社長宅で野良が生んだ子猫 広報課長に昇格、業績アップに貢献
大阪の平野区にある青木防災という会社にお邪魔した。青木防災は、消火器などの防災用品をはじめ、消防設備を取り扱う専門的な会社だが、猫と犬が「社員として働いている」様子が、ツイッターで話題となっているのだ。
ツイッターの人気者
デスクワークをしている人の膝に乗り、手にじゃれて甘噛みする猫のタマスケの動画は、1万3千リツイートされた。
会社に猫と犬がいて、2匹でじゃれあったり、いたずらしたりと、マイペースに過ごしている動画が可愛らしく、その自由さに思わず笑ってしまう。
営業部長の青木さんは、「タマスケとハナコを軽い気持ちでツイッターに上げてみたところ、予想外の大きな反響があって驚いています」と話す。「羨ましい!」「癒される」といったコメントが多く寄せられ「本業より猫ネタのほうがウケてます」と、とまどいつつも嬉しそう。何より、会社全体で可愛がられているという大らかさが魅力だ。
わんニャン課長
ホームページを開くと、社員紹介のページに人に混じって、さらっと猫と犬が登場している。広報課長を担当するのは茶白猫のタマスケ。可愛い姿で人気を集めつつも、防災に関する情報を日々発信している。ミニチュアダックスのハナコは、警備課長。見知らぬ人がやって来たら、ワンワン吠えてお知らせするが、すぐに懐いてくれる人懐っこいワンちゃんだ。
タマスケ、ハナコ以外の社員さん達も個性的なキャラクターが揃っていて、和気あいあいとした雰囲気が伝わってくる。こんな会社で働いてみたいと思う人も多いだろう。
「実際に、採用情報のページにアクセスが増えていて、それも想定していなかったので、驚いています。面接の際には、犬と猫は大丈夫ですか? と必ず聞くようにしています」。むしろ、犬と猫が大好きな人が面接を受けに来ていると思われるが。
ガレージ育ち
タマスケが会社猫となったきっかけを伺ってみた。「元々、社長の自宅のガレージで、野良の母猫が子猫を産み落とし、タマスケだけがひとり残されていたんです」
そこから、ガレージで飼われる生活がスタートした。バイクのヘルメットの中に入って寝ていたりと、マイペースに過ごしていたそうだ。8ヶ月ほどガレージ猫だったタマスケだが、ケージの中に餌を入れて誘導し、無事捕獲に成功。社長さんが以前から動物を飼いたいと考えていたそうで、知り合いから譲り受けたミニチュアダックスのハナコと共に、室内飼いの猫社員となった。
そんなタマスケは、現在4歳。思いのままの場所で寝ていたり、遊んでもらったりと仕事に勤しんでいる姿がツイッターで窺える。タマスケとハナコが社内にいることの効果については、「従業員同士、共通の話題ができたことで、会話もはずみ、雰囲気も和やかです」と青木さん。
自宅でペットを飼っている社員も多く、犬派だった人が猫派になることも多いそう。社員の山田さんは、「入社した当初、タマスケには警戒して逃げられてばかりだったのに、だんだんとスリスリされるようになってきたら、とても可愛くなってきて。元々犬派だったのに、猫もかわいいなぁと思いだしました」と語る。山田さんが笑顔でタマスケを抱っこすると、タマスケもベタベタに甘えている。
業績もアップ!
「忙しくて疲れていても、タマスケが寝ている姿を見ると、肩の力が抜けて癒されます」と話す青木さん。防災という仕事柄、緊張する場面も多いと思うが、動物がそばにいることの癒やし効果は確実にあると思われる。実際に、業績もアップしており、一人あたりの仕事量は増えてきているそうだ。
「ハナコは定時で連れて帰ろうとすると、嫌がって隠れるんです」。働き方改革では、残業を減らす方向だが、すすんで残業をしたがるとは、ハナコにとっても大好きな職場なのだろう。
昨今では、仕事の作業効率をアップさせるために、職場環境の改善や社員のストレス軽減など、メンタル面のケアが求められているが、まさに動物の癒やし効果が、仕事面にも効果があることが証明されたと思う。青木防災では、たくさんの人に可愛がられているタマスケとハナコと、そして笑顔で働いている人たちとの幸せな関係を見た。
今後、実際にペットを飼う会社というのは、増えていくかもしれない。忙しい会社ほど、本物の猫の手を借りてみるというのはいかがだろうか。
(写真・文 八二一)
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- 青木防災株式会社
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