地がいいのは響介さんのそば(画像提供:響介さん)

 いい意味で変わらないでいてくれます。ワンルームから5LDKのマンションに引っ越したときに、部屋が増えたら死角が増えて、猫と触れ合う時間も減るんだろうなとちょっと寂しく思っていたのですが、引っ越してみれば全員がずっと僕の横にいる。トイレに行っても寝室に行っても、みんな付いてくるんです。それは、戸建てになっても同じです。

 新居でうれしいのは、幸せそうに日なたぼっこをする姿を見せてくれるようになったこと。最初に住んでいた部屋は日当たりが悪くて、1日1時間、8cmくらいの日差しが入るだけ。その日当たりを求めて、5匹みんなで日なたぼっこをするんです。

 マンションに引っ越してやっと日なたぼっこをさせてあげられました。ただ、マンションの窓は5匹が並ぶには狭かった。だから家を建てるときには、日当たりにこだわって、南向きに6mくらいある窓をつくり、そこにベッドと爪とぎを並べたんです。やっと5匹が並んで日なたぼっこをする姿が見られるようになりました。

猫といると、夢だった自分に近づける

――著書を通じて読者に伝えたいことはありますか?

 猫のためにここまでやれる男がいるんだぞ、ということですね。家を建てろとは言いませんが、みんなも猫に恩返しをしてね、という思いはあります。僕もそうですが、猫と一緒に暮らしている人はみんな、猫から幸せをもらっているはずです。だから、ちょっといいご飯をあげるのも恩返しだし、毎日のトイレチェックをするのも恩返し。

 そして、保護猫にももっと目を向けて欲しい。猫を飼うときに保護猫という手段があることを知らない人はまだまだ多い。僕の著書やSNSで保護猫という存在を知り、猫と暮らすきっかけになれば嬉しいですね。

 

猫の家
新居のこだわりのひとつがテレビ裏のアスレチック。上部には小窓があり、テレビと一緒に猫も眺められる(画像提供:響介さん)

――猫への恩返しは、これから先も続くのですか?

 僕は、猫と一緒にいると有言実行能力が高くなるんです。大学卒業時に、25歳までに音楽で食べていけるようになってマンションが欲しいと言っていたのですが、26歳のときにそれをかなえました。30歳でスタジオ付きの家を建てると言って、それもかなえました。夢だった自分に近づいていくんです。

 そして、次の夢は、35歳で無人島を買うこと。冗談だととられるんですけど、僕は本気です、無人島の真ん中に家を建てて、自然の中で走り回るという生活を猫と一緒に送りたい。今31歳なので、あと3年ちょっとしかないのですが、それを実現するために頑張っているところです。猫がいるから頑張れます。

響介(きょうすけ)
猫マスター/作編曲家/サウンドプロデューサー/ギタリスト/執筆家/ブロガー
ブログ「変顔猫リュックと愉快な仲間たち
インスタグラム @rikkufamily

下僕の恩返し 保護猫たちがくれたニャンデレラストーリー
著者:響介
発売日:2021年6月23日
出版社:ビジネス社
価格・仕様:1540円、208ページ、四六判
*書影をクリックするとアマゾンにとびます。
油科真弓
信州の山里で動物が身近にいる環境に育つ。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライター兼編集者に。雑誌や書籍、企業広報誌、ネットなどで編集・執筆を行う。猫と着物が好き。20年以上を共にした猫3匹を看取り、現在は保護猫3匹と生活中。人慣れいまいちの2匹を抱っこすることが、今の夢。

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