「生き方はいろいろなのさ」犬たちのキスシーンに胸キュン 話題の『わんわん物語』

わんわん物語 © 2020 Disney
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 ウォルト・ディズニー製作の動物アニメーションを実写映画化した『わんわん物語』が、ディズニー公式動画配信サービス「Disney+ (ディズニープラス)」で配信され、話題を呼んでいます。オリジナル版は、言わずとしれた名作だけに、どんなふうに実写化されたのか、大いに気になっていました。

実際の犬たちとCGの合わせ技

 近年、ディズニーでは、『美女と野獣』や『アラジン』から『ムーラン』まで、不朽の名作アニメーション映画を次から次へと実写化。『ライオン・キング』の実写版に至っては、冒頭の夕日以外は、動物から背景に至るまですべてCGの映画となり、“超実写版”という別次元に行きつきました。

 でも、今回の『わんわん物語』については、実際の犬たちの演技とCGの合せ技で作られた作品なので、どこか安心感を覚えます。その分、動きはとても自然だけど、犬たちの喜怒哀楽が絶妙なさじ加減で表現されているという職人技が素晴らしいです。

 ストーリーラインは、多少のアレンジが加えられていますが、前作を踏襲しています。両作ともひとことで言えば、身分違いの恋を描くラブストーリー。もちろん主人公は人間ではなく、コッカースパニエルのレディで、彼女と恋に落ちるのは野良犬トランプです。

わんわん物語 © 2020 Disney
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愛犬家のディズニー夫妻の実話がもとに

 ある日、子犬のレディは、夫ジムが妻ダーリングに用意したクリスマスプレゼントとしてやってきます。最初に丸くて大きなギフトボックスを見た時、中身が帽子だと思ったダーリングですが、ふたを開けてみたらレディが顔を出して、大喜び。

 夫婦はレディのための寝床とトイレを用意しますが、結局、レディはその部屋を抜け出し、夫妻のベッドの上で寝るようになります。ちなみに、これは愛犬家としても知られるウォルト・ディズニー夫妻の実話がもとになったエピソードであることが、DVDのメイキング映像で語られています。

 夫妻からの愛を一身に受けていたレディですが、2人の間に赤ちゃんのルルが産まれたことで、レディの生活は一変。家にネズミが入ってきたことで吠えたレディですが、赤ちゃんが泣くからと、外へ出されてしまい、がっかりです。

わんわん物語 © 2020 Disney
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 そんななか、子連れで親戚の家に行くことになった夫妻が、レディの世話をお願いしたセーラおばさんというヒールが登場。おばさんが連れてきた猫のせいで、レディは家を追い出される羽目に。そんな彼女を助けてくれたのが、トランプです。

 彼は自由気ままに生きる野良犬。「犬の生き方はいろいろなのさ」と言いながら、レディに広い世界を見せてくれます。実写版では、2匹が船旅を楽しむというドラマチックな展開に。そして、たどりついたのが、アニメーション版でも見せ場となる、イタリアン・レストランでした。

わんわん物語 © 2020 Disney
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 トランプを「タフガイ」と呼んで歓待するレストランの主人トニー。トランプがレディを連れてきたのを目にすると、従業員のジョーにスペシャルメニューを作るように指示します。出てきた、ミートボールスパゲティをおいしそうにほおばる2匹。

 その後、名曲「ベラ・ノッテ」の名シーンへ。トニーとジョーがバンドネオンとマンドリン演奏で名曲「ベラ・ノッテ」を歌い上げるなか、1本のスパゲティを食べていたレディとトランプがうっかりキスをしてしまいます。なんともチャーミングで愛らしい、映画史に残るキスシーンですが、実写版でもそのまま再現されていました。

 そのあと、月明かりが美しい夜のお散歩シーンも余韻たっぷりです。ラストの展開はアニメーション版と異なるので、両作を比較して観てみるのもおすすめです。

わんわん物語 © 2020 Disney
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Disney+ (ディズニープラス)で配信中
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アニメーション版で注目 レディの淑女ぶり

わんわん物語 © 2020 Disney
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 実写版を観たあと、もう一度アニメーション版を観直してみると、新たな発見も多いです。改めて感心させられたのは、レディの淑女ぶりでしょうか。乙女のはじらいという部分は、アニメーション版のほうが高い気がします。

 ある意味、実写版のレディのほうが自発的で、後半のスリリングな見せ場でも自らアクションを起こしますが、そこも時代と共にアップロードされた部分かもしれません。

 また、アニメーション版では、ウォルト・ディズニーが「すべての犬たちのために捧げた映画」というコンセプトを、最初に掲げています。それは、犬そのものの人生ならぬ“犬生”を掘り下げた作品という意思表示でもあります。

 実際に、レディやトランプだけではなく、ご近所に住む犬のジョックや老犬トラスティの“犬生”も実に味わい深いし、保健所に送られた犬の末路にもきちんと触れているところには、毅然とした覚悟が感じられます。

 ラストは両作、少し設定が違いますが、「ペットである犬は、人間にとって家族であること」という温かい着地点へ。ロマンティックな音楽や美しい映像も非常にエモーショナルなので、ぜひじっくりとご覧ください。

わんわん物語 © 2020 Disney
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わんわん物語
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山崎伸子
ライター、ときどき編集者、カメラマン。映画やドラマのインタビューやコラムをメインに執筆。趣味は旅行、酒場&酒蔵巡り、パンダグッズ集め。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』。実家に帰るとやんちゃなわんこが二足歩行でお出迎え。

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