キャットタワーも登れるよ! わなで後ろ足を失ったコロ助くん
野良猫だったコロ助くん(推定3歳/オス)は誰かに保護され、去勢と目の手術をしてもらったが、なぜか元いた場所とは違う地域にリリースされ、現在の飼い主・コロ助ママ(@korosukeGOGO_JP)さんと出会った。初めは飼い主さんに見守られながら地域猫として暮らしていたが、人が仕掛けたと思われるトラバサミのようなわなにかかってしまったことを機に、コロ助くんのニャン生は大きく変化していった。
(末尾に写真特集があります)
わなによって両後ろ脚と尻尾が壊死したコロ助くんは、なんと自力で2週間かけて歩き、コロ助ママさんの元へ帰ってきた。そんなコロ助くんの姿から「生きたい」という思いを強く感じたコロ助ママさんは家族として迎えることを決意し、できることを模索し始めた。
「最初に連れて行った病院では、手術代が高額で治療がいつまで必要か分からないため、地域猫であったのなら安楽死でいいのではないかと言われました」。しかし、諦めきれず違う病院へ相談。獣医師のご厚意により、20万円ほどで治療を行ってもらえることになったため、クラウドファンディング上で退院後に必要となる介護グッズの購入支援を募りながら切断手術や術後の検診などを進めていった。
人間でいうと、ひざから下を無くした状態のコロ助くんにコロ助ママさんが行ったのは、前脚を鍛えさせるためのリハビリ。
「獣医師からお尻を持ち上げて歩くようにしないと傷口が悪化し、床ずれのようになり再度脚を切断しなければならなくなると言われたので、1カ月間つきっきりであえて歩かせたり、落ちてもいいように座布団を用意しながらキャットタワーを登らせたりしました」
それまでは鉱物系の猫砂を使っていたが、排尿時に付いた猫砂が固まって陰部が締まり、腫れたためすべてシステムトイレに変え、トイレカバーも全て取っ払い、乗り越えられるように工夫した。また、コロ助くんが爪を引っかけて高い場所に登ってしまわないよう、爪切りもこまめにしていたと言う。
こうしたケアのおかげでコロ助くんは現在、基本的には健常猫と変わらず、トイレや移動、キャットタワーの登り降り、食事などを全て自力で行えており、4匹の先住猫ちゃんともお友達にもなれたよう。
「先住猫たちは初め、妙な動きをするコロ助にびっくりしていましたが、保護時に窓から経緯を眺めていたからか、みんな事態を把握してくれたかのように、寛容に迎え入れてくれました」
コロ助ママさんは現在でもコロ助くんが快適に暮らしていけるよう、様々なサポートをしている。「コロ助は片目があまり見えておらず、とても怖がりなので、声をかけたりにおいを嗅がせたりしてから触るようにしています。耳や背中の後ろがかけないので、私が代わりにかいてあげることも」
食事管理の徹底に、足の骨が当たることで痛みを感じてしまわぬよう、長座布団や毛布などを活用し、ふかふかな場所で眠れるように心がけてもいる。
「強制排尿などを行う必要がある“介護猫”になる可能性もあったのですが、コロ助の場合は神経に問題がなかったので下半身不随の猫ちゃんよりも早く回復してくれ、介護生活にもなりませんでした。今の彼は、最高に良い状態です」
障がいのある猫を育てるときにはもちろん、大変なこともたくさんある。だが、一緒に生きる道を探しつづけていくのは飼い主さんだからこそできることだ。
手術後も、コロ助くんが怒ったり恨んだりしてはいないだろうかと悩んだという。「障がいを持ったまま生かすことは人間のエゴではないのか? という疑問は、ずっと私の心の中にあります。しかし、同時にどんな障がいがあり、例え全介護になろうと、生きる道が見えた時点で言葉にならないほどのうれしさも感じられたのです」
安易に死を選択するのではなく、自分がどう猫と向き合い、何をしてあげられるのかを考えながら「生きられる道」を探してほしいとコロ助ママさんは訴える。
「もし、障がいのある猫が保護団体にいたら、ほぼ引き取り手はないでしょう。しかし、金銭的な援助やフードの支援などで支えていけます。ペットショップから猫を迎える前に、自分にできる支援を考えてみてほしいです。そしておうちに迎えるときは“一生この子を守って幸せする”という気持ちを持ち続けてほしいですね」
コロ助くんのニャン生は同じ境遇の子に希望を与えてもくれるはずだ。
取材・文/古川 諭香
写真提供/コロ助ママ @korosukeGOGO_JP
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