犬を飼う前に知ってほしいこと 雑種は強い、けれど難しい

野犬の子どもたち
野犬の子どもたち

 純血種を選ばず、雑種を選べばこれまでお話してきた遺伝的疾患のリスクはかなり低くなると考えられます。いろいろな犬種が混ざった雑種犬は犬本来の自然な姿かたちをしています。かつて動物行動学者のマイケル・フォックス博士が来日された際に雑種犬を「ナチュラルドッグ」と呼んでおられるのを聞いて、なるほどと思ったものです。

 雑種強勢(ざっしゅきょうせい)という言葉がありますが、これは雑種が両親よりも体格や病気・環境に対する抵抗性あるいは繁殖力などの点ですぐれた形質を示す現象を言います。俗に「雑種は強い」と言われるのは、ある意味正しいと言えるでしょう。

 ただし、一般的に雑種は望まれずに生まれるケースが多く、動物保護施設などから入手するケースが多いと思います。このような子犬たちは母犬から早い時期に離されている場合が多く、その意味でさまざまな行動上の問題を抱えるリスクは高くなるとも言えます。サルやげっ歯類などの研究で早期母子分離の影響として神経質で攻撃性が高く社会性が低いなどの問題点があることがわかっており、犬でもその傾向は認められます。

 また保護施設に引き取られる子犬は野犬の子どもであるケースも少なくありません。野犬が悪いというわけではありませんが、保護されるまで全く人とのかかわりを持っていない場合には人に慣れるのに時間がかかる可能性があります。日本犬系の雑種が多いという傾向あり、前回お話ししたような日本犬特有の用心深い気質を持っていることが少なくありません。サイズ的にも中型~大型に成長する場合が多く、体力もあるため、十分な社会化やきちんと管理できる家族がいる家庭が向いています。

 さらに最近、ハーフ犬とかミックス犬と呼ばれる純血種同士の交配もよく見られます。これはきちんとした調査もされていませんし、予測が難しいですが、それぞれの両親の犬種に多い疾患を持つ可能性があり、ナチュラルドック(雑種)に比べると遺伝的疾患は多くなると思われます。ただし同じような遺伝的疾患が好発する犬種同士の交配を避ければ、純血種よりは遺伝的なトラブルは少なくなるのではないかと考えられます。

 今回で犬種に関する話題はおしまいです。犬種選びをする際にはそれぞれの犬種の外貌だけでなく、気質(行動上の特徴)と好発する疾患についてもぜひ知っておくようにしてください。

ハーフ犬たち。手前がマルチーズ×プードル、奥の方がダックス×プードル
ハーフ犬たち。手前がマルチーズ×プードル、奥の方がダックス×プードル
村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「パピーケアスタッフ養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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