大切な人やペットを亡くした方に読んで欲しい 絵本『にじのはしからのてがみ』
6月に刊行された絵本『にじのはしからのてがみ』。虹の橋を渡った動物たちを描いたこの本が今、注目されています。
メイクアップアーティストでこの絵本の著者であるShihomiさんに、絵本を書き始めたきっかけや、絵本を通して伝えたいこと、また前作『くろねこのひじきとわかめ』についても併せてお話をお伺いしました。
友人の亡き愛猫の絵を描いたのが 絵本のきっかけ
「にじのはしからのてがみ」は、虹の橋を渡った猫ちゃんやわんちゃんがたくさん登場します。虹の橋から飼い主に『自分たちは元気だよ、にじのはしからずっと見ているよ』と語りかけています。
「コロナ禍での緊急事態宣言下で、本業のメイクアップアーティストの仕事もなくなり、自宅にいたときに、友人の愛猫の『わかめ』が亡くなって。その友人のために、わかめの絵を描きました。ステイホームの間、毎日毎日、描き続けていました」
Shihomiさんが絵を描くときに使ったのは、メイク道具の「ピグメント」というアイシャドウを細かな粉にしたもの。ファッションショーなどに使うために、自宅にたくさんストックしていたものがあったのだそう。そして、毎日描き続けた絵はかなりの枚数となり、個展をやろうと思い立ったそうです。
「アトリエに絵を貼っていたら、そこにはストーリーがあるなと思い、文字を入れて絵本にしてみました。それが1作目の『くろねこのひじきとわかめ』です。亡くなったわかめの絵だけでなく、自分の絵のテーマが『動物』と『虹』だったので、虹の橋を渡った、わかめの物語になりました」
本当に必要としている人に届けたい
大人のための絵本として、「死」に向き合っている人に読んでもらいたいと話すShihomiさん。
「生死の話って、簡単に周りに話せないですよね。人が亡くなったり、ペットが亡くなったりするときにぶつかる壁が誰にでもあると思うんです。そんなとき、この本が癒やしになるかもしれません。そういうタイミングが合う人、合う時、必要な人に届けられたらと願っています。絵本としては安い値段ではないし、買ってくれる人は、本当に必要としている人かなと思うので」
生死は簡単に話せない、だからこそ描き伝えたい
Shihomiさんご自身も、かわいがっていた実家の愛犬を亡くした経験をし、「死」というテーマは繊細で簡単に人に話せないからこそ、絵本で伝えたかったことがあるそうです。
「生活していて目に入るものには、すべて意味があると思っていて、その人に必要なものが目の前に現れると思うんです。生死の問題は難しい。みんな苦しんだり、悩んだりしていると思うのですが、生死の問題をもう少しポジティブに捉えられたら少し気持ちが楽になるかなと。
また、亡くなった人や動物は、そう願っているのではないかなと思うんです。亡くなってしまったら、こちらからは見えないけれど、向こうからは見えているのではないかと感じます。『見えないから一生会えない、いないから悲しい』って、見える方からしてみたらどうなのだろう?
こんな広い地球の中で、一緒に過ごせたというのはご縁。そして永遠に続くものはない。出会えたことに感謝して、前向きに考えて乗り越えていくしかないですよね」
自費出版で2020年11月に刊行した第1作目の『くろねこのひじきとわかめ』は、現在500部発行、今年6月に刊行した『にじのはしからのてがみ』は300部。その売り上げの一部は複数の動物保護団体に寄付されています。
「私自身、動物が好きで、2015年から動物保護団体でお散歩や掃除のボランティアをしたり、定期的に寄付をしてきました。現在は絵本の売り上げの一部を寄付しています。これからも絵本を通して、寄付活動を続けていきたいと考えています」
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8月14日から22日まで、大分県別府市にある美術館で個展の開催が決定。詳細は別府アートミュージアムへ。また、2022年1月に京都のレティシア書房のギャラリーで原画の企画展を予定しています。お時間あるかたはぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。
- Shihomi(しほみ)
- 絵本『くろねこのひじきとわかめ』『にじのはしからの てがみ』の著者であり、現役のメイクアップアーティスト。大分県出身。東京とParisを拠点にメイクアップアーティストとして活動していたが、2020年コロナ禍の緊急事態宣言をきっかけにメイク道具で絵を描き始める。2020年11月絵本『くろねこのひじきとわかめ』を初出版。2021年6月に増版と同時に二作目の『にじのはしからの てがみ』を刊行。幼少期から動物好きで、殺処分をなくす活動として、動物保護団体でのボランティアや寄付に繋がる制作を行っている。
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