猫の飼い方に決まりはあるの?

 前回は犬の話題でしたので、今回は、犬とともにポピュラーなペットである猫についての法律を紹介します。


 以前から「猫ブーム」といわれてきましたが、ここ数年、その熱量がさらに高まっているように感じられます。猫の写真展には大勢の人が訪れ、さまざまな猫グッズが開発されたり、猫をモチーフにしたテレビドラマや映画が放映されたりしています。インターネット上には、カワイイ猫、ほほえましい猫、笑える表情や行動の猫の写真や動画が山のようにあります。


 もちろん、猫好きな弁護士もたくさんいます。皆さんきっと、家では赤ちゃん言葉かニャンニャン言葉でご自分の愛猫に話しかけているはずです。うん、そうに違いにゃい。


 さて、皆さんの家庭で飼われている猫。自分のペットなんだから――少しカタい言い方をすると、自分に所有権があるのだから、どんな飼い方をしても問題はない……?


 本当にそういえるでしょうか。


 実際には、法律で犬や猫の飼い方について定められています。具体的には、環境相が定めた「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」という名称です。厳密にいうと国会で成立した法律ではありませんが、動物愛護法の規定に基づいてつくられたものなので、しっかりとした法的な拘束力があります。


 内容をみると、家庭動物(哺乳類、鳥類及び爬虫類を対象としています)の共通基準として、健康や安全を保持すること、生活環境を害しないこと、飼いすぎないこと、逃げ出さないようにすること等々、聞けば飼い主として当たり前、というような内容が書かれています。


 さらに条文を読み進めると、犬にはない、猫の飼い主特有の基準として「室内飼育に努めること」という定めがあります。猫を外で飼うと、他の動物から病気をうつされたり、交通事故などにあうおそれがあったり……。さらには、鳴き声や糞尿の放置の程度によっては近隣住民の生活に大きな支障を生じさせる可能性もあるため、室内で飼うことが推奨されています。


 また、それでも外飼いをする飼い主に対しては、去勢・不妊手術などの繁殖制限措置をとることが義務づけられています。動物の飼育基準の多くは、「――に努める」といった比較的ゆるやかな規制なのですが、繁殖制限措置については、飼い主が「必ず行うべき義務」として強力な規制となっています。


 なぜ、そうなのでしょうか。


 猫は繁殖力が高い動物といわれています。生まれて半年程度で繁殖できるようになり、年2回以上の出産が可能で、1回の出産で4~6匹の子猫を産みます。そのため、繁殖制限措置がなされていない外飼いの猫がいると、外で猫がすぐにふえてしまいます。以下の図(出典:ながさき町ねこクラブ、長崎県地域猫活動連絡協議会)を見ていただくとわかりやすいでしょう。

 

 外に飼い主のいない猫がふえてくると、迷惑な猫であるとして地域住民の嫌われ者になったり、心ない人にいじめられて虐待の被害にあったり、保健所や動物愛護センターに持ち込まれる可能性もあったりします(今でも年間約10万匹の猫が行政施設で殺処分されており、大きな問題となっています)。こうした悲しい事態を防ぐため、猫を外で飼うならば、繁殖制限は必ずしなければならないとされているのです。

 

 飼い猫に去勢・不妊手術を受けさせることは、飼い主の基本的な責務であり、不幸な猫を生み出さないために非常な重要なことです。


 折しも先日、飼い猫に不妊・去勢手術をせず、10年間にわたって生まれた子猫を殺し続け、その数なんと100匹に及ぶ可能性があるというおそろしい事件が北海道で発覚したところです。詳細は刑事裁判が終わるまでわかりませんが、仮にこれが事実とすれば、今後同様の悲劇を生じさせないために、飼い猫には原則として不妊・去勢を義務づけるような法改正も検討していく必要があるでしょう。

 

 また、飼い猫の健康や安全を考えれば、外飼いはやめて、完全に室内飼いとするほうがいいでしょう。「サザエさん」に出てくるタマちゃんは、ひと昔前の飼い方としては受け入れられていたかもしれませんが、現代においてはふさわしくないのです。


 それでもなお外に出して飼うという選択をする場合は、必ず、去勢・不妊手術を受けさせなければなりません。これを守らない飼い主は、法律違反となります。

細川敦史
2001年弁護士登録(兵庫県弁護士会)。民事・家事事件全般を取り扱いながら、ペットに関する事件や動物虐待事件を手がける。動物愛護管理法に関する講演やセミナー講師も多数。動物に対する虐待をなくすためのNPO法人どうぶつ弁護団理事長、動物の法と政策研究会会長、ペット法学会会員。

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