なぜそこで…!? 2匹の猫が愛する決戦場はボロボロの椅子

椅子の上でぐっすり眠るモモ。鼻が寒いの?
椅子の上でぐっすり眠るモモ。鼻が寒いの?

 我が家のリビングの中央には “捨てたいけど、捨てられない椅子”が鎮座しています。


 リビングといっても狭い空間ですので、部屋のど真ん中にボロボロの椅子がある、という切ない状況です。


 夫の作業机にあったファブリックの椅子なのですが、経年劣化で座るところがかなりへこんでしまい、お役ご免となりました。背もたれで猫がたまに爪とぎをしていたので、ボロボロになっていたことも、捨てる理由の一つでした。


 そして新しい椅子を買い、「古い椅子は粗大ゴミの収集センターに連絡して、持って行ってもらおう」とか言いつつ、リビングに置かれたまま数日が経過。


 そうこうしているうちに、その椅子は猫たちの遊び場&爪とぎ場&大事な寝床になってしまい、捨てられなくなってしまったのです。


 特にビビりのキジトラ猫、モモが好きな寝床になっています。少し高くなった椅子に寝そべって、部屋全体を見渡すのが好きなようです。


 また、猫同士の“椅子取り合戦”も繰り広げられています。


 例えば、モモが椅子の上で寝ているとき、さっきまで別の場所で寝ていたサビ猫あんずが、急に椅子で寝たくなるのか、無理やり椅子の上に乗ります。


 そして椅子の上が決戦場となり、2匹でキャットファイトが始まるのです。ネコパンチ、かみつき、威嚇など…。(全て遊びの範疇で、本気ではなさそうです)勝敗は、どちらかが下に落とされることで決まります。今のところ勝率は五分五分です。


 2匹はいつも、狭いベッドにぎゅうぎゅうになって仲良く一緒に寝ていますが、なぜか椅子に限っては「どちらか1匹」のルールが存在しています。


 猫にとっては、奪い合うほどすてきな場所、ということなのでしょうか。


 あんずは勝負に負けると、椅子は諦めて私のほうにすり寄ってきますが、モモの場合は、負けると椅子の下に陣取ります。あんずが椅子からいなくなるまで、待つのです。これはけなげととるべきか、執念ととるべきか…。


 モモは好きなおもちゃに対しても執着心を示すので、そこは性格なんだろうなと、感心するところでもあります。

 

椅子の上でダラけるあんず。
椅子の上でダラけるあんず。

 また、椅子取り合戦までいかなくても、椅子の上にいる猫が、椅子の下を通過する猫にちょっかいを出して、そのままけんかになるパターンもあります。


 大抵、ちょっかいを出すのは遊び好きのあんずです。あんずが椅子の上で毛づくろいなどをしているとき、椅子の下をモモが通過します。すると、あんずは椅子の上から手を出して、モモの背中をバシっとパンチ。


 モモはカーッとなって、椅子の下からあんずの顔をパンチ。


「なによ!」


「やったな!」


 という具合に、2匹で取っ組み合いのけんかをするのです。椅子から下りて、追いかけっこになることもよくあります。それが良いストレス発散になるのか、激しい戦いの後は、ぐっすりと寝ています。


 ちなみに、普段の2匹は大変仲良しです。椅子が良いコミュニケーションの材料になっているのでしょう。


 このように、捨てるはずだった椅子は、夫が椅子として使っていたときよりも、愛され、重宝されています。夫の椅子だった頃は、たまに爪とぎをする程度だったのに、部屋の真ん中にあることで、猫が「自分たちの物だ!」と認識したのかもしれません。


 猫のために買ったキャットタワーよりも、捨てるはずの椅子のほうが何倍も役に立っているという状況は、何とも猫らしいなと感じています。


(ヤスダユキ)

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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この連載について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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