空気を読み過ぎる猫 号泣する飼い主にそっと寄り添い、翌日まで
猫の“空気を読まない行動”こそ、猫ならではの愛らしさの一つです。
飼い主がパソコンで仕事をしているときにキーボードに乗ってきたり、畳み終わった洗濯物のタワーを破壊してくれたり、休日の朝に限って早朝から寝室前で鳴き続けたり……などなど限りなくあります。
そうかと思えば、“空気を読み過ぎる”猫たちの姿を見ることもあります。
つい先日の出来事でした。ホルモンバランスの変化でイライラする女性は多いですが、私の場合はホルモンバランスが変化すると、理由なく悲しくなります。ホルモンか何かに支配され、手のつけようのない悲しさに襲われるのです。
その悲しみは「こんにちは」と突然やってきて、月1女性の日の初日とともに、「さようなら」と去っていく、とんでもない台風野郎です。
そんな理由なき悲しみに襲われたある日の夜、私は夕食を作りながら、さめざめ泣いていました。
冷静に見ると、滑稽すぎるこの状況。泣くほど悲しいことは何一つないのに、悲しくて涙が止まらない、止められないのです。
「うぅぅ~」と一人泣いていると、元気なサビ猫のあんずが近寄ってきて、足元にスリスリ。引っ込み思案の猫モモも、近くに来て心配そうに見つめています。
さり気ない猫の優しさに触れ、涙が止まるかと思いきや「うわぁぁぁ~ん! 猫たち~!!」と、さらに号泣する私。
泣きながら食事をする私の横で、猫はただ静かに座っていて、食事が済んでも、いつもの「遊んで~」攻撃はありませんでした。猫らは私が“泣いている”“悲しんでいる”、そして“わがまま言っちゃダメなんだ……”とでも分かっているかのような様子でした。
いつもはどちらかというと傍若無人な猫に気を使わせて、悪いことをしていると思いながらもどうにもできず、結局、その日は泣きながら眠りました。
翌朝、私の起床時間になると、毎朝寝室前で鳴くあんずの声が聞こえてきません。まだ寝ているのかと思いきや、ドアを開けると寝室の前に座っていました。
前日のことを覚えているなんて……けなげさに感動しつつも、なんとまだ前日からの悲しみが続いていて、猫の朝食の用意をしながらまた号泣。
いつもは「はやく、はやく!ごはん!」とばかりに、鳴きながら足元をウロチョロする猫たちは、静かに待っています。
そして定位置にごはんを置いてやると、モソモソとお通夜のように静かに食事する猫たちがいました。
猫まで暗い気持ちにさせてしまって、私ってなんてダメな飼い主だろう……と思うとまた泣けてきます。
なんとか泣き止んで仕事に出かけると、午後になってようやく悲しみが去りました。そして帰宅すると、まだ猫たちは大人しい状態でした。
気を遣うように私の顔をうかがいながら、ごはんも静かに食べています。
2匹の食事が終わると、「大丈夫だよ~。ごめんね~」と2匹を交互に抱っこすると、猫たちは「あれ? もう大丈夫な感じ?」と理解したかのように、「ニャオ、ニャオ~ウ」と甘え始めて、いつもの猫たちに戻りました。
我が家の猫たちが暴れたり、ワガママを要求してきたり、鳴いておやつをせがんだりするのは、飼い主の元気があってこそ。
猫らのためにも、心身ともに健康でありたいと思う良いきっかけになりました。
(ヤスダユキ)
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