感染症から犬や猫を守る混合ワクチン どんな種類があるの?接種の頻度はどのくらい?

注射をされる犬
感染症から犬や猫を守るために、混合ワクチンの接種が必要

 病気やトラブルから犬や猫を守るため、飼い主さんにぜひ知っておいてほしい知識を、シリウス犬猫病院の院長、石村拓也獣医師が教えてくれます。連載6回目はワクチンについてです。

ワクチンはなぜ必要?

 ワクチンには、狂犬病の予防接種のように接種が義務付けられているワクチンと、感染症予防のために任意で受ける混合ワクチンがあります。今回は「混合ワクチン」についてご紹介させていただきます。

 ワクチンとは、病原性を弱めたり無くしたりした病原体を体内へ接種することで、その病原体に対する「免疫」を獲得させるものを言います。

 子犬や子猫は生まれてからしばらくは、母親から譲り受けた母子免疫により様々な感染症から守られています。しかし母子免疫は永久的な免疫ではなく、徐々に低下していき様々な感染症に感染する危険性が高まります。

注射器
ワクチンにより「免疫」を獲得する

 混合ワクチンを接種することにより、免疫力を高め病原体の感染を防いだり、感染したとしても重症化させないようにしてくれます。

 ウイルスによる感染症の治療は困難であり、残念ながら特効薬はありません。これら病気からわんちゃん猫ちゃんを守るため、定期的な混合ワクチン接種が必要となります。

混合ワクチンの種類

 予防できる病気の種類により、混合ワクチンの種類は異なり、入っている種類によって、「~種混合ワクチン」と呼ばれます。

 ワクチンにはコアワクチンとノンコアワクチンがあります。

 コアワクチンとは、全ての犬や猫に接種するよう勧告されているワクチンを言います。犬では狂犬病、犬ジステンパー、犬パルボウイルス、犬伝染性肝炎に対するワクチン、猫では猫パルボウイルス、猫ヘルペスⅠ型、猫カリシウイルスに対するワクチンをさします。

 ノンコアワクチンとは飼育環境や伝染病の流行状況によって接種するよう勧告されているワクチンで、レプトスピラ、犬コロナウイルス、犬パラインフルエンザウイルス、猫白血病ウイルス、猫免疫不全ウイルス、猫クラミジアなどをさします。

 わんちゃん猫ちゃんのライフスタイルによって、適したワクチンを選んで接種します。どの種類のワクチンが必要なのか、かかりつけの動物病院で相談して決めるとよいでしょう。

猫のワクチン
猫の5種混合ワクチンと3種混合ワクチン

混合ワクチン接種の頻度はどのくらい?

 ワクチン接種によって作られる免疫は、一生続くものではありません。子犬・子猫は生後2〜3カ月の時期に2〜3回の接種が必要で、その後成犬、成猫になっても定期的な接種が必要です。

 大人になってからのワクチン接種頻度に関しては、3年に1回の接種や1年に1回の接種など様々な情報がありますが、日本では狂犬病ワクチン以外の混合ワクチンも毎年の接種を推奨することが多いのが現状です。ペット可の宿泊施設やトリミングサロン、ドッグランなども受け入れにあたり、「1年以内の混合ワクチン接種証明書」の提示を求めることが一般化しています。

 世界的な小動物のワクチネーションプログラムに関するガイドラインによると、混合ワクチンのうちコアワクチンについては3年に1回の接種を、ノンコアワクチンについては1年に1回の接種が推奨されています。

 しかし、このガイドラインでは集団免疫が十分な場合を前提としていて、残念ながら日本はワクチン接種率が低く集団免疫はしっかりと機能はしておりません。

 つまり、接種頻度に関しては、3年に1回で十分のケースもあるし毎年接種が必要というケースもあり、生活スタイルや環境によって個別に考えていくべきでしょう。

 また現在は、抗体価検査を実施することも増えてきています。これは感染症に対するワクチン効果の保有状態を数値化して評価することができ、抗体があれば接種しない、なければ接種する、といった選択も可能となっています。

 ぜひかかりつけの動物病院で相談してみてくださいね。

混合ワクチンで副作用がでてしまうことも

 ワクチンは感染症からわんちゃん猫ちゃんたちを守るために大切なものですが、まれに副作用がでてしまうことがあります。

  • 軽度  一時的な発熱、元気消失、食欲不振など
  • 中等度 顔周りの赤みや腫れが見られます。嘔吐(おうと)や下痢を起こす場合も     
  • 重度  ワクチン接種後すぐに、けいれんや呼吸困難などの生命にかかわる反応(アナフィラキシー反応)が見られることがあります。

 もしものことも考慮して、ワクチン接種の当日は午前中や早めの時間帯の来院をお勧めします。接種後2~3日は、念のため散歩は軽めにし、激しい運動やシャンプーなどは控えるといいですね。

顔が腫れた犬
ワクチン接種後、顔まわりが腫れてしまったわんちゃん

 かかりつけの動物病院とよく相談しワクチン接種をし、大切な家族であるわんちゃんやねこちゃんを、怖い感染症から守ってあげましょう。

(次回は5月12日に掲載予定です)

シリウス犬猫病院
神奈川県川崎市中原区木月2丁目10−6
044-789-9030
*予約優先制、詳細はホームページから

【前の回】寄生されてからでは遅い! 犬や猫を寄生虫から守るため、大切なのは予防

石村拓也
獣医師。東京農工大学農学部獣医学科卒業。横浜市内の動物病院などを経て、2017年3月にシリウス犬猫病院開院。川崎市獣医師会、日本獣医皮膚科学会、耳研究会、日本獣医輸血研究会所属。

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この連載について
獣医師さんから
病気やトラブルから犬や猫を守るため、飼い主さんにぜひ知っておいてほしい知識を、シリウス犬猫病院院長の石村拓也獣医師が教えてくれます。
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