愛犬への思い歌う泣ける曲「赤い首輪」 永遠に答えの出ない問い

 “泣ける歌”として愛犬家のみならず話題沸騰中の「赤い首輪」。二人組のアーティスト「吉田山田」によるこの曲は、メンバーの吉田結威さん(G, Vo)の愛犬との実体験をもとに、パートナーの山田義孝さん(Vo)とともにつくられた。

(末尾に写真特集があります)

──『赤い首輪』は、「犬の歌を作ってみたら?」という制作スタッフからの何げないひと声が始まりだった。

吉田(以下敬称略) 犬について僕は、大事にしすぎて避けてきたところだったんです。犬ってそこに居てくれるだけでいいし、感謝の気持ちもわかっている、それをあらためて言葉にすると安っぽくなってしまう気がしていたので。それが、作り始めたら今までに類を見ないほど早くできたんです。曲ができたらまず最初に山田に聞いてもらうんですが、そのための仮歌(デモ音源)を入れようとしたとき、号泣して歌えなくて……。

山田(以下敬称略) 初めてでした。よっちゃん(吉田)が仮歌をとれないっていうのは。だからこそすごく意味があると。自分の壁を壊して、開けたくない心のふたを開けて作った曲なんです。「赤い首輪」を聴いて“感動した”という人もいる中、“悲しい思い出がよみがえるから聞きたくない”という人もいますが、僕はそれでいいと思っています。痛みの中に忘れちゃいけないことを思い出すこともあるし、今は聞きたくなくても、いつかこの曲に救われる日が訪れてくれるんじゃないかと思っていますから。

吉田 悲しんで欲しくて作った曲ではなく、これは希望の歌なんです。山田が「赤い首輪」について「覚悟を決めて歌っている曲だから」と言ってくれてハッとしたんです。自分が泣いたのは無意識だったんですが、希望があると感じたから歌にしたんだなって。

そばで寝る愛犬チャーリー「僕が見守られていたのかな」

──吉田さんいわく「意図してつくられたものは、僕らも聞かない」。だからこそ作るのが怖く、そのハードルを越えられるか不安だったとも。その気持ちを動かしたのは、愛犬であるチワワのチャーリーと一緒に過ごした時間だった。

吉田 チャーリーと暮らしていたのは、僕が実家にいた10年位。今年チャーリーは15歳ですが、今もしょっちゅう会いに帰っています。一人暮らしになって思うのは、僕の暮らしは犬がいて成り立っていたということですね。チャーリーは僕の体の一部とも言えるし、それだけ大きなものを日常の中でもらっています。

吉田さんとチャーリー(C)PONYCANYON
吉田さんとチャーリー(C)PONYCANYON

山田 音楽活動を始めた当時、僕らは曲作りをよっちゃんちでしていたんですが、録音機を置いて一発どりをしている最中に、チャーリーの「ワン!」っていう鳴き声が入っちゃって、「あーもー!とり直し」ってことが何回もありました(笑)。

吉田 逆もしかりで(笑)。山田がチャーリーにちょっかいを出して、チャーリーが振り返るとやめる、また山田がちょっかいを出して……というのを7、8回やっていたら、チャーリーが突然山田に向かって「はぁーーー」って。

山田 初めて犬にため息をつかれました(笑)。チャーリーの名前を決めるときも僕は一緒にいたんですけどね……(笑)。この前久しぶりに会ったけど、チャーリーいぶし銀な感じになっててね。

吉田 耳が遠くなり、僕が帰ってもすぐには気づかなくなりました。それなのに、僕が落ち込んでいたり、元気が出ないときには、チャーリーが僕の腕のところで寝るんです。昔はそんなことする子じゃなかったのに! 泣いちゃいますよね。チャーリー、わかってんのかな、どうなのかなと思いながらホロホロと。僕がチャーリーを守ってきたつもりだったんですが、本当はチャーリーに見守られていたのかなって。そんな飼い主がつい考えてしまう“永遠に答えの出ない問い”も、「赤い首輪」で伝えたかったことです。

左/吉田結威さん(G, Vo)、右/山田義孝さん(Vo)(C)山本佳代子
左/吉田結威さん(G, Vo)、右/山田義孝さん(Vo)(C)山本佳代子

全国ツアーで新たな「吉田山田」へ

 先日リリースされた新曲「桜咲け」は、TVアニメ「火ノ丸相撲」のエンディングテーマに。主人公が抱える孤独感から着想を得て作られた、優しさと強さをもつ作品となった。カップリングは、2016年にリリースした4thアルバムに収録されている、「押し出せ」のリミックス版。歌詞の「押し出せ、押し出せ、ネガティブ押し出せ!」は、吉田山田のデビュー当時からの合言葉でもある。

 今年10周年の吉田山田について、吉田さんは「誰にでも訪れるどうしようもない瞬間に寄り添える曲を作っていきたいし、そういう存在になっていきたい」。山田さんは「理屈ではなく“この人に会うと元気になれる”“なんでもできそうな気がしてくる”、そういう音楽でありたい。僕らにできることをしながら、うそのないように生きていきたい」とこれからの意気込みを語る。

 全国ツアーも始まり、新たな「吉田山田」へと進化するべく思いを届けていく。

吉田山田
吉田結威(Gu/Vo)と山田義孝(Vo)からなる二人組アーティスト。2009年10月「ガムシャランナー」でメジャーデビュー。2018年10月21日にデビュー丸9周年を迎え、10周年イヤーへ突入。同年10月にリリースしたアルバム「欲望」に収録した「赤い首輪」がペットを飼っている人々の中で共感を呼び話題となっている。2019年2月20日に最新シングル「桜咲け」をリリース。3月から全国47都道府県ツアー「吉田山田47都道府県ツアー〜二人またまた旅 2019〜」を開催。
https://yoshidayamada.com/

小見山友子
フリーランスエディター・ライター。アパレルブランドなどを経て独立、女性誌、男性誌、カルチャー誌、WEBメディアなどでファッション、フード、ペット、人物インタビューなどの記事を編集・執筆。2014年にINUTONEKOTO(http://inutonekoto.com/)を立ち上げ、犬や猫と暮らす人々のライフスタイルを伝えている。わがままで気ままな愛犬と暮らす。instagram @tomokokomiyama
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