壇蜜さんが思わず「もふもふ」したくなる「秋田犬」の魅力
「存在には意味がある」。柄にもなく哲学的なことを考える時もある。私は私として生きる意味や働く理由があるし、我が家の同居人のナマズや猫にも存在する理由がある。
ナマズは姿形で私の美に対する感覚を刺激してくれるし、猫は質感や香りで私の勤務意欲を上昇させてくれる。猫の腹のにおいを嗅いで「よし、今日もがんばるぞ」となる私の癖に関しては、つっこまないでいただきたい。
秋田犬は特に「存在する理由」が濃厚で重大だと思う。帰宅する主人を駅前で待ちわびたり、狩猟犬として持ち前の身体能力を発揮したり、大活躍。熊から主人を守った話もよく耳にする。
最近では、「入れ子式人形」で知られる彼の国の大統領に友好の証しとして贈呈されたり、大館能代空港でお出迎えの任務もこなしたりと大忙しだ。
賢く冷静な内面に加えて、モコモコとした体、愛らしい三角耳と巻き尾、つぶらな瞳という、思わず「わしゃしゃしゃ」「もふもふ」となで回したくなるような愛らしさを兼ね備えているとは……。恐るべしポテンシャル高き犬、秋田犬。
人間の勝手な都合で申し訳ないが、その存在に色々な気持ちを投影されがちなのも無理はない。頼もしい、かわいいを通り越して「尊い」のだ。そりゃ渋谷の待ち合わせシンボルにもされますね……と思ってしまう。
かつて、十文字にある祖母の家でも秋田犬「アキ」を飼っていた。祖母も母も叔母も、とても可愛がっていた。東京でも母は犬を飼うときに、「アキの毛色に似ている」という理由で薄い茶と白のむく犬を選んだほどだった。その犬も他界して少したつが、母は今度犬を飼うことがあったとしても、またその毛色の犬を選ぶだろうと言う。
雪深き秋田の地を生き抜くような丈夫さ、県民に根強く備わった朗らかさやひたむきさを投影されたような気立て、そしてめんこさを背負い生きる……。そんな秋田犬はもはや公務員だろう。いや、「公務犬(いぬ)」か。これからも秋田の人々に寄り添い大事に守られてほしいものだ。
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