ペットも災害の犠牲者 広島土砂災害で保護した犬が天寿まっとう

広島土砂災害で被災し、ピースワンコに引き取られた白龍
広島土砂災害で被災し、ピースワンコに引き取られた白龍

 炎暑の8月を迎えると、2年前の広島土砂災害を思い出す。2014年8月20日未明、広島市安佐南区、安佐北区のあちこちで土石流やがけ崩れが起き、死者77人(災害関連死を含む)を数える大惨事になった。ピースワンコ・ジャパンにとっては、夢之丞とハルクが救助犬として初めての現場をふんだ災害でもある。

 先月下旬、この土砂災害に深いゆかりのある保護犬が天寿をまっとうした。11歳の雄の秋田犬、白龍(はくりゅう)である。

 白龍は、暮らしていた安佐南区八木8丁目で家ごと土砂に流された。泥の中から救い出されたものの、大型犬で避難所には連れて行けなかったため、車で2時間近く離れたピースワンコの施設で保護することにした。

 生まれつき後ろ足が不自由だった白龍は、運動不足で体重が50kgを超えていたが、飼育スタッフによる栄養管理と運動でダイエットに成功。一日の大半を日なたぼっこをして過ごしつつ、亡くなる数日前まではゆっくりした足取りで散歩もしていた。元の飼い主さんもときどき会いに来たり、電話で様子を尋ねたりしてくれていた。

 白龍の呼吸が乱れて苦しそうなのにスタッフが気づいたのは、7月19日の朝。病院に連れて行くと、拡張型心筋症による重度の酸欠状態と診断された。心臓の周囲には血液交じりの体液が1リットル以上たまり、急いで抜き取ったが、いつ心臓が破裂するかわからない。そのまま緊急入院させ、カテーテルによる酸素吸入をしながら、心臓の肥大化を防ぐ薬や利尿剤を投与した。

 翌日には薬の効果が出始め、元の飼い主さん家族も面会に来てくれた。立ち会ったピースワンコの獣医師の話では、白龍は懐かしい顔を見て一瞬元気を取り戻したように感じられたが、飼い主さん家族が帰ると心なしか落ち込み、嫌がっていた顔の周りをふいても怒らないほど元気がなくなったという。

 血中の酸素濃度などの数値が改善したので、22日午後に退院してピースワンコの施設に戻った。ご飯もふつうに食べてホッとしていたが、翌朝、冷たくなっているのを見回りのスタッフが見つけた。火葬後のお骨は、分骨して元の飼い主さんにもお渡しした。「生きているうちに会えたので十分です」と言ってもらった。

 熊本地震でもあらためて感じたことだが、災害は人間だけでなく動物たちの生活も一変させてしまう。住み慣れた場所を突然離れ、家族と別れて暮らさなければならなくなった白龍は、さぞかし寂しかっただろう。2年近くを過ごしたピースワンコでの日々が、白龍の心に少しでも安らぎをもたらせたのなら、せめてものなぐさめである。

大西健丞
1967年生まれ。NPO法人「ピースウインズ・ジャパン」代表理事。広島県神石高原町にシェルターを設け、捨て犬の保護・譲渡活動に取り組むプロジェクトを運営している。

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この特集について
大西健丞のピースワンコ日記
NPO「ピースウインズ・ジャパン」代表の大西健丞さんが、殺処分ゼロをめざして犬の保護活動に取り組む日々を語ります。
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