猫がもてなす温泉宿 写真も楽しめる癒やしのガイド本
猫30匹が出迎えてくれる宿、猫が布団に潜りこんでくるオーベルジュ、お手をする猫がいる温泉施設……。大分県、静岡県、神奈川県など全国12県で猫がもてなしてくれる温泉旅館・民宿・オーベルジュなど19軒を厳選して紹介するフォトブック「ネコ温泉」(辰巳出版)が発売された。
(末尾に写真特集があります)
猫好きにはたまらない宿の数々を紹介してくれる著者は、猫好きの作家・美術家の伴田良輔さん。雑誌「猫びより」で日本各地の猫のいる宿を訪ねる連載を約20年続け、猫たちの写真を撮ってきた。猫と宿に関する大ベテランだ。
「今回の本は、3年前からはじまった『温泉宿にいる猫に会う』というテーマです。つまり、猫と旅という、それだけで楽しいテーマに、さらに『温泉』が加わった、まさに“至福のトライアングル”なのです」
伴田さんがあとがきで記す通り、かなり贅沢な内容。一軒、一軒、伴田さんが実際に泊まりに行き、猫と触れ合っているため、臨場感があり、読むと情景が浮かぶ。
湯布院にある「オーべルゼ レ・ボー」は1日2組だけ客を受け入れる家庭的オーベルジュ。玄関のソファーで青い目の保護猫、銀ちゃん(3歳)がお出迎え。部屋に入ると、キジトラのヨリ男(6歳)、黒猫ヤマト(6歳)、ジジ(6歳)が次々入ってきてご挨拶。地元の食材を活かした夕食を終えて、中2階のベッドルームに上がると、すでにジジが布団カバーの真ん中に丸くなってご就寝! 「こんな体験できる宿はそうない」と伴田さんも驚く。
にごり湯が楽しめる箱根仙石原温泉「みたけ」の玄関には、アメショーのミルク(7歳)がいて、初対面でもすりすり。天井裏で生まれたというレオ(2歳)はフサフサ長毛、そして美少年すぎる玉之丞(2歳)は、白黒の鉢割れで体に水玉、目はグリーン。2年前に宿の前で車にひかれた母猫の横で鳴いていたところを、女将のご子息が見つけて保護した。仙石原地域には猫が多く、以前保護した猫をお客さんにもらってもらったこともあるという。
写真が美しく、丁寧に描かれた猫や宿の様子に引き込まれる。女将さんや中居さんが笑顔で猫と接するショットを見ていると、「その宿でどれほど猫たちが大切にされているか」が伝わり、頁をめくるたびに温泉につかったようなほっこり気分になっていく。
このゴールデンウィークは「写真集」として楽しみ、次の長期休暇には「ぜひ行ってみたい」。そんな気持ちにさせる「旅ガイド」だ。
本体 1400 円(+税)オールカラー
発行日 2017年 5月1日
企画・編集 猫びより編集部
発行 辰巳出版
はんだ・りょうすけ 京都生まれ。作家、美術家。著書に『奇妙な本棚』(ちくま文庫)、『謎解き父さん世界の見方を変える 12 問』(朝日出版社)など。猫関連では『ようこそ女将猫』(日本出版社)、『伴田良輔の気まぐれ猫散歩』(辰巳出版)など。最新刊は『乳房のある風景』(シンコーミュージック)。
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