実験動物も同じ命 目をそむけずに、何をすべきか考えてみよう

ごろりんの素直な瞳が好きです
ごろりんの素直な瞳が好きです

 モデルとして活躍する松島花さんは、犬や猫を助ける活動にも取り組んできました。連載10回目は、実験動物について語ります。

(末尾に写真特集があります) 

 毎日、うだるような暑さで、朝起きると3匹は冷たい床に伸びています。私も一緒になって床にゴロゴロする時間が幸せです。

 前回は、動物愛護法改正の話をしました。私たちの思い描く改正にまでは至らなかったにせよ、皆様方のご協力と公益財団法人動物環境・福祉協会Evaの皆様のご努力のおかげで前進できました。

 連載10回目では、今回の動物愛護法改正に含まれなかった、もう一つの動物たちのお話をしたいと思います。

 それは、実験のための動物たちです。

 今回この話を書くにあたって正直すごく悩みました。書く前に、読んでおきたい本がありました。

 それは6月のEva主催で行われた「動物愛護法のふりかえりと今後の課題」のシンポジウムに出席した際、隣の席で“実験動物”についてお話をされていた森映子さんからいただいた、森さんの著書「犬が殺される」(同時代社)という本です。動物実験の話なので、最初の1ページを開くのに勇気と覚悟が必要でした。というのも、動物実験については、強く記憶に残っていることがあるからです。

森映子さんの著書「犬が殺される」(同時代社)
森映子さんの著書「犬が殺される」(同時代社)

動物実験をせざるを得ないことを知り断念

 それは、高校生の頃の出来事です。動物愛護に熱心だった母は、公園などで行われていた動物実験の説明会に2度、私を連れて行きました。そこで私はパネルの写真を見たり、説明文を読んだりしました。

 パネルは、オリの中に入れられ動物実験される犬や、脳に電極を埋められた猿の様子など、当時の私にはつらい写真でした。

 母は私や兄が小さい頃から、どちらか1人に獣医になってほしいと思っているようでした。

 病院がお休みの日には、野良猫や野良犬などに予防注射や避妊去勢手術をして回るような獣医さんになってほしいと言っていました。

ごろりんお気に入りの爪とぎ
ごろりんお気に入りの爪とぎ

 獣医になるための本も図書館で読んだりしましたが、獣医学生の学習課程の中にはいろいろな動物実験をすると書いてありました。

 その中で今でも強く覚えている内容の1つが、健康な犬の脚の骨をわざわざ折り、それを手術して治す話でした。本当にショックでした。

 他にも犬や猫だけではなく牛やウサギ、モルモット、カエルなど色々な動物実験の話が書いてありました。動物を助けるために獣医になるといっても、その前にたくさんの動物実験をしなくてはならないことを知り、これはとてもできないと獣医を目指すことをあっさり断念したのを覚えています。

やっぱり顔似てるな〜(笑)
やっぱり顔似てるな〜(笑)

「犬が殺される」を読んでみて

 今回、「犬が殺される」を読んでみると、私が学生の頃に知った実験動物の話より、もっと深くつらい話がたくさん書かれていました。この「犬が殺される」という本の内容を少しご紹介します。

 ある獣医大が行っていた実習では、同じ犬を5日間手術し、実習に影響があるから5日間は水も餌もやらなかったそうです。また卒業生の話として、情が移らないように犬には名前は付けず番号で呼ぶ、実習の手術中に犬が鳴いても教員から「かわいそうと思うな、感情移入するな」と言われた、ということが書かれていました。そして動物たちは実験が終わったら、安楽死させられるそうです。

 獣医大の話以外でも、私たちの生活のさまざまな分野が、動物実験の上に成り立っていることを知りました。

 人間の役に立っているからいいじゃないか!と言うような意見もあるでしょう。

 でも、本当にそうでしょうか?

 海外では、動物の模型やシミュレーターなどを取り入れているそうです。また獣医を志す日本の学生の中には「動物を救うために獣医大に入ったので、むやみに動物を犠牲にする実習はしたくない」と犬の実習を拒否する学生もいたということです。

 獣医大だけではなく、全国にある動物実験施設は動物愛護法で自治体に登録義務がある動物取扱業の対象から外され、自主管理となっています。このため、国や自治体は、動物実験施設の数、実験動物の使用数、実験内容など全体像を把握していないそうです。2012年の動物愛護法改正の時に動物実験施設は届け出制にすべきとの声が上がったそうですが、反発は大きく、結局改正は行われませんでした。

すべての動物は同じ命

 私は今、Instagramで“命の期限”の付いた、殺処分間近な犬や猫の家族を募る活動をしています。

 殺処分の話もそうですが、実験動物の話はかなりショッキングで見たくないし、知りたくない方が多いのでは…と思います。

 でも私がこの活動をやる意味というのは、現実に起こっていることにしっかりと目を向け、それに対して自分がどう思うか?何をすべきか?を考えていただくためのきっかけをつくることだと思っています。

 現実を知ることから、動物たちを痛みや苦しみ、そして恐怖から助ける方法を、皆さんと考えていきたいと思っています。

世の中の動物たちがみんな幸せになりますように…
世の中の動物たちがみんな幸せになりますように…

 家で飼っている犬や猫、鳥、うさぎやカメ、そして実験動物とされている動物はすべて同じ命であることを、いま一度考えて頂きたいと思います。 

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松島花
1989年東京都生まれ。『Oggi』(小学館)、『BAILA』(集英社)、『25ans』(ハースト婦人画報社)、『CLASSY』(光文社)、『ミセス』(文化出版局)などのファッション誌でモデルを務めるほか、CMやドラマにも出演。動物の保護活動に強い関心を持ち、オフィシャルインスタグラムアカウント(@hana_matsushima_official)とは別に保護活動を行う個人・団体を応援するアカウント(@hana_matsushima_animal)を開設している。
この特集について
猫のいる幸せ
3匹の猫と暮らすモデルの松島花さんは、保護犬や保護猫を助ける活動にも取り組んでいます。猫の魅力はもちろん、向き合い方や別れもつづります。
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