入院した飼い主“猫不足”にもだえる日々 2週間後やっと帰宅すると猫たちの反応は?
今年の初めに2週間、入院しました。コロナではないのですが、緊急入院でした。うちには猫3匹、ポッポ/女16歳、ニャンタ/男8歳、モモぞう/男7歳(と夫)がいますが、猫たちは飼い主がこつぜんと消えたことをどう受け止めたのでしょうか。色々思いをはせました。そして、2週間ぶりに家に帰った時のリアクションは――。
緊急入院、いきなり猫欠乏症
昨年の暮れ、おなかが痛いなぁと思い、早めに就寝。しかし翌朝も痛みは消えず、食欲もなく水も飲みづらい。起き上がれないでいました。
それなのに猫たちは、チャンスとばかりに布団の上にのってきます。「やめてー。おなかにのらないで」とはねのけても、入れ代わり立ち代わり、そして3匹一緒に、ポッポ3㎏+ニャンタ4㎏+モモぞう6㎏=計13㎏が、痛むおなかの上に。
ああ、つらい。でも病院はもう年末年始の休みに入っているし、コロナで医療現場が大変な時です。大したことがなかったら申し訳ないと考え、がまんすること3日。いやもうさすがにおかしいと、新年早々、救急外来へ。
ひと通り検査を終えて、「腸ですね。炎症の数値が高いので、入院です」「え、どのくらい?」「1週間? いや10日かなぁ」「えええ!」
ショックでしたが、家には夫がいるので、とりあえず猫たちのご飯は大丈夫。ひとり暮らしだったらどうなっていたのだろうと考えつつ、この時ほど誰かと暮らしていてよかったと思ったことはありません。
病棟へ移った後、スマホに届いたのは猫たちの写真。「みんなもう異変に気付いているよ」とのこと。うう。会いたい。モフモフしたい。においをかぎたい。1日目からすでに禁断症状が……。
いつも猫たちと一緒に寝ているので、目覚めた時にいないのが寂しくて、泊まりでどこかへ行くのが苦手なのですが、翌朝の寂しさは言い表せないほどでした。
そしてふと、大変なことを思い出しました。猫トイレのシート、体がつらくて何日か替えてない! ああ、でも夫はそれを取り換えたことがないのです。確かめると案の定「何ソレ?」という返事(コロナで面会はできないのでLINE)。
どこのどの引き出しにシートがあるから、新聞紙を敷いてからそれをうんぬんと、遠隔の説明は大変でした。猫の世話と家事は、分担してないといざという時に困りますね。
病院食は猫の大好きなアレ?
正式な診断は、憩室炎・膿瘍(のうよう)。大腸の壁の一部にできたへこみが炎症を起こし、さらに膿(うみ)がたまっている、とのことでした。あのままだったら腸がやぶれて腹膜炎を起こしたかも、というちょっと怖い状態ではありました。
絶飲食・点滴で、抗生物質を入れて治療を続けることになったのですが、「時間がかかりそう。3~4週間かな」とのこと。いえいえ、困ります。仕事もありますし、何より猫と離れているのに耐えられない! と、無理やり抗生物質の量を増やしてもらいました。
なかなか下がってくれなかった炎症を示す数値が1週間あたりでやっと下がり始め、食事がスタート。すると出てきたのは、チャ〇ちゅ~る? 嚥下(えんげ)食というのだそうですが、猫の大好きなアレそっくりで、頭の中はちゅ~るちゅ~る♪がリフレイン。そして考えます。猫たちはちゃんとご飯食べてるかなあ。寂しがってるかなぁ。
不在時の様子は猫それぞれ
毎日送られてくる画像では、猫たちは元気そうですが、突然帰ってこなくなったことをどう思っているのか。
報告によると、モモぞうはいつもと全く変わらず「メシメシ、おいしいものちょうだい」とうるさく、意外なのはニャンタで、ずっと私の布団の上で丸まっているそうです。ポッポはあまり変わった様子はないようですが、「たぶん2週間ぐらいで帰ってくるから」と言ったら、目をパチパチしばたかせ、フーンと言ってうなずいたとか。
一方の私は、こんなに長いこと猫たちに会わなかったことがなく、身もだえしながら、背中とのど元をサワサワしたい、胸に顔をうずめてモフモフしたい、耳の後ろと肉球のにおいをかぎたい、お尻のにおいも、と禁断症状の欲求は、時間とともにより具体的になっていきました。
そうしているうちに数値が許容範囲まで下がり、ついに退院日が決まりました。
いよいよ帰宅、その時猫は
待ちに待った退院の朝。そそくさと手続きを済ませ、荷物をまとめて帰宅しました。ああ、やっと帰って来られた。やっと会える。
ふだん私が外から帰る時は3匹そろって出迎えてくれることも多く、そうでなくてもたいてい誰かが出てきてくれます。だから「3匹一緒にお出迎え?」「まず1匹、あとから2匹?」とドキドキワクワクしながらドアを開くと、そこには!
あれ? 誰も、い・な・い?「ただいまー」と言ってみますが、シーン反応なし。2週間いなかったら、忘れられちゃった?
その瞬間、ドアの向こうからそろりと顔を出したのは、ポッポ。クリクリの目で、不思議そうな顔で、「お…かあ…ニャン?」(妄想)。腰がひけながら玄関へ出てきて、私の顔に鼻を近づけてクンクン。荷物のにおいをかぎ始めました。
死んだと思った?
ポッポ、わかってなかったの? もしかしてもう帰って来ない、死んだと思ってた?
というのもポッポは以前、生まれてからずっと一緒だった姉妹猫のチッチが動物病院へ行ったまま(つまり突然消えて)、帰って来なかったという経験をしているのです。腫瘍(しゅよう)がひどくなっていて、入院して1週間で亡くなりました。7歳の時でした。厳密には冷たくなって帰ってきたのですが、においもすっかり変わっているのでしょう、チッチと認識できないようでした。
だから急に帰って来なくなり、何日も経ったら、あの時と同じと思っていた、のかもしれません。猫にとって2週間はけっこう長い時間です。
でも死んでないよ、帰ってきたよ。部屋に入って、抱っこして、モフモフして、懐かしいにおいを思い切りかぎました。脳内には幸せ・癒やし物質がブワーッとあふれ、とろけそうに。
幸せにうっとり浸っていたら、やっと、オス2匹がゴソゴソと出てきました。が、ニャンタはあんなに寂しそうにしていたのに、抱き上げたら「やめろよ」と、つれない。モモぞうは私の顔を見て「あ」という表情をして「にゃーん」。2匹とは感動の再会も何もなかったのでした。
あ、でもちゃんと順番に、モフモフしてにおいをかぎました。ああ、やっぱり猫はいい。もう入院は、離れ離れはこりごりです。
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