野良犬から生まれた子犬 大きくなって家族を守る存在に

チャーリー
チャーリー

 いまでこそブリーダーやペットショップで、犬や猫など動物を「買う」のが当たり前のようになっているが、一昔前は、犬は人からもらって飼うことが多かった。大阪府内の村上さん宅でも歴代、雑種の犬をもらって育ててきた。現在飼っているチャーリーくんも保護団体「ARK」(大阪府)から譲渡された犬だ。

(末尾に写真特集があります)

子犬時代のチャーリー
子犬時代のチャーリー

野良犬がお寺で産んだ子

 チャーリーくんは、野良犬が寺の境内で産んだ子犬のうちの1匹。母犬と子犬たちはARKに引き取られ、子犬は人と暮らしていけるように育てられた。

 村上さんは新しい犬を迎えようと考えていた時に、ARKのホームページでチャーリーくんを見つけて一目惚れした。ARKは山深い場所にあるため、定期的に都心部で出張譲渡会を開いていた。その譲渡会にチャーリーくんも出ると知って、村上さんも足を運んでみた。だが、お腹に虫がいたため、その日、チャーリーくんは残念ながら欠席だった。「あんなに可愛いと人気があって、すぐにもらわれてしまうかもしれない」。そう考えた村上さんは、はやる気持ちでARKまで会いに行ったそうだ。

 子犬の兄弟たちは生後3カ月になり、母犬と一緒に暮らしていた。コロコロの可愛い子犬たち。子犬を抱き上げてみると、どの子もかわいかった。先代の犬に似た子犬がいたので、少し迷ったが、「人も犬も縁が大事」と最初にホームページで見初めたチャーリーくんをもらうことにした。

りりしくなったチャーリー
りりしくなったチャーリー

家族と離れて、しょんぼり

 きれいにシャンプーされたチャーリーくんを電車で連れて帰る時、そわそわしだしたので、5駅手前で下車して、キャリーを開けてみた。顔を出したチャーリーくんは未知の世界にワクワクするどころか、家族と引き離されたことが悲しかったのか「がっくり」と落ち込んだような顔をしていたという。

「近所の人におひろめしても、しょんぼりとしたままで、どうしようかと思いました。でも、3日後にはお散歩も楽しくできるようになり、家になじんでいきました。ARKでいろんな人と触れ合って育てられ、社会化されたのが良かったのだと思います」

 ARKでは去勢手術も受けていた。村上さんが以前に飼っていた2匹は、去勢手術をしていなかったからなのか、前立腺系の病気を患った。それまでは去勢するか、家族だけではなかなか決断できなかったが、ARKの方針だったので受け入れられたという。

 小さな頃から愛情たっぷりに育てられたチャーリーくん。今は村上さんのお母さんと暮らしていて、家のそばを通学する小学生に声をかけられるという。番犬としても頼りになり、しっかりお母さんを守ってくれている。

<チャーリーの出身団体>
アニマル・レフュージ関西(ARK)
さまざまな理由で保護した犬や猫の心身のケア、社会化トレーニング、里親探しなどを行っています。
住所:〒563-0131 大阪府豊能郡能勢町野間大原595 アニマルレフュージ関西
HP:http://www.arkbark.net/
営業時間:10:00~16:00
Tel:072-737-0712/Fax:072-737-1886
E-mail: ark@arkbark.net
渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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