ペットのニオイは、室内の空気を上手に流してスッキリ解消
ペットがいる家の「ニオイ」問題。飼い主自身は気がつかなくても、来客に指摘されることもあるようです。犬と猫では、原因も対策も異なります。
犬には体臭があるが、猫にはない
犬の場合、体臭があるため、程度の差はあるにしろ、「犬くささ」という問題が生じます。室内はもちろん、飼い主の服などモノにもニオイがつくので、満員電車などでは「この人は犬を飼っているな」とわかることもあります。
それでも、急に体臭がきつくなるようなことがあれば、体調の変化や免疫力の低下、病気を疑う必要があります。
これに対し、猫はもともと体臭がほとんどありません。排泄物が空気に触れて成分分解することでアンモニアが発生してニオイの発生源になることはありますが、本来それ自体はにおいません。猫が健康で環境に問題がなく、長時間空気にさらされることがなければ、ニオイに悩まされるようなことはないはずなのです。家の中がにおうという状態は、住環境になんらかの問題があることを意味します。
たとえば、おしっこをした直後からにおったり、それまでは気にならなかったのに急ににおったりするようなことがあれば、尿の質が変わっている可能性もあり、内臓疾患などを疑う必要も出てきます。
体調変化のサインを見逃さないために
猫でも犬でも、おしっこのにおいはペットの体調の変化を示すサインです。日常的に室内がにおっていると、こうした変化にも気づきにくくなってしまいます。普段からなるべく臭いが室内にこもらないような対策をして、ニオイがない状態をキープしておく必要があります。
ニオイは特に布のようなものに付着しやすいので、カーテンを洗濯できる素材や抗菌消臭機能があるものに取り替えたり、ソファーカバーやペットのお気に入りの毛布などもこまめに洗濯したりしましょう。
ただし、犬も猫も自分と大好きな飼い主の両方のにおいがついたものがあると落ち着くので、毛布や寝床など洗えるものを全部いっぺんに洗ってしまうのは避け、においのついたものを最低ひとつは残してあげるようにしましょう。それが、猫の場合は、不適切な場所での爪研ぎを減らすことにもつながります。
室内の空気の流れを見直そう
空気が停滞していると、床を掃除していても、臭いの成分が壁や天井など内壁に付着して、臭いを定着させてしまいます。つまり、部屋がにおうのは、空気環境がよくないことを示しているので、ニオイがこもらないように空気の流れを確保するのも重要です。
マンションはもちろん、一戸建てでも、吸気口から排気口まで換気経路を考慮した設計がされているものです。例えば、ドアの下にもアンダーカットといって、床との間に隙間をあけて空気が通るようになっているなどしています。しかし、空気の通り道の途中に大きな家具があったりすると、流れが妨げられてしまいます。
たとえニオイ対策として空気清浄機を設置しても、そこに家の中の空気が流れてこないと意味がありません。たとえば、ゴミが溜まりやすい場所や冷暖房の効きが悪い場所があるなら、そこは空気がうまく流れていない可能性があります。家具を動かせない場合は、サキューレーターや扇風機を使って空気を動かしてあげるといいでしょう。
ペットのトイレは換気扇など空気の出口の近くに置くようにします。多くの場合、水周りや人のトイレに設置されている設備なので、我が家でも飼い猫のトイレは人間のトイレに置いています。逆に、ペットのトイレを空気の入り口である吸気口の近くや窓、玄関などにおいてしまうと、トイレのにおいを家じゅうに振りまいてしまうことになります。
また、窓を開けての換気も重要です。室内の空気を丸洗いする効果があるので、1日に朝晩2回、5分ずつ、あれば対角線上にある2つの窓やドアをあけての換気を習慣づけるのがおすすめです。
◆ペットのニオイ対策のポイント
1)布製品はこまめに洗濯
2)こもらないように空気の流れを確保
3)窓、玄関近くのトイレはダメ
(金巻とも子)
かねまき・こくぼ空間工房主宰。一級建築士、一級愛玩動物飼養管理士、家庭動物住環境研究家。設計業務の他、ペットとの快適な暮らしをテーマに住環境コーディネーターとしても活動。著書に『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、『マンションで犬や猫と上手に暮らす』(新日本出版社)、『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)がある。
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