高齢猫(老猫)に向くフード えさの好み変化、与え方も考えて

 若い人と老人では、好む食事や適した食事が変わるように、猫の場合も、いつまでも同じフードを与え続けるのではなく、ライフステージに合わせた食事を選んであげることが大切です。特にシニア期には、消化能力が落ちていますから、体に合わせたフードをあげるようにしましょう。

フード選びの基本

 キャットフードを選ぶとき、皆さんはいったいどこを見て判断しているでしょうか。コマーシャルやパッケージの表面に書かれているキャッチコピー、写真などを見て選んでいるという方もいるかもしれません。

 しかし、フード選びで重要なのは、パッケージの表ではありません。実は、パッケージの裏面や側面が重要なのです。パッケージの裏面や側面には、成分や賞味期限、フードの目的などが書かれた箇所があるはずです。フードを選ぶときは、まず、この部分をチェックしましょう。

フードは袋の裏側を見て
フードは袋の裏側を見て

パッケージの中で見るべき情報

 最初に見るべきなのは「目的」です。キャットフードの目的は大きく分けて「総合栄養食」「一般食」「その他の目的食(おやつ)」「療法食」の4つがあります。

 このうち、通常の食事には総合栄養食を選ぶ必要があります。一般食やおやつは、それだけでは必要な栄養を補完することができませんので注意してください。また、療法食は特定の病気の治療や予防に対して食べる物で、間違って食べると、病気を悪化させてしまう可能性もありますので注意しましょう。

 また、賞味期限や原材料といったことについてもチェックしてみましょう。かかりつけ医で、どんなフードを与えるのがいいか聞いてみるのもおすすめです。

ドライフードとウェットフードの違い

 総合栄養食の中には、ドライフードとウェットフードの2種類があります。

 ウェットフードは水分量が多く、水を飲まない猫にはおすすめです。ただし、歯石がつきやすく、一度開封すると長期保存ができません。一方のドライフードは、保存性に優れ、歯石がつきにくいというメリットがあります。それぞれの特徴を知った上で検討してみてください。

高齢猫には高齢猫用を
高齢猫には高齢猫用を

高齢猫にはシニアフードを与えよう

 キャットフードには、前述の「目的」や、ドライ・ウェットといった「形状」のほかに、「対象年齢」による区分もあります。猫がシニア期にさしかかったら、「シニアフード」を選ぶようにしてください。

 シニアフードは、高齢猫のために作られたキャットフードですから、消化が良く、加齢に関係した栄養素を多く含むといった特徴があります。

 シニアフードに切り替える時期は、それぞれの猫の体調などにもよりますが、7歳から11歳頃が適齢期です。そろそろ年齢を感じ始めたなと思ったら、シニアフードに切り替える時期かもしれません。

高齢猫へのフードの与え方

 高齢猫は、関節を痛めていることも珍しくありません。また、筋力が低下して、屈むのが難しいこともあるでしょう。このような猫に負担をかけずにフードを与えるためには、台に食器を置くのがおすすめです。頭を大きく下げなくても食べられる高さに設置してあげてください。

 また、食器からフードを食べない場合は、飼い主さんの手やスプーンで与えてみましょう。少しずつ差し出すことで、食べるようになることもあります。

 なお、固い粒状のドライフードは、歯が悪くなってくると食べられないこともあります。そういうときはドライフードをふやかしたり、ウェットフードを取り入れたりするなど、猫が食べやすい形状にしてあげましょう。

年をとると、猫も好みが変わる
年をとると、猫も好みが変わる

食欲がないときの工夫

 加齢が進んで、食欲が出ないときは、ドライフードをお湯でふやかしたり、ウェットフードを少し温めたりしてみてください。さらに、ゆで卵やささみ、猫が好きなおやつなどをトッピングしてあげるのもおすすめです。

 どんな食事を好むかは、猫によってそれぞれ違います。どうすれば食事をとってくれるか、いろいろ試してみてください。

 また、年齢を重ねると、食べ物の好みが変わる可能性もあります。「うちの猫はこれが好きなはず」と思い込むのではなく、「今、うちの猫が好む物」を見つけてあげることが大切です。

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東京猫医療センター(東京都江東区)院長。JSFM(ねこ医学会)CFC理事。 北里大獣医学部卒。2005年から猫専門病院長を務める。2012年に東京猫医療センターを開院。2013年、国際猫医学会からアジアで2件目となる「キャット・フレンドリー・クリニック」のゴールドレベルに認定される。

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この連載について
高齢猫との暮らし方
室内飼いが増え、猫も長寿に。高齢猫と長く幸せに暮らす方法や、万一の時の対応について、猫専門の服部幸獣医師が解説します。
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