車のボンネットから子猫 救出し飼い始めた夫婦に、幸せを運んだ

 父の車のボンネットの中に子猫が入っていた。運転中に鳴き声に気付き、ディーラーに頼んで救出してもらった。突然の出会いに戸惑ったが、子猫に「ボンちゃん」と名前を付けて飼い始めた。すると、夫婦に幸運がもたらされた。

(末尾に写真特集があります)

ボンネットの中から猫の鳴き声

 大阪府に住む乾さんは、夫婦そろって犬より猫が好き。だが、実際に飼うまでは踏み切れずにいた。

 20194月、乾さんは出かけようと、父の車を借りた。車に乗ろうとすると、どこからか子猫の鳴き声が聞こえた。

「このあたりは野良猫が多いからと思って、そのまま2、3時間運転しました。しかし、帰り道、停車すると、また猫の鳴き声がしたんです」

「まさか」と思って車を止め、中を確認しようとボンネットを開けると、鳴き声はやんだ。スマホの明かりで照らしても猫の姿は見えない。近くの消防署に行って見てもらったが、鳴き声はやんだまま猫は見つからなかった。

「消防署でディーラーに行ったほうがいいと言われて連絡すると、営業時間を過ぎていたのに、すぐに来てくださいと言われました」

 すでに家を出て3~4時間たっていた。ディーラーに到着すると、猫が大きな声で鳴いているのが、外まで聞こえてきた。「奥のほうに入っているので、解体して出すのに時間がかかる」と言われた。「猫ちゃん、出てきましたよ」と、小箱に子猫を入れてきてくれたのは、1時間後だった。

保護当時のキジ猫「ボン」
保護当時

「実は数日前、父が、車の近くをうろうろして鳴いている猫を見かけていたそうなんです。野良猫だから、普通は逃げるのに、少し離れた所からじっと見ていて、あとから思えば、その猫が母猫だったのかもしれません」

母猫のもとに戻すか迷う

 救い出された子猫のため、乾さんはペットショップに寄ってフードを買った。家に連れて帰り、ミルクとお湯でふやかしたフードをあげたが、緊張と疲労からか元気がなかった。それでも20分ほどすると、ペロッと舐めてから食べ始めた。人が動く気配がすると、ピクッとして、食べるのをやめ、段ボール箱の隅に行ってしまった。

 乾さんは、突然の子猫との出会いにとまどっていた。妻は猫を飼った経験があるが、乾さんは飼ったことがない。本当に幸せにできるのか不安もあった。譲渡会で出会うのと違い、困ったことがあっても教えてくれる人もいない。

「お母さん猫がいる場所に戻したほうがいいのかと思い、子猫を箱に入れて、少し離れたところから見ていたんです。3、4時間、様子を見守りましたが、お母さん猫は現れませんでした。人間の匂いがついてしまったのかもしれない、それならうちで飼おう、ということになったんです」

 ボンネットの中にいた子猫なので、「ボンちゃん」と名前をつけた。

保護されたキジ猫「ボン」
女の子のように可愛らしい

幸運を運んでくれた猫

 ボンちゃんは、途中で曲がっている鍵しっぽだった。

「鍵しっぽの猫は幸運を運んでくると後から知ったのですが、ボンが来てから、赤ちゃんができたんです。ずっとできなかったんですが、これはボンが来てくれたからなのかなあと」

 赤ちゃんが産まれ、ボンちゃんを抱っこして近づけると、ボンちゃんはお父さんの胸に顔をうずめて赤ちゃんを見ないようにしていた

「でも、最近はお兄ちゃんになったようで、ゆりかごを揺らしたり、赤ちゃんの泣き声を聞くと心配そうな面持ちで眺めたりすることが増えました」

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この特集について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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