コロナで減った保護犬猫の譲渡の場 愛護団体は捨てられる犬猫が今後増えることを懸念

保護猫の譲渡会
緊急事態宣言下でも、感染防止策を徹底して続けられた島忠ホームズ店内での譲渡会(1月23日、島忠・ホームズさいたま中央店)

 「譲渡会は『不要不急』ではない」

 ホームセンターの島忠(本社・さいたま市)ではそんな考えから、2度目の緊急事態宣言下でも店舗の一部スペースを動物愛護団体に提供し、保護犬・保護猫の譲渡会を続けている。

 1月23日にも、さいたま市中央区の「島忠・ホームズさいたま中央店」3階のスペースで、保護猫カフェ「ねこかつ」で保護されている猫たちの譲渡会を開催した。開始30分前から整理券を配って「密」にならないよう注意するなど、感染防止策を徹底。来場者らは、約20匹の保護猫たちに熱心に見入っていた。

保護猫の譲渡会
緊急事態宣言下でも、感染防止策を徹底して続けられた島忠ホームズ店内での譲渡会(1月23日、島忠・ホームズさいたま中央店)

 君島雄貴・セールスインキュベーション部課長は、昨年4月に出された最初の緊急事態宣言の際、譲渡会を中止したことを悔いている。「昨年春は、当社も含めて多くの動物愛護団体が譲渡会を中止した。その間、ペットショップの売り上げは大きく伸びた。コロナ禍によるペット需要の高まりは、保護動物の譲渡を拡大する機会につなげられるはずだったのに、残念だった。今回は感染防止を徹底するのを前提に、なんとしても譲渡会を続けたかった」と話す。

自治体「譲渡会開きくくなった」が6割

 コロナ禍で、多くの動物愛護団体が危機感を募らせている。人を集める譲渡会が開きにくくなった一方で、ペット需要が高まって世の中に犬や猫が急に増えたためだ。

 譲渡会が開けなければ手元にいる保護犬・保護猫を減らせず、自治体などから新たに犬猫を引き受けられない。一方で、コロナ禍でペット需要が高まったのは、在宅時間が延びるという生活環境の変化がきっかけになっているのも懸念材料だ。ある程度もとの状態に戻ったとき、今度は多くの捨て犬、捨て猫が出るのではないか――という連想が働く。

 また、朝日新聞の調べでは、全国の自治体による保護犬・保護猫の譲渡会や、ペット飼育の啓発活動が、コロナ禍の影響で行いにくくなっていることも明らかになっている。

 昨年12月、動物愛護行政を所管する都道府県、政令指定都市、中核市のすべて計127自治体にアンケートを実施(回答率100%)。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を尋ねたところ(複数回答可)、「人を集める譲渡会が開催しにくくなった」という自治体が77(60.6%)にのぼり、「動物愛護週間の行事などが開催できなかった」とした自治体は103(81.1%)に達した。

 調査には「コロナ禍で仕事が減って生活が苦しくなり、継続的な犬猫の飼育が困難になったといった相談が増えている」(中部地方の県)、「ステイホームの影響で自宅周辺にいる猫の存在に気付く人が増えていて、それが引き取り相談の増加につながっている」(関東地方の県)、「犬の鳴き声に関する苦情件数が増えた」(四国地方の県)という声も寄せられた。

大手企業も保護犬や保護猫へ支援を

 環境省によると、犬猫あわせた殺処分数は、2019年度まで29年連続で減少している。だがこのまま保護犬・保護猫を譲渡する機会が減少し、一方でもし自治体に持ち込まれるなどする犬猫の数が増えてしまえば、今後、殺処分数が増加に転じる可能性が出てくる。

 人手も資金も限りがある動物愛護団体の努力には、限界がある。冒頭の島忠のような、大手企業からの支援が広がることを期待したい。同時に環境省をはじめとする行政は、まずは現状把握に努めてほしい。市場の論理に任せているだけでは、不幸な犬猫を増やすリスクは高まる。実態を見極めたうえで、早め早めの対策を講じることが大切だ。

◆太田記者のツイッターはこちら

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太田匡彦
1976年東京都生まれ。98年、東京大学文学部卒。読売新聞東京本社を経て2001年、朝日新聞社入社。経済部記者として流通業界などの取材を担当した後、AERA編集部在籍中の08年に犬の殺処分問題の取材を始めた。15年、朝日新聞のペット面「ペットとともに」(朝刊に毎月掲載)およびペット情報発信サイト「sippo」の立ち上げに携わった。著書に『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』『「奴隷」になった犬、そして猫』(いずれも朝日新聞出版)などがある。

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動物福祉や流通、法制度などペットに関する取材を続ける朝日新聞の太田匡彦記者が、ペットをめぐる問題を解説するコラムです。
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