ペットの飼い主が守るべき三つのルール

 私はよくペットの飼い主さんにペットを飼うのであれば、次の三つのルールを守ってくださいとお話しています。


(1)飼い主がペットとの生活を楽しんでいること
(2)ペットが幸せであること
(3)周囲の人に迷惑をかけていないこと

 さらに周囲の人たちをも幸せにすることができれば、理想的なペットの飼い方であると思います。皆さんはどうでしょうか?
ペットとの暮らしは本来、私たちに多くの楽しみや心の安らぎを与えてくれるものです。また、それを期待してペットと暮らし始める方が多いと思います。

 ところが、私のところに問題行動の相談に来られる飼い主さんは、ペットとの生活が楽しみではなく、悩みの種になってしまっていることがあります。そして中には、「ペットを飼っていなかったころの平和な生活に戻りたい」とおっしゃる方もいます。そんなケースではペット自身も幸せな状態とはいえませんし、近隣の人から苦情が出るような場合もあり、ペットの飼い主が守るべき三つのルールが結果として実現できません。

 飼い主と犬が幸せに暮らし、周囲の人も楽しい気持ちにさせるようなペットとの暮らしを実現するために、次の三つのステップをおすすめします。

(1)自分に合ったペットを選ぶ
(2)ペットのニーズを満たす
(3)ペットの気質に配慮し、人と暮らしていく上で必要な教育をする

 まず大切なのが、住環境や家族構成、ライフスタイル、体力、経済力などを考慮して、自分に合ったペットを選ぶことです。次にニーズを満たすとは、ペットの習性をよく知り、それぞれの個体に合わせて、必要な生活環境を整えてあげることです。

 最後の教育については、飼い主さん自身のこれまでの経験や専門知識のない人のアドバイスをもとに行うのではなく、専門知識のある人から指導してもらうことをおすすめします。

 現在、ペットのしつけの専門家にはさまざまなバックグラウンドを持った人がいます。インターネットや本、テレビなどで「専門家」と称する人が、必ずしも適切な情報を発信しているとは限りません。特に犬や猫の習性に配慮せず、問題行動を中止させることのみを重視しているケースが多く見られます。


 犬や猫の行動にはそれぞれ意味があり、それを理解せずにやみくもに止めようとすると、不幸な結果を招くことがあります。特に恐怖や痛みを与えるような方法は、彼らを精神的に傷つけてしまうばかりか、飼い主への信頼も損ねてしまうことになりますので十分に注意してください。

 次回から、これら三つのルールやステップについて、もう少し具体的にお話をさせていただきます。

犬と人が幸せに暮らす。そんな理想的なペットの飼い方を実現するには?
犬と人が幸せに暮らす。そんな理想的なペットの飼い方を実現するには?
村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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この連載について
ペットのこころクリニック
犬や猫の問題行動に詳しい獣医師の村田香織先生が、ペットと幸せに暮すためのしつけや飼い方のコツをていねいに解説します。
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