音に驚いた猫が飼い主の上を疾走 爪でザックリ、猫しょんぼり
猫の聴力は、人間はもちろん、犬よりも優れていると聞きます。
我が家の猫も、非常に音に敏感で、ちょっとした物音にビクビクしながら過ごしています。キジトラ猫のモモは、紙袋がカサカサっと床に落ちる音ですらビクーンと体をジャンプさせるほど。それほどではないにしてもサビ猫のあんずも敏感です。身を守るためなのでしょうが、いちいち大変そうにも見えます。
先日、音に敏感がゆえ、飼い主が大変な目に合う事件が起きました。
やらかしたのは、敏感ではないほうのあんずです。
音に驚いた「あんず」が……
ある晩、いつものように夫がおもちゃを使って猫と遊び終わり、くつろいでいたときのことです。
あんずは、ローテーブル(というか、冬はこたつのテーブル)の下のクッション(というか、座布団)の上で、遊び疲れてウトウトし始めていました。
夫はソファ(でなく、座椅子)にもたれて、スマホを見ています。私はキッチンや洗面所をウロウロしていました。
バタン!。何かが倒れた音がしたと思ったら、「イッテーーー!!」と夫の声が聞こえてきました。
「どうしたの!?」と慌てて見に行くと、夫が胸を押さえて苦しんでいます。
一瞬、心臓でも痛いのかと焦り、「救急車!?」と頭をよぎりました……。
夫「あんずに、やられたー……、痛ってぇ……」
私「え? あんずに? 一体どうしたの?」
あんずと聞いて、大したことではなさそうだと安心して話を聞くと、壁に立てかけてあった畳んだラグマットが何かの拍子にバタンと倒れ、その音に驚いたあんずが、テーブルの下から飛び出してきて、夫の胸をよじ登ってから逃げていったというのです。
薄いTシャツの上に猫の爪が…
その日は暑かったので、夫は薄いTシャツ姿でした。さらに不運は重なるもので、あんずの爪をそろそろ切らないと……と言っていた頃で、爪が鋭く伸びていたのです。
夫「穴が開いたー。痛ってぇ……」
夫の胸には、薄いTシャツを通して、あんずの爪痕がざっくり。まぁ、穴が開くと言うのは大げさで、さっと爪で引っかかれたような痕が3~4か所ついた程度で、流血もありませんでした。
傷はたいしたことないものの、裸同然の身体の上を、鋭い爪がついた4本足で思いっきり走られたら……。想像しただけでも痛そうです。
その時、ビビりのモモは別の場所にいて、騒動に巻き込まれずに済んだようです。もちろん、その場で飛び跳ねるほど驚いたでしょうが……。
夫が消毒液で胸の傷を拭いていると、あんずはパニック状態から我に返った様子でキャットタワーの上から見ていました。
体を横たえ、目はうつろ、どこかしょんぼりしていて、自分がやらかしてしまったことを反省しているようにも見えました。
私はあんずに近づいて「あんず、びっくりしちゃったの? 人の上を走ったらだめなんだよ」と体に手を当てて小声で話しかけると、力なく「ニャ…」とお返事。飼い主を傷つけるつもりなんかなかったのに、音でパニックになってしまい、逃げる方向に夫がいただけなのでしょう。
それに、そもそもラグマットを立てかけたのは夫なので……誰を責めることもできません。自業自得ともいえます。
翌日まで反省する「あんず」
しょんぼりしたまま、あんずは眠りにつき、翌朝私が寝室から猫のいるリビングに出てくると、いつもの“朝ごはん要求の鳴き”がありません。
いつもなら、私が寝室にいるときから「ニャーニャー」と起こそうとします。私がリビングに出てくると、えさを食べるまで足元をまとわりついてくるのに、一切やって来ません。キャットタワーの上から、こちらを見ているだけです。
「あんず、まだ反省しているの?」
「ニャー……」
まさか、日をまたいで反省しているなんて……。あんずにとって、“飼い主を思いっきり傷つける”ことがかなり重大な罪だったようです。もしくは、翌日まで引きずるほど音に驚いたという可能性もありますが……。
あんずは静かに朝ごはんを食べ終えて朝寝をすると、お昼すぎに起きてきて、「ニャーニャー」とおやつを要求。いつものあんずに戻っていました。半日ほど反省期間を設けて忘れたのでしょうか。
突然大きな音を出さないよう、極力静かに暮らさないと、猫にとっても、飼い主にとっても、平和な暮らしが守れませんね。
(ヤスダユキ)
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。