仲良く一緒に寝るメローとフィーユ
仲良く一緒に寝るメローとフィーユ

同じ人が育てたのになぜ? 保護猫3匹の個性の違いに笑いが絶えない

 ドッグトレーナーなのに、我が家は犬1匹、猫が3匹になってしまいました。この3匹の猫たち、同じ家で同じ人が育てているのに、それぞれ行動は全く違い、見ていて飽きず、笑ってしまうことばかり。今回は猫の違いについて紹介します。

(末尾に写真特集があります)

ボス猫フィーユ

 まず、長男猫「フィーユ」は5歳のオスで、我が家ではボス猫になっています。なぜボス猫かというと、猫トイレにしたうんちを砂で隠さず堂々とトイレから出てくる様からです。

  フィーユはトイレの問題が多く、うちには猫トイレが3つもあるというのに、玄関に重ねて置いておいたダンボールにしてしまうことも 。移動用のリュックサックの中でされたときは大変でした。

フィーユは3匹のなかで一番犬っぽい

 私の部屋ではトイレの失敗はいっさいしないのですが、いつも侵入できないように戸締まりしている和室にスッと入って布団にしたことも……。猫のおしっこは恐ろしいほど臭く、そして消えないので、おしっこテロに遭ってしまったブツは、もうすべて捨てるしかありません。保冷バッグの中にされたこともあり、とりあえず使ってみたキッチンハイターで臭いは消えましたが、それよりもおしっこをされない対策をしないとですね。

 最初からトイレの話ばかりになってしまいましたが、フィーユは子猫の頃、とてもかみつく子で、私はゆっくり座っていられないほどでした。基本はケージに入れての生活でしたが、かまれないためにフィーユには、オスワリ・フセ・アップ (※)・オイデ・ハウスなどの動作ができるように教えて、合図をすることで、かむことよりもその合図による動作を優先できるようになりました。3匹の中では一番犬っぽく、トレーニングをするのが好きなのがフィーユです。
(※棚の上やひざの上を指さし、アップと言うことでジャンプして乗る合図)

猫白血病だけど力強いガロ

夜な夜なぶつかり稽古? 次男猫のガロ

 次男猫「ガロ」は、私が保護して連れ帰った猫です。譲渡先募集をしようと思っていましたが、動物病院で検査をしたら猫白血病ウイルスに感染していることが発覚したので、うちの子にすることにしました。年齢は1歳半位のオスです。

 猫白血病は猫同士で感染し、ほぼ治ることがなく、平均3年で亡くなってしまうと言われているため、フィーユとは一緒にせず、自宅で仕事をしている妹の部屋で隔離飼育しています。生きている限りうちの子として幸せに暮らしてもらいたいので、先のことは“その時になったら”考えることにして、日々、明るく暮らしています。

 他のメンバーと接触はさせなくても、毎朝妹がガロを抱っこしてリビングに連れてきて顔を合わせているので、みんなと家族の認識はあるようです。末娘のメローが前脚で尻尾を触りに行ったり、ちょかいを出したりすると、歳が近いこともあり遊びたそうにしています。

 ガロは他の猫たちよりも見慣れない存在や音に敏感で、いつもと違うことが起きるとプチパニックになるような子なのに、ガロの部屋からは毎晩ドシーン!ドシーン!とぶつかり稽古のような音が聞こえるのです。どうやらアスリートのように猫じゃらしで体を鍛えているようです。得意技は、かがんだ妹の背中に飛び乗ることです。

 たまに私が部屋に行くとうれしいらしく、ガロは足元にスリスリしてくれます。そして、見慣れない妹の友だちが泊まりに来たときは、夜中に友だちの頭を小さな手でたたいていたそうです。

見た目とのギャップが激しい、野性的なメロー

美人な見た目と裏腹にオラオラ系のメロー

 末娘の「メロー」は生後7カ月のメスで、もともと生後1カ月頃に目やにで目が開かない状態で道路にて行き倒れていたところ、愛護センターに保護され 、職員さんが大切に育ててくれました。2カ月頃になってから、動物病院のシェルターが引き受けたそうです。

 白い毛にブルーの瞳、メローを初めて見たとき「なんてかれんで可愛いのかしら」と思いましたが、メローはうちの猫たちの中で、一番野性的でした。

 ウエットフードをあげると、まずは自分の分を早食いしてから、フィーユのお皿に頭を突っ込んで食べてしまいます。フィーユは文句も言わず、いつも奪われては毛づくろいなんかを始めます。意外にフィーユは平和主義なんだとわかりました。

 日中のメローは、だいたいダイニングテーブルの椅子などにひそんで寝ていますが、私が歩くと先回りして足元に絡みつき、それが階段であってもスッと現れます。座椅子に座ろうとすれば、今度は背もたれの間にスッ。わざわざ挟まれにきます。そして大体、犬のコーダとつるんで行動していることが多く、コーダとセットで現れたり、消えたりします。

 寝ているフィーユにはヘッドロックして腕をカミカミ、フィーユの毛づくろいをかわして追いかけっこに誘っています。野性的なメローですから、おもちゃをくわえて走る姿なんかはまるでゴリラ。オラオラと走り回り、遊びにのってあげてもいつの間にか興味を失い、「何してるの? はぁ?」みたいな顔をされます。

 3匹のなかで一番語りかけてくるタイプで、朝、アラームが鳴ってから二度寝タイムを楽しみたい私を、ゴロゴロとスリスリで覚醒させてくれるのがメローの可愛い仕事です。

いろんな個性があるから楽しい

左からコーダ、メロー、フィーユ

 同じ家で同じ人が育てているのに、3匹とも三者三様。動物がどの行動を選択するかは、それまでの経験によって変わります。頻繁に行う行動は、良い結果を得られた経験のある行動です。だとすると、うんちを隠さず堂々としていたり、オラオラと走り回ったり、 一体この子たちにとって何の結果が得られているっていうんでしょう……。

 犬はシンプルで、得たいものもわかりやすいのですが、猫の得たいものは謎が多い。人間にはわからない好みもあります。だからむずかしく考えずに、ただ一緒にいられる猫が大好きですし、うちの猫たちも私のことは好きでいてくれているような気がしています。

 どんな個性があっても、ずっと安全で平和に楽しく暮らせるように、この子たちの一生をすてきなものにできるようにがんばります。

【前の回】マイクロチップだけで安心? 犬猫の迷子防止にGPS付きAirTagを使ってみた

浅野里実
千葉県習志野市のドッグスクール「Perrito」主宰。犬との暮らし方コンサルタント、ドッグトレーニングインストラクター。スクールでは動物福祉を優先し、オーナーの知識の向上による動物のQOL向上をサポート。応用行動分析学・心理学に基づいた科学的根拠のある効果的な方法でトレーニングし「正の強化」をベースにしている。イングリッシュコッカースパニエルのコーダと保護猫のフィーユ、ガロと暮らす。

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この連載について
ドッグトレーナーの犬猫日記
サーフィンやスケボーが得意な愛犬「コーダ」と保護猫「フィーユ」「ガロ」と暮らすドッグトレーナー浅野さんの犬猫日記。
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