猫2匹のお風呂 なんと、夫が一人で入れると言い出した!
この連載でも度々話題にしている“猫のお風呂問題”。我が家では、年に1~2回猫様たちに入浴していただくようにしています。
ほかの多くの猫と同じように、我が家の猫もお風呂が嫌い。やむを得ず入ってくれているので、年に1~2回が、猫と人間、お互いの限界と言えます。
猫をお風呂に入れたことがないという飼い主さんも多いので、入れるべきかどうか私もいまだに悩んでいますが、私の猫アレルギーの症状軽減のためにも、入っていただいています。
人間の事情だけでなく、お風呂に入ると、毛がごっそり抜けるので、猫が毛を大量に飲み込んで吐く、ということが少なくなり、猫にとっても悪い話ばかりではないのです。
2人がかりでも大変な猫のお風呂
最初の頃は、夫と私2人で長袖長ズボンで浴室に入り、どちらかが猫を押さえて、どちらかが猫にシャンプーをする、という分担で行っていました。
長袖長ズボンの理由は、猫の爪を切って風呂に入れるものの、猫にその気はなくても爪でざっくり傷つけられる恐れがあるからです。
猫らは風呂場で「ナオーン! ナオーーーン!!」と、この世の終わりが来たかのような雄たけびをあげます。かつては、シャワーを出すと鳴いていましたが、次第に浴室に連れていくだけで鳴くようになってしまいました。
鳴くのはほんの数分のことですが、すさまじい鳴き声に、私は毎度辛い気持ちになります。猫を風呂に入れるなんて、やっぱりかわいそうなことんだ……。私がアレルギーなばっかりに、この世の終わりまで感じさせてしまっている……。猫たちのことが好きなのに、なんでこんなにつらい思いをさせているのか……など、毎回涙ながらに洗うことになります。(そこまで言うなら、入れなきゃいいのに……というツッコミは私自身でさんざんしており、葛藤しつつの決断です)
洗ってしまえば、流す時間と合わせても10分くらいでしょうか。猫に負担が少ないように、あっという間に終わりますが、長く感じるのなんのって……。
洗い終えたら、一方がタオルで拭いて、もう一方は毛の処理などの後片付け。次に、一方が猫を押さえ、もう一方がブラッシングしながらドライヤーで乾かします。2匹いるので、それを2回繰り返します。
2人がかりでも結構な重労働ですが、猫を風呂に入れる何度か目のとき、夫が言いました。
「風呂は、おれ一人で大丈夫だから、乾かすときだけ手伝って」
へ? あんな重労働をワンオペで? あまりの唐突な申し出に、目が点になった私。一体どうやって一人で押さえてシャンプーするの? 腕だけじゃなくて足も使うのか? どうやって?
私には到底想像もつきませんでしたが、まぁ、途中で助けを求められても良いようにスタンバイしておこう、と、とりあえず夫に任せることに。
夫が猫と浴室に入ると、いつものように「ナオーン」と泣き叫ぶサビ猫あんずの声が聞こえてきました。夫は無言でシャンプーしている様子。きっと必死なんでしょう。
すると10分も経たないうちに、「終わったよー。乾かして」と夫。夫は困難と思われるワンオペ猫風呂をさらりとやってのけたのです。
「全部一人でやる」と夫
そして、今年も「猫のお風呂の時期だね」と夫婦で話していると「おれ一人で洗って乾かすから、赤ちゃんと散歩でもしてきなよ」と夫。
え…? 今度は、洗うだけでなく、全工程を一人で? しかも、もしものために風呂の外で待機する必要もなく、外出しろとまで言っている……。正気かこの人……。
私「一人でなんて無理だよ。赤ちゃん寝ているときとか、落ち着いているときに2人で入れればいいよ」
夫「大丈夫、大丈夫」
夫の「大丈夫」は、いつも自信に満ちていますが、大丈夫じゃないことがわりとあります。今回は信じてもよいものか……。
夫は考えを変えないので、そこまで言うなら……と、赤ちゃんと1時間ほど出かけて戻ってくると、全て終了した後でした。
猫たちはしっぽの毛がしっとりしていて、しきりに毛づくろいしています。
「だ、大丈夫だった?」
夫にそう聞くと……
「あんまり大丈夫じゃなかったけど、何とかなるもんだね。ちょっと引っかかれちゃったけど~」
夫は短パンで挑んだため、すねに名誉の負傷をしていました。あの辛くて大変な作業を一人でこなすなんて……。夫から後光がさしていました(イメージです)。猫を拭いたタオルがあちこちに落ちていたり、毛の処理などの後片付けは私の担当でしたが、それくらいお安い御用です。
なぜ一人で入れたがるのか聞くと、私が「猫がかわいそう」など言って及び腰で猫を押さえるより、自分一人で猫をしっかりと押さえて、がーっと洗ってしまった方が精神的に楽なのだそうです。私の中途半端な気持ちが猫にも伝わって、かえって怖がらせていた恐れもありました。
さらに、いつも家事をしない夫に「猫を風呂に入れたら、家事をしないことは帳消しになる」と言ったことがかなり効いたようです。
まぁ、猫の断末魔の叫びを聞かずに、猫たちがキレイになっていたので、他の家事くらい私が引き受けようと思いましたが、なんだかだまされたような気もしています。
(ヤスダユキ)
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