殺処分ゼロへ ボランティアが世話、譲渡できる犬や猫増やそう 

収容された子猫(和歌山県動物愛護センター提供)
収容された子猫(和歌山県動物愛護センター提供)

 和歌山県動物愛護センター(和歌山県紀美野町国木原)では、捨てられるなどして同センターに収容された犬や猫の世話をするボランティアを募集している。職員だけでは手が回らない世話をしてもらい、譲渡できる犬や猫を増やして殺処分数0を目指す取り組みだ。春と秋の年2回、講習会を開くなど参加を呼びかけている。

 「夜中に何回も起こされることはありません。寝る前と起きてすぐは必ずミルクをあげてください」。4月に同センターで開かれた講習会。センターの職員が活動内容などを説明し、参加した約10人が熱心に耳を傾けた。

 募集しているのは、授乳期の犬や猫を離乳するまで預かる「ミルクボランティア」、人慣れが必要な犬や猫を預かる「一時預かりボランティア」、新しい飼い主を見つけるまで預かる「譲渡ボランティア」。

 この日の講習会では、各ボランティアの条件や活動内容を紹介。ミルクボランティアは生後約1週齢~5週齢の犬猫を預かり、生後7週齢ごろまで面倒をみる。ミルクをやったり、排泄(はいせつ)の介助をしたりする。

収容された犬(和歌山県動物愛護センター提供)
収容された犬(和歌山県動物愛護センター提供)

 一時預かりボランティアは人慣れさせる必要のある犬や猫を預かり、知らない人や生活音などに慣れさせる。譲渡ボランティアは譲渡可能な犬や猫を預かり、新しい飼い主を探す。健康管理やしつけをし、新たな飼い主への譲渡をする。

 同センターでは2016年度から講習会を開き、ボランティアを募集してきた。センターによると、今年3月末現在で、ミルクボランティアは58人と1団体、一時預かりボランティアは24人と2団体、譲渡ボランティアは15人と6団体が登録されている。各ボランティアは年々増加しているという。

 ボランティアは随時、受け付けており、同センターの担当者は「興味があれば気軽に相談してみてほしい」と呼びかけている。問い合わせは県動物愛護センター(073・489・6500)か各保健所へ。

犬と猫の収容数は減少傾向

 和歌山県内で収容される犬と猫の数は減少傾向にある。県動物愛護センターと和歌山市保健所によると、犬は14年度は601匹だったが、17年度は463匹と、2割ほど減少。猫も14年度は2632匹に対し、17年度は2154匹と、約2割減った。

 殺処分数も減っている。14年度の殺処分数は犬が381匹、猫が2278匹。17年度は犬が194匹、猫が1068匹だった。犬、猫ともに約5割減少した。

 同センターの担当者によると、収容数が減少した背景には飼い主のマナーの向上や避妊、去勢手術が広がったことなどがあるという。さらに、殺処分数は収容数が減少するにつれて減るが、新たな飼い主への譲渡数が増えていることも要因にあげられる。

 子猫の体は弱く、収容されても死んでしまう子猫もいる。また、猫はミルクを飲む時期に人に慣れないと成長してから人に慣れることは難しいという。ボランティアの手を借りることで生きられる数も増え、人慣れもし、譲渡できる個体が増えるという。

 譲渡数は犬では14年度が61匹で、17年度は120匹と倍近く増加した。猫も14年度が49匹、17年度が156匹と3倍以上に増加。ボランティアの募集が始まった16年度と17年度を比べると、犬は約1.5倍に、猫は約2倍に増加している。

 ただ、目指している殺処分数0にはまだ遠い。担当者は「地域猫対策や終生飼養の啓発などにも力を入れながら、譲渡を進めていく。ボランティアの力を借りながら、地道に活動を続けていきたい」と話している。

(本間ほのみ)

朝日新聞
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