保護猫カフェで飼い主募集 先駆け「東京キャットガーディアン」
猫と触れあえる「猫カフェ」の形式で、新たな飼い主を募る活動が広がっている。先駆けになったのが豊島区のNPO法人「東京キャットガーディアン」。行政の保護施設から引き取った猫を自然な環境で見てもらい、飼い主を探す。殺処分を減らすのが願いだ。
暖かな日光が差し込む部屋で、十数匹の猫が寝転んだり、走り回ったり。同NPOが豊島区南大塚で運営する猫カフェスペースだ。
入場者は気に入った猫がいれば、飼育環境などの審査を受けた上で、引き取ることができる。飼い猫を亡くし、新たな猫を探しに訪れた杉並区の会社員水谷勝志さん(50)は「いい環境で、猫たちの雰囲気もよく分かる」と話した。
同NPOは、代表の山本葉子さん(52)が、一人暮らしの自宅で猫の保護を始めたのがきっかけだ。それまでの飼い主募集は、街頭や譲渡会などに持ち寄る形式が多かったという。「自然に過ごす猫を見て、一緒に暮らす姿を想像して、家に迎え入れてほしい」と、猫カフェ形式の「開放型シェルター(保護施設)」を2008年から始めた。
猫は都や埼玉県、横浜市などの保護施設から譲り受け、獣医師が不妊手術やワクチン接種をする。個人からの引き取り依頼は「原則として自力で新しい飼い主を捜すよう説得する」。現在は府中市の猫カフェスペースと、別の保護スペースを合わせ計約300匹を保護。もらわれた猫は月60匹前後、総数は2月末までで2641匹に上る。
カフェスペースはフリードリンク制。「営業」ではないが、入場には寄付を求めており、平均額は約1千円という。猫を飼えない人も歓迎する。「ふれあいを楽しんでもらって、猫のご飯代ぐらいを寄付してもらえれば」という。
平日午後2時から5時まで(土日祝日は午後1時から)。火曜は休み。ホームページはhttp://www.tokyocatguardian.org/。
営業主体の猫カフェにも引き取りができる「飼い主募集型」が登場した。
横浜市の「猫カフェれおん」は3年前から同NPOの猫を受け入れ、約10匹が飼い主を募集中だ。店主の後藤靖雄さん(39)は「もらわれていくと、常連さんは喜びと残念が半々みたいです」と話す。
キャットガーディアンの山本さんによると、北海道や山梨県などでも飼い主募集型の店が登場しているという。「飼い主募集型なら、純血種などにこだわらずに猫を飼いたい人との橋渡しの場になる」と話す。今後、感染症対策など管理態勢が整っている猫カフェに、協力を求めていく考えだ。
(三島豊弘)
◆キーワード
<猫や犬の処分状況> 都動物愛護相談センターによると、2011年度に都が収容した猫は2330匹で、犬の958匹の倍以上。猫のうち8割弱は子猫で、同センターによると「野良猫が産んだ子がほとんど」という。収容された犬は7割が引き取られたが、猫は85%にあたる1987匹が殺処分された。
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