保護犬1匹と保護猫2匹 「おやつ会議」もする3匹の日常を紹介
雑種犬のキップル(11歳/メス)と、黒猫のクロ(推定9歳/メス)、ハチワレ猫の小鉄(5歳/オス)と暮らすのは、料理研究家の桑原奈津子さんとデザイナーの夫。先日発売された、3匹の日常をつづった本『いっぴきとにひき』(大福書林)は、発売されるやいなや売り切れ店が続出した。聞けば、2年もの歳月をかけて作られたという。
「小鉄を迎えてから気軽に撮るようになったのですが、量が膨大すぎて、まとめるのに時間がかかってしまいました。3匹と暮らしていると毎日撮りたい瞬間がたくさんあるんです」と桑原さん。ラグの上でゴロゴロしているキップルと小鉄、家の2階から下をのぞく3匹の姿など、飼い主でなくとも思わずほおがゆるんでしまう写真ばかり。
そんなうつりゆく日常が収められているのだが、“かわいい”“いやされる”だけではないのが特徴。そもそも桑原さんが本を出したきっかけは「保護犬や保護猫について、もっと興味をもってほしい」と思ったから。キップルと小鉄は里親募集サイトで出会い、クロは桑原さんの家の庭に遊びに来ていた元野良猫。桑原さんは、「里親募集をしている犬猫や雑種犬の魅力について、もっと知ってほしい」と話す。
「里親募集中のなかでも純血種からもらわれていくと聞いたんです。でも、雑種犬って魅力がたくさんあるんですよ。キップルは沖縄生まれなのに雪が大好き。先日の雪が降った日には大喜びしていました。すごくマイペースで、人に同調しない猫っぽい性格のおかげか、留守番も平気。11才になった今でも、小さな子どものような無邪気さがあるんですが、はしゃぎ過ぎるとクロに『シャー』って怒られてしまうんです(笑)」
クロは生後10ヶ月頃に保護した。3匹のなかでいちばん甘えん坊なのだが、いちばんの人見知りでもあるため、甘えるのは桑原さん限定。子猫の頃に引き取った小鉄は、骨格が大きく、今では9キロに成長。定時になると小鉄のボスでもあるキップルを誘い、まんまるな瞳で桑原さんをじっと見つめる。2匹一緒に「おやつ待ち」するのが日課なのだ。
「寝ているキップルを起こしてまで、毎日『おやつちょうだい』って来るんです。3匹もいると、ささいな日常の中に楽しさが増えますね。水飲みの順番待ちが発生することもあるんです。器は2つ置いてありますが、きまって最後尾はキップル。ベッドも2つだと猫たちがそれぞれ使ってしまうので、サイズ違いで3つ置いているんです」
◆犬や猫のことを考えたインテリアや雑貨
ペット用ベッドは面積が大きいから、圧迫感のないよう床の色に合わせた。タオルや毛布は肌触りのいい天然素材に。暖かいけれどフリース素材は、静電気が起きやすい猫にとって心地良くないから。
おもちゃのぬいぐるみは、部屋に落ちていても嫌じゃないデザインを選ぶなど、桑原さんは3匹のことを考えたうえで、センス良く過ごせるインテリアや雑貨選びをしている。
「犬も猫も室内で暮らす方がやっぱり快適です。今では何かあればすぐインターネットで調べたり、フードや雑貨も通販で買うことができます。『いっぴきとにひき』には、これから犬や猫と暮らそうと考えている方の参考になればと、3匹との日常やおすすめめしたいものを書きました」
子どもの頃、動物に囲まれて暮らすのが夢だったという桑原さん。現実となった今、家には人間たちとは別に、犬と猫たちだけの世界があることに気づく。
「人間が用意した空間ですが、そこで動物たちが自由に過ごしているのがうれしいんです。そこには何ともいえない幸福感があります。気ままにベッドを変えながら、のびのび寝ていたり、水を飲んでいる姿も愛おしい。動物と人とが分かりあえている感覚にも喜びを感じます。いつまでも健康な体で長生きしてほしいですし、世界中の犬と猫が幸せでいられることを願っています」
(文・小見山友子)
カフェのキッチンとベーカリー、製粉会社の商品開発、加工でんぷん会社の研究職を経て独立。『シンプルベイク&スイーツ』(オレンジページ)など、レシピ本の著書多数。『パンといっぴき』『パンといっぴき2』(PIE International)は、英・仏・韓国語に翻訳され、海外でも出版されている。 Instagram @kwhr725 Twitter @KWHR725
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。