猫たちの未来を作る保護猫カフェ 可愛く、静かな時間

人懐っこいカラニ
人懐っこいカラニ

 世に「猫カフェ」が溢(あふ)れていることは知っていたが、そこに行ってみたいという思いが募ることはなかった。なぜなら、家には常に世界一可愛いチャッピーとグーグーが待っているのだから(すみません。猫バカで)。

 最近、近所に猫カフェができたと妻が教えてくれた。近所なら一度は、と興味を持った。が、撮影が続いていることもあり、それに家に帰るとやっぱりどこからどう見ても世界一可愛いチャッピーとグーグーが出迎えてくれ、その存在を忘れた。

 妻一人、その店に行ってきた。買ってすぐ使わなくなった猫グッズの処分に困っていた時、ふと、猫カフェなら必要なのではとホームページを見たら、やはり引き取りをしていたので行ったらしい。

 妻が、私も一度行ってみたらと言う。その店の猫は様々な事情で行き場所を失った保護猫がいる店だったのだ。しかも、そこではその猫たちの新たな飼い主も募集していて、譲渡も行っている。

 それまで、自分の中でどこかその存在意義がぼんやりとしていた猫カフェにピントがあった。もう随分前からそのシステムはあったのだと思うが、初めて身近な存在となった。癒やしだけでなく、猫たちの未来を作ることも併せ持つ空間、保護猫カフェ。

 店に入って驚いた。10匹以上いる猫が皆とても人懐っこい。聞けば、ここに来るまでに、ボランティアの方などが人慣れするように長く接してくれているという。店の猫たちの中にはつらい過去を背負ったものもいると思うのだが、そんなことは全く感じさせず、ゆるゆると可愛く、静かな時間が流れていた。

 もちろん、可愛いと思ったからといって簡単に新たな飼い主にはなれない。厳しい審査を経て初めて譲渡をしてもらえる。猫たちの将来をしっかり見据えるためには当たり前のことだ。より良きシステムができて、より猫にとって良き場所になっていって欲しい。

 写真は、会って5分で肩に乗りにきてくれた雌猫のカラニちゃんです。

犬童一心
1960年東京生まれ。映画監督。主な監督作品に「金魚の一生」「二人が喋ってる。」「金髪の草原」「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」「のぼうの城」など

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この連載について
遠い目をした猫
「グーグーだって猫である」などを撮った映画監督で、愛猫家の犬童一心さんがつづる猫にまつわるコラムです。
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