コワモテだけど穏やかな性格の平和主義者 家族の世界を広げた虎柄の雑種犬「ペティ」
個性豊かな雑種犬の魅力を紹介する連載企画。第8回は、大きな体と虎柄で一見怖そうに見えるけれど、穏やかな性格で平和主義の「ペティ」。同じく虎柄大型雑種犬の弟分とともに、湘南のドッグライフを楽しんでいます!
【基礎データ】プロット・ハウンド風のブリンドルの中型犬
- DATA
- 《名前》ペティ Petty
《年齢/性別》推定8歳・メス
《役割》海沿い散歩のお供、ときどき犬ごはんモデル犬
《サイズ》体高55cm・体⻑80cm・体重21kg
《チャームポイント》全身虎柄で顔もコワモテだけど人懐っこい性格のギャップ
《特性》
人慣れ度★★★
犬好き度★★★
食いしん坊度★★☆
運動量★★★
トレーニングしやすさ★★★
ケアのしやすさ★★☆
初対面でおなかを見せてゴロン
犬連れの多い湘南エリアのビーチでもひときわ目立つ、虎柄の大きな犬2匹連れ。垂れ耳は姉貴分の「ペティ」、半立ち耳は弟分の「ちび太」で、2匹とも雑種犬です。飼い主の佐藤さん夫妻は、なぜ、珍しい虎柄の雑種犬を選んだのでしょうか。今回は姉貴分のペティのストーリーを中心に紹介します。
実は、佐藤真樹子さん・泰高さん夫妻がペティを迎えたのは、選んだというよりは偶然だったそう。2人とも実家には犬がいて、もともと大の犬好き。7年前の当時は、2年ほど前に東京都内から湘南の一軒家に引っ越してきたところで、いずれ犬を迎えるつもりでいました。
「周りには保護犬が多くて、迎えるなら保護犬と当たり前のように思っていたのですが、そのときは2人とも仕事で毎日都内に通っていたので、積極的に探すことはしていなかったんです。そしたら、知人が『ピースワンコジャパンの湘南譲渡センターにかわいい子がいるから、ぜひ見に行って』と(笑)。とりあえず見に行ったところにいたのが、ペティです」(真樹子さん)
当時ペティは、生後8カ月ぐらいの子犬だったとはいえ、全身虎柄で、図体も大きめ。そのペティが、会うとすぐに「なでて」と言わんばかりにゴロンとおなかを見せました。その人懐っこさに、夫の泰高さんがイチコロに……。その日のうちにすぐ引き取り希望の申し込みをしたのだそう。
保護団体のピースワンコジャパンによると、本拠地である広島県で、「子犬がひとりで半年ぐらい放浪している」と役場に保護され、ピースワンコで引き取ったそう。アメリカの猟犬、プロット・ハウンドのような見た目もあって、猟犬だったのかもしれないし、猟犬に向かないからと捨てられたのかもしれない、でも詳しくはわからないという話でした。
留守番をさせようとしたら…
「初めての保護犬との暮らしは大変に違いない」と覚悟を決めて迎えた佐藤さん夫妻ですが、予想に反して、ペティは人懐っこく穏やかな性格。困ることはほとんど何もありませんでした。
ただ一つ、心配だったのは、2人とも東京都内の職場に通っていたため、留守番の時間が長いこと。最初は毎日ペットシッターに来てもらっていましたが、特に問題なさそうだったので、5畳ぐらいのペティの部屋を用意して、そこでひとりで留守番させるようになりました。ところが……。
「ペティを迎えて3カ月ぐらいたったある日、『行ってくるよ』と言ってペティの部屋に入れたら、急に震え出してしまって……。あれっ?と思ってリビングに移したら、震えが止まったんですね。保護犬だからかどうかわからないんですが、ケージとか狭い場所が苦手で、広いスペースじゃないと嫌だったみたいです」
そんなこともあって、「なるべく一緒にいてあげたい」と思った真樹子さん。ペティを迎えて約1年後、ちょうど雇用形態が変更になったタイミングで、退職を決意。以来、ペティと散歩をしたりお出かけしたり家で過ごしたりする時間が格段に増えました。吠えたり咬んだりといったわかりやすい問題行動をしないペティだからこそ、小さな変化や反応に気づいてケアしてあげたことが、今の幸せな生活につながっているのかもしれません。
地元コミュニティとの架け橋に
真樹子さんが仕事を辞めたことで、思わぬ変化もありました。2人とも通勤していたころは、早朝と夜遅い時間にペティと散歩をしていたため、他の人に会うことはめったにありませんでした。それが、散歩の時間が変わったことで、地元に住む他の犬や飼い主との交流が始まりました。
「ほぼ毎朝、だいたい同じ時間に海へ行くので、同じ人に会うんですよね。ペティは鼻ペチャの犬が少し苦手だけれど、それ以外はどんな犬でも大丈夫なので、飼い主さんにおやつをいただいたりして、犬のコミュニティがどんどん広がっていきました。それまでは、友達といえばほとんど都内の人で、地元では観光客のような過ごし方をしていたんですが、今では人間関係の8割ぐらいが地元の犬つながりの人。一緒に犬連れで登山したり旅行したりもしています」
もう1点、ペティに関して心配だったのが、ウンチがゆるかったこと。そこで、真樹子さんはインターネットなどでいろいろ調べながら、肉団子や雑炊といった手作りごはんを始めました。すると、みるみるうちにウンチが改善。以来、試行錯誤を重ねながら、ずっと手作りごはんを続けています。
「ペティの健康状態に合わせて、旬の食材を使ったり、週に1回は魚をあげたりしています。まとめて作って冷凍しているので、そこまで大変ではないですね」
今では、鎌倉にある犬ごはんの店『manpucu garden』の惣菜の仕込みを手伝ったり、書籍制作の撮影時に調理補助をしたり、ペティもモデル犬を務めたり。ペティの手作りごはんがきっかけで、真樹子さんの人間関係や仕事も広がっています。「犬を迎えていなければ、こんなに地元コミュニティにつながることはなかったかもしれませんね」と真樹子さん。
世話の焼ける弟分とも、今ではいいコンビ
佐藤さん一家にとってもう一つの転機が、1年前に生後数カ月の子犬、「ちび太」を迎えたこと。知人の家で一時預かりしていた保護犬の子犬が近所に来たときに、ペティに似た虎柄を見て一目ぼれ。悩んだものの、けっきょく迎えることにしたそう。
「最初ちび太が家に来たとき、ペティは『そのうち帰るでしょ』という感じで無視していて、ほとんど一緒に遊ばなかったんです。それが、何カ月かたったころ、軽井沢へ旅行したときに、突然一緒に遊び始めて……。今では、海へ散歩に行くと一緒に穴を掘ったりして遊んでいるし、たまにペティから遊びに誘ったりもしていますね。毎日一緒にいるので、同じ群れの一員だと認識したみたいです」
ペティより体の大きいちび太ですが、ペティと違ってビビリで、他の犬も苦手。外が怖いので散歩も排泄をさくっと済ませてすぐ帰りたい派だけれど、ペティがいると安心するのか、がんばって歩くそう。大変な子犬育ても、ペティにかなり助けられているようです。
ペティが佐藤さん夫妻の家に来てから、特に大きな事件や出来事、トラブルなどはなかったという、真樹子さん。穏やかな日常が続くことを好むペティは、そんな毎日を何より望んでいるに違いありません。「ペティたちと散歩しているときがいちばん楽しい」と話す真樹子さんもまた、何気ない、けれどかけがえのないペティたちとの日々の大切さをかみ締めています。
(次回は8月25日公開予定です)
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