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ストレスからの体調不良? 暴君のような子猫を迎え、先住猫たちの新たな一面を知った

 新たに迎えた子猫と対峙した、先住の10歳と9歳のオス猫。一緒に遊ぶ様子にもう大丈夫と思ったその矢先、大変なことが。“悪魔”とまで呼ばれたやんちゃな子猫の話に続き、後編は先住猫の様子を中心に紹介します。2匹の反応からは、彼らの意外な性格を知ることにもなりました。

(末尾に写真特集があります)

心配はニャンタ

 子猫トライアルの懸念は、先住猫の「ニャンタ」と「モモぞう」にありました。なかでも心配だったのはニャンタです。自分(体重4.3㎏)より体の大きいモモぞう(体重6.3㎏)にフードや居場所を奪われたり、のしかかられたりしてはシャー!と怒る毎日を送っており、さらに子猫がやってきて大丈夫なのかどうか。とはいえ、何とか慣れてくれるだろうと、当初は楽観的に構えていました。

 一方、モモぞうはそんな調子なので、きっと大丈夫、すぐに慣れるのではと予想していました。

先住猫のニャンタとモモぞう。仲がいいのか悪いのかわからない関係

 子猫が来た日、玄関チャイムが鳴ると、先住2匹は脱兎(だっと)のごとく寝室に逃げ、隅で小さくなっていました。ちなみにお客さんが来た時はいつものことです。

 保護主さんが帰った後、時をおかずしてやってきたのはニャンタ。子猫を見ると、フー!シャー!と威嚇しましたが、ニャンタはモモぞうに対しても(10年近く一緒にいても)いつもこうだし、時には人間に対してもそうなので、言ってみれば普段通りの反応です。プリプリしながら食事もトイレも普通に済ませました。おお、意外に強いぞ、ニャンタ。

パイセン・ニャンタの初指導

 かたや、モモぞうはなかなか寝室から出て来ず、やっとリビングに来た時は、ケージ越しに子猫をガン見して、「ナニコレ!?」としっぽを膨らませ、威嚇することもなく立ち去りました。そしてその後、いつも使っている猫ベッドで粗相……。

子猫をガン見するモモぞう。このあとしっぽがボンッ

 考えてみれば、ニャンタはモモぞうの時に新入り子猫を経験済みですが、モモぞうにとっては初めての経験。しかもモモぞう、体は大きいのに、お客さんが来た時に二回り体の小さい姉さん猫「ポッポ」の後ろに隠れていたこともあるくらいのビビリ屋です。そして、フーやシャーといった威嚇の声を一度も聞いたことがない(つまり怒ったことがない?)ことに気付きました。

 しかし次の日、先住2匹は早くも子猫に慣れ始めているように見えました。ニャンタは相変わらずフー!シャー!とやりつつもじりじりと距離を詰め、モモぞうはくっついてくる子猫をペロペロなめてあげるように。

モモぞうの体調不良

 子猫に「翠(すい)」と名前もつけ、もう大丈夫と安堵していた1週目、突然、モモぞうが体調不良に陥りました。いつもならニャンタの分も取ろうとするフードを食べず、また、白い泡状の胃液を吐き、下痢もしていて、元気がありません。次の日も食欲がなく、さらに粘膜便が出ていたことから動物病院へ。

 診断は熱中症。吐き止め・下痢止め・抗生剤の注射を打ち、様子見になりました。ですが嘔吐と下痢は収まったものの、全く食べず、水も飲まず、その翌日もフードを近くへ持っていっても気持ちが悪そうで、食べてもカリカリを1~2粒。その状態が数日続きました。

ゆっくり寝ていられない環境も問題?

 しばらくすると、やっと飲んだ水も吐いたり、胃液を吐いたりと、何だか悪くなっているようで、病気の可能性をネットで検索しまくる中で見つけたのは「肥満猫が食べないと肝臓にくる。早く対処しないと命にかかわる」といった記述。矢も盾もたまらず、いつもの病院が休みだったため別の病院へ行き、血液検査をお願いしました。

 しかし大きな問題は見当たらず、精神的なものではとのことで、あとは歯周病からくる鼻炎のせいで鼻がよくきいていないのかもしれない、とのことでした。

血液検査の結果。肝臓の数値は悪くないが、感染症などの他、緊張やストレスでも上がるというGLOB(グロブリン)は高かった。ちなみにGLU(血糖値)も高め

 食欲増進効果もあるという抗うつ剤(ミルタザピン)を3日に1回×2回分と、抗生剤をもらい、帰宅。まず抗うつ剤を飲ませ、1時間以上たって吐かないのを確認してから抗生剤を飲ませましたが、少しして抗生剤を吐いてしまいました。病院へ問い合わせると、抗生剤は空腹時には吐いてしまうことがあるそうで、飲ませるのを中止。その日は結局、食欲は戻りませんでした。

翠は体調の悪いモモぞうにもべったり。ニャンタは?

 体調が悪いのは明らかですが、時々私たちのそばへ来てゴロゴロ言うことはあり、また、より不思議だったのが、モモぞうが翠を嫌がっている様子はないことでした。くっつくのを許容しているように見え、本当に子猫のストレスなのかという疑問が頭から離れず、子猫の受け入れ経験が豊かな友人に聞いてみると、「うちもそういうケース、あったよ」とのこと。

 でもその時点で食欲不振はすでに2週間近く続いており、もう一度別の病院へ行ってみようと考えているうちにやってきたのが、抗うつ剤2回目の日でした。一縷(いちる)の望みをかけて薬を飲ませた数時間後、モモぞうがフードを食べ始めたのです。

食べた!

 翌日には食欲が爆発。フードを即平らげ、「足りなーい!」と催促するように。薬が効いたようなのです。

 薬の効果が切れる3日後が来ても食欲は落ちず、標準範囲まで減っていた体重(もともとが肥満ぎみ)もみるみるリバウンドしました。これはこれで悩ましい。でも食べてくれるのがうれしい。

微妙な距離感のバランス

 新入り猫のストレスはビビりの彼にとってかなりのものだったのでしょう。暑さで参っていたのもあるかもしれません。さらにその頃、あまりの暑さにカーテンを閉め切って冷房をかけていることが多く、太陽の光をあまり浴びていなかったこともよくなかったのかもしれません。

 そんなことがありましたが、3匹の関係は微妙な距離感で安定。翠は相変わらず元気いっぱいで、モモぞうにくっついたり、飛びかかってじゃれついたりし、度が過ぎると、モモぞうはパンチを繰り出すようになりました。威嚇はしないものの、「おいた」を叱れるようになったのです。

 また、ニャンタはモモぞうにも翠にもフー!シャー!としながら、時折一緒に遊ぶ様子も見られるようになりました。

3匹の距離感

 ドタバタと不安の時期が過ぎ、私自身は昨年から続いていたロス状態、亡くなったポッポのことを考えて落ち込むことがほとんどなくなっていました。3匹のアレコレに気が取られていたのもありますが、無邪気な子猫と先住猫たちにたくさんの癒やしと元気をもらっています。

意外な性格を発見

 怒りながらもすんなり受け入れたニャンタ、怒らないけれど体調を崩してしまったモモぞう。子猫に対する先住2匹の反応は予想外のものでした。

 その中で、約10年一緒に暮らしても知らなかった猫たちの一面を知りました。ニャンタは意外にたくましかった。ニャンタにいつもちょっかいを出し、意地悪だと思っていたモモぞうは意外にデリケートで優しかった。

翠が来てから、朝の新聞妨害が始まったニャンタ

 猛省するのは、最初の顔合わせを慎重に進めるべきだったということ。

 学んだのは、新入り猫のストレスは先住猫にとって想像以上で、モモぞうのように威嚇をすることなく「一見ストレスが小さそうに見える時がむしろ要注意」ということです。また、ニャンタのように「発散するのは大事」ということも改めて感じました。人間にもあてはまることですね。

 後日、トライアルから正式譲渡の契約となり、ニャンタとモモぞうと翠、3匹との生活が本格スタート。ぐんぐん成長するおてんば翠に翻弄(ほんろう)されながら、にぎやかな日々を過ごしています。

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石井聖子
猫依存症の名古屋在住ライター。幼少期は犬、亀、鶏、インコと暮らし、猫歴は30年以上。現在は3ニャンズ(と夫)と同居。さらにワンコも一緒に暮らすのが野望。夢は弱い立場にいる動物と子ども、全ての人が一緒に幸せになれる方法を見つけること。

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