水が苦手でも…西日本豪雨の夜、助け合った愛犬2匹 絵本化へ

(右)西日本豪雨から約10日後に息を引き取ったチョコ(左)チョコの鳴き声のおかげで助かったミルク=いずれも遠藤寛子さん提供
(右)西日本豪雨から約10日後に息を引き取ったチョコ(左)チョコの鳴き声のおかげで助かったミルク=いずれも遠藤寛子さん提供

 7月の西日本豪雨から4カ月。岡山県倉敷市真備町地区で被災した2匹の犬の実話を絵本にしようと、元アナウンサーでつくる朗読グループがクラウドファンディング(CF)で資金を募っている。「あの日何があったのか。絵本を通じて語り継いでほしい」と、支援を呼びかけている。

 2匹はロングコートチワワのチョコ(14)とミルク(11)。真備町地区の飼い主の女性(60)宅で暮らしていて、豪雨に襲われた。

 女性が2階で寝ていた7月7日午前0時すぎ、2匹がいる1階からの鳴き声に気づいた。すでに1階は床上浸水し、階段の2段目に迫っていた。「水がこんなに来ているとは」。上下に重ねたケージの一つに入っていたチョコがしきりに鳴き、下のケージにいたミルクは水面から鼻だけ出してピクピク動かしていた。

 間一髪で2匹を助け出したが、2階にも水が届き始めた。女性は2匹をバッグに入れて抱え、屋根の上で救助を待った。「チョコは水が大嫌いだったから怖かったと思うけれど、じっとしていた。2匹の心臓の鼓動が忘れられない」

 救助隊のボートに助けられたのは7日の昼。その後、親戚宅に身を寄せていたが、豪雨から約10日後、チョコは眠るように息を引き取った。亡くなる直前、珍しく女性のひざにのってなかなか下りなかった。

「あの時、チョコがワンワン鳴いてくれたから水が来ていることに気付いて、ミルクを助けることができた。チョコに『ありがとね』と伝えました」

 チョコの死後、ミルクはしばらく部屋をうろうろとし、その姿を捜しているようだったという。

 この話を聞き、絵本化を思い立ったのが山陽放送(RSK)の元アナウンサー6人でつくる朗読グループ「おはなしのWA♪」。東日本大震災後、岡山県内で朗読会を開いて寄付を募るなど、被災地支援を続けてきた。今のところ、2匹が調査隊に任命され、同様に被災した柴犬やパグ犬、ポニーなどに当時の話を聞きに行き、最後に自分たちの体験を振り返る構成を考えているという。

 グループ副代表の遠藤寛子さん(47)は「私たちが被災地を訪ねて聞いたペットの話を盛り込みたい。多くの人に読んでもらうことが、豪雨災害の風化を防ぐことにつながる」と話す。

 作画は真備町地区で被災したイラストレーターの氏峯麻里さん(31)が担う。氏峯さんは「手にした人が優しい気持ちになれるような絵を描きたい」という。

 CFは12月31日まで。募金額に応じ、2匹のステッカーや完成した絵本などの返礼品を贈る予定。申し込みはホームページ(https://readyfor.jp/projects/bdp20180707)から。
(玉木祥子)

朝日新聞
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