ハンターはいったい何歳? それもまた保護犬と暮らす醍醐味

ハンター、本当は何歳なの?
ハンター、本当は何歳なの?

「推定3歳~5歳」ということで我が家にやってきた保護犬ハンターとも、やがて丸2年の付き合いになります。

 我が家にとって、ミニチュア・ピンシャーはハンターで3頭目。3歳ぐらいまでは落ち着かない犬種だとは聞いていましたが、1頭目のピンは、私にとって「初めての犬」だったことを見透かすかのように、いくつになっても落ち着きがなく、赤ちゃんっぽかったことをいまでも懐かしく思い出します。

€「ピンちゃんはいったい、いくつになったら落ち着くんだろうね」と夫や、当時近所にあった『犬の佳族』のスタッフさん、さらには動物病院の獣医さんや看護師さんらと度々話したものです。

 2頭目のココは、1歳を過ぎてもブリーダーさんのところに居たからか、子供っぽさはなかったものの、自由奔放な性格で、元気にほえて……、まぁ、良いほうにとれば「番犬」として既に10歳になります。

€ で、ハンターですが、いまだに落ち着きがなく、相性がいいとは言えない夫の帰宅時には相変わらずキャンキャンと甲高い泣き声でほえるし、リビングの壁づたいにグルグルと何周もします……。

 €私のことは大好き(←夫談)なので、私がちょっとでも動くと、金魚のフンのように私の後にピッタリ付いてくるハンター。ピンやココと違って尻尾を切っていないので、半円を描くようにカーブした長い尻尾をビュンビュン振るさまは、私には初めて見る光景であることもあり、可愛くて可愛くてしかたがありません。

€ そんなハンターと距離がある夫はすごく冷静に「ハンちゃんはまだ赤ちゃんだよね」「2歳に近い3歳だよね」と言い続けてきました。

€ ですが、そのハンターも我が家の家族になってやがて2年が経とうとしているのです。

 もっとも少なく見積もって「推定3歳」でやってきたのだとしても、もう5歳。立派な大人です。なのにこの落ち着きのなさと赤ちゃんっぽさはいったい……。

 そんな様子をある動物愛護センターの職員さんに話してみたところ、意外すぎるお答えが返って来たのです。

「保護犬の推定年齢というのは、たまたま、そのとき診た獣医さんの直感というか、その場の判断なので、誤差はあると思いますよ」

 え~~~!?

 私はてっきり、獣医さんが犬や猫の年齢を見立てる際には、それなりに医学に基づいて判断をされているとばかり思っていたのです。たとえば血液検査をしてみたり、各臓器をエコーなどで見てみたり……と。

 でも、件の職員さんに言わせると、「パッと見」での判断ということになります。すべての獣医さんが「直感」だけで見立てているわけではないと思いますが……。

€ それを夫に報告すると、「だから言っただろ? ハンちゃんは1歳くらいでウチに来たんだよ」と、さらに年齢を下に見積もるのでした。

€ 15年の3月22日に正式譲渡になったので、その日を3歳の誕生日としてみたのですが、夫の計算では(!)来年の3月22日で、やっと3歳……という計算に……。

 考えれば考えるほど、わからなくなるし、いまもハンターは私のひざの上に乗っかって安心しきってスヤスヤと眠っています。

 幸いにもとても健康なので、ほとんどと言っていいほど動物病院のお世話にもならないハンターですが、お散歩中などに「何歳ですか?」と聞いていただくときは、「話せば長いのですが……」と説明が本当に長くなってしまうのでした。ま、そこもまた保護犬と暮らす、醍醐味なのでしょうね。

 何歳かわからないままのハンターのことが私はいとおしくてたまりません……。

山田美保子
1957年生まれ。青山学院大学卒業後、ラジオレポーターを経て、放送作家、コラムニストなどを務める。『踊る!さんま御殿!!』の構成や、『サンデージャポン』『ドデスカ!+』などのコメンテーターを務める。ほかに雑誌、新聞、WEBに連載多数。

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この連載について
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