コロナウイルスの脅威 野生動物の取引とふれあいに規制を

虫かごで売られる動物たち

 新型コロナウイルスの脅威が世界全体に広がっていき、ウイルスのもたらす悲しみであふれている。しかし、その根本原因である“動物利用”にまだ人々の目が行き渡っていないことを危惧している。

動物利用を考え直すとき

 新型コロナウイルスも、SARSも、MERSも、エボラ出血熱も、人以外の動物を介して、人に伝播したものだ。そしてなにより、人が動物に介入したことにより起きている。

 動物を食べることだけにとどまらない。SARSの発症の発端となったと言われるジャコウネコは食用のために、MERSの発症の発端となったと言われるヒトコブラクダは食用と運搬のために、人に酷使され続けている

 抗ウイルス薬を作っても、いつかウイルスたちはその薬に耐性をつける。ワクチンを作っても次の形のウイルスに対応できるとは限らない。

 ウイルスだけでなく、人の命を脅かし、人の社会の持続可能性をあっという間に奪うのは、細菌や寄生虫や真菌も同じだ。

 微生物たちとの戦いにおいて、人が勝つことは永遠にないと自覚しなくてはならない。つまり、動物利用を考え直す時が来ているということだ。

中国で主な野生動物の取引が禁止に

 新型コロナウイルスの震源地となった中国では、2月24日に野生動物の取引が禁止になった。食用にすることを防ぐのが主な理由であるが、野生由来だけでなく繁殖させられる個体も含め、陸生動物の狩猟、取引、輸送、および消費が禁止になった。ただし例外とされた種も多く完璧ではないものの、日本のはるか先を行く規制になった。

 2月28日には「新型肺炎の流行後、地方の公安機関は野生動物を含む776件の刑事事件の調査を開始し、1,804件の行政事件を調査し、2,556人の取り扱いを取り締まり、88,000頭の野生動物(のみ)を押収し、市場、レストランなど293,000カ所を共同で検閲し検査した」「750,000を超える野生動物取引情報のスクリーニング、削除、ブロック、または削除を行い、17,000のオンラインショップまたはアカウントを閉鎖した」と新華社通信が発表している。動き出したら早いのが中国という国だ。

 この野生動物取引禁止の流れはベトナムでも起きている。

日本は動物取引しほうだい

 一方、日本はありとあらゆる種の取引が可能だ。主には愛玩飼養や展示飼養であると思われるが、規制はないに等しい。ほんの一部の外来生物や絶滅危惧種の取引に規制があるに過ぎない。

 例えば、動物に過大なストレスを強いるこの写真のような展示即売会が各地で盛んになっている。

お惣菜パックで売られるたくさんの動物たち

 一つの会場に、何千から何万もの、あらゆる種の爬虫類、両生類、哺乳類、鳥類、魚類や昆虫が運び込まれ、異様な熱気の中で売買される。動物たちの国籍も様々だ。繁殖された動物も、野生由来の動物も、幼齢の動物も、年齢も性別もわからない動物まで混ざっている。

 珍しい動物を収集したいから、かわいいから、飼ってみたい、見てみたい、そんな欲望がこの展示即売会を支えている。

 また、動物たちとのふれあいイベントやアニマルカフェも簡易な娯楽として提供されている。

 野生動物が、小さな入れ物に閉じ込められ、見ず知らずの子どもたちに触られまくる。人なれした犬などでも強制的に触られることにはストレスを感じるであろうが、野生動物は、人に繁殖された動物を含めて、何百年と人のそばで生きてきた動物種よりも強いストレスを感じる。

 多くの動物が箱に入れられたり、拘束された状態で触られたりするのだから、ストレスは強い。ストレスを受ける動物は、免疫を落とし、ウイルスや細菌に侵されやすくなる。

 豚コレラで15万頭もの豚が殺された一昨年から昨年は豚のふれあいについては自粛するイベントもあったが、一時的に過ぎないだろう。伝染病が出れば全滅させられてしまう畜産動物たちも、この触れ合いイベントに多数使われている。動物の命をてんびんにかけながらふれあいイベントは継続されるべきなのか。

野生動物取引とふれあいにメスを

 新型コロナウイルスは世界全体の社会機能を奪っている。これまでにない対策が各国でとられているが、同時に次の対策もしていくべきであろう。

 中国とベトナムにできて日本にできないのはなぜか。

 2020年3月10日、衆議院環境委員会で立憲民主党の堀越啓仁議員が、中国での禁止措置を紹介し、日本での取引の現状と、展示動物の飼育環境のひどさに触れ、野生動物取引やふれあいイベントの制限を求めたが、環境省は何一つ有益な回答をしなかった。

 日本での現在の“自由な”動物利用が、次の感染症のリスクになることは間違いがない。今ある感染症をベースに規制をするのではなく、ウイルスや細菌の進化の速さに追いつくように未来の感染予防を考えなくてはならない。

多くの人に触られストレスにさらされるフクロウ

 私たちは、今こそ、日本も野生動物取引の大幅規制とふれあいイベントの禁止を決断すべきときだと考える。

 そうでなければ、次の新型〇〇ウイルスや、新型〇〇熱などが出て、私達の社会の持続可能性は、再び、脅かされるだろう。その発祥地が日本になる可能性は十分にあるのだ。

 動物を守ることは、人を守ることにつながる。動物への暴力は人をも追い詰める可能性がある。この数カ月、あらためてそれを強く感じている。

(次回は6月8日に公開予定です)

認定NPO法人アニマルライツセンター
1987年設立。動物たちの苦しみを効果的になくし、動物が動物らしくいられる社会を目指す。食べ物や衣類、娯楽や実験に使われる動物など人の支配下に置かれている動物を守る活動と、エシカル消費の推進に取り組んでいる。
この特集について
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