愛猫とケンカ! しょんぼり猫に「ごめんね」と言ってみたけど…
先日、愛猫のあんず(7)と初めてケンカをしました。私が一方的に怒ってしまっただけなので、ケンカにはなっていないかもしれないけれど……。
きっかけは、いつものあんずの“フミフミ”でした。
私がソファでくつろいでいると、あんずが「ニャ~」と甘え声で腰元にぴったり寄り添ってきて、いつもの“フミフミ”が始まりました。わき腹の周辺で、お手々をギュッギュッとして、うどんでもこねているかのように、力強く踏むのです。
服の上からとはいえ、前足の爪をしばらく切るのを忘れていたせいで、ちょっと痛い……。
なので、服の中に手を入れ、服を体から浮かせるようにして、服だけフミフミさせるようにしました。しかし、それだと手ごたえがないのか、私の“お肉”があるところに移動させて、フミフミするあんず。
痛い……、そろそろやめてくれないかな……。と思っても、全くやめる気配もなく、恍惚の表情で一心不乱にフミフミを続けるあんず。長いときは20分くらい続きます。
すると、一番伸びた爪が服の上からザクっと皮膚に入りました。
「いったーーい! もう、やだっ! いい加減にしてよー」と大声を出し、あんずの前足を押しのけました。
強い力でどけたわけではありませんが、あんずは初めての出来事に驚いてしょんぼり。
さっきまで楽しそうにフミフミしていたのに、うつむいて、しょげるあんず……。
はっと我に返りました。ああ、私はあんずの小さな楽しみの時間を奪ってしまったんだ。
「ああ、ごめん、ごめんね~、あんずちゃん……」
頭をナデナデしましたが、うつむいて、しょんぼりしたままです。逃げ出してはいないので、怖がっている様子はありませんが、元気がないのは明らかです。
「ごめんよ~、私が爪を切らなかったのが悪いのにね……」
どんなになでても、しょんぼり感は消えず、体を丸めてしまいました。
こんなとき、猫に言葉が通じないのがとてももどかしく感じてしまいます。でも、「ごめんね」が通じたところで、さっき大声を出してしまったことは取り返せません。
完全室内飼いの飼い猫の一日は、寝て、食べて、遊んで、また寝て…。それくらいしかすることがありません。
それでも幸せそうではありますが、飼い主とのコミュニケーションは大切な時間です。特に、あんずは飼い主に限らず、人が大好きなので、信頼している人に拒絶されたらものすごく悲しいはずです。
とっさにあんずを退けてしまった自分を責めていると、あんずはそのまま眠ってしまいました。
そして、しばらくして目を覚ますと、伸びをして水を飲み、「ニャー!」とひと鳴き。
その後もニャーニャーと元気よく鳴き続け、いつの間にか“遊び要求”が始まっていました。
ほんの1時間前まで、あんなにしょげていたのに。私の自責の念に駆られて過ごした時間は一体……。
まあ、あんずが元気を取り戻したんだからいいか! その後は、思いっきり仲直りの遊びをしました。
翌日、また私のそばに来て、“フミフミ”体制に入るあんず。昨日のうちに爪は切ったので、準備万端です。さあ、思う存分フミフミを!
すると、あんずはおずおずと手を出し、“6フミ”くらいでやめてしまいました。ああ、やっぱり忘れてはいなかったのか。なんて賢くて優しい子……。
「昨日はごめんね、あんずちゃん」
体をなでまわすと、満足気に喉をゴロゴロ鳴らしていました。
もしかしたら、昨日の出来事は忘れてしまったけど、何となくフミフミはしすぎないほうが飼い主は嬉しいのかな、と学習したのかもしれません。あんずは、暴れん坊な一方で、優しい心の持ち主なのです。
また時が経てば、長いフミフミをするかもしれないけれど、今のところは、気を遣ってくれているようです。
猫は言葉が通じませんが、その分、過敏なほど心が通じているような気がすることがよくあります。
言葉が通じなくてもどかしい、なんて少しも感じていないだろうし、ごはんと寝る場所と遊び以外は、何も要求することはありません。そんな猫たちの寿命は長くて20年ほど。そう思うと、今回のように猫に気を遣われてしまうと、心がギュッと締め付けられる思いがします。
猫との生活は人生で初めてのことだったので、猫によって性格が全く違うことなど、新しい発見ばかりの日々ですが、これからも猫との限られた時間を大切に、猫にとって快適な暮らしを提供したいと思うばかりです。
◇ ◇
さて、連載は今回で149回目でした。私の都合により、これにて一時休止となりますが(キリが悪くてすみません)、今まで以上のネタを携えて、また必ず戻って来たいと思っています。次の150回目、ビビりのキジトラ猫モモと、元気いっぱいなサビ猫あんずに、また会いに来ていただけたら幸いです! 読んでくださった皆さま、ありがとうございました。
(ヤスダユキ)
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