二十歳の誕生日おめでとう 特別な存在であり続ける“初めて”の愛犬「ピン」
「ピンちゃん、誕生日だね。生きていたらハタチになるんだね」
4月7日の朝、夫から言われた途端、涙が出てしまいました。2003年4月7日、ピンは沖縄のミニチュア・ピンシャー専門のブリーダーさん『ハウスドッグ』で誕生。その6週後には飛行機に乗って上京し、羽田空港の貨物ターミナルで私たちと出会いました。
「貨物ターミナルだってわからなくて、人間の荷物受け取りのベルトコンベアの前で待ってたよね」
「慌てて貨物ターミナルに行ったら、犬の鳴き声がたくさん聞こえてきて、『次はウチかな』『まだかな』って30分以上、待ってたよね」
などと久々に(!)夫との会話が弾みました。
あの頃の私と初代犬ピン
ピンは我が家の初代ミニピン。10年にわたる不妊治療にピリオドを打ったタイミングで我が家にやってきた、私にとって“初めての犬”でした。
その頃、犬が苦手だった……、いえ嫌いだった私。それを知らずに夫が勝手に予約してしまい、振込を渋っているうちに第一候補のミニピンちゃんはヨソのおうちの子になってしまいました。
その後、ピンが我が家に来ることが決まり、パソコンの画面上のピンに仮名で「ピン」と名付け、ずっと呼んでいたこともよく覚えています。おなかにいる赤ちゃんにニックネームをつけて呼びかけているママの話をよく聞きます。結局私は、そうした経験をすることがありませんでしたが、きっと似たような気持ちなのだろうと、すでに“母性”がわいていたものです。
が、ピンは我が家に来たときからひどい咳をしていて、翌日には動物病院に。知人に紹介してもらった、車で30分はかかる遠い街の病院の受付で、「ワンちゃんのお名前は?」と聞かれて、思わず「ピンです」と。ゆっくり命名する時間もなく動物病院へ行ったので、仮名が本名になってしまいました。
その日、お薬の袋に「山田ピン」と記されているのを見て、小型犬だから、この先、15年は一緒にいるのだろうとも思っていたのに、ピンはずいぶん早くに虹の橋を渡って行ってしまいました。
濃密だったピンとの日々
でも、ピンとの日々は、いま振り返っても濃密なものだったと思います。繰り返しになりますが“初めての犬”でしたから、愛情をいろいろと形に変えて、注いでいたものです。
それらが良かったのか良くなかったのか。ピンがうれしかったのかうれしくなかったのかがわからず、自問自答するとまた涙が出てきてしまいます。
でも、「ピンちゃん、これでいいんだよね? 良かったんだよね?」と空に向かってたずねるのは、ピンと父親が同じ妹犬の「ココ」を迎えたこと、そして、ピンが旅立ってから約半年後に「ハンター」を迎えたこと。さらには一昨年、「マル」を迎えたことです。
ピンが生きていたときも、時折、なんでウチに犬がいるんだろう……と思う瞬間があった私。なんせ、犬嫌いでしたから、家の廊下を犬が歩いている光景に、なかなか慣れなかったのです。
いまも、ミニピン3匹がくっついているのを目にすると、なんで3匹もいるんだろう……と思うことがあります。
でも次の瞬間、「ピンちゃんのおかげだよね」と思い返します。
いつも根底の部分にいてくれる
先日、朝日新聞の太田匡彦記者から、3月に終了した『スッキリ』(日本テレビ系)の動物園ロケで、芸人さんがペンギンのいる池にわざと落ちた件についてコメント取材を受けました。紙面に囲みで私の意見が掲載されていたこともあり大きな反響がありました。
かつて動物番組の構成作家をしていたこともあったため、太田記者から取材依頼があったのですが、テレビ局の動物福祉(アニマルウェルフェア)に対する意識の低さや取り組みの不足について私がコメントするに至る経緯の傍らに、ハンターやマルの存在があり、その根底にはピンがいるのです。
ピン、これでいいんだよね……?とたずねてもピンからの返事はありませんが、私が何か不安そうにしていると、代わりにココとハンターとマルが寄り添ってきてくれます。
ピンと出会えたことに改めて感謝。ピンちゃん、二十歳のお誕生日おめでとう!
(次回は5月9日公開予定です)
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