エステーが「保護ネコ応援プロジェクト」開始　全ての猫が幸せに暮らせる社会へ

「消臭力」（しょうしゅうりき）などの商品で知られる日用品メーカーのエステーがsippoと連携し、「保護ネコ応援プロジェクト」を始めます。なぜエステーが保護猫の支援活動に乗り出すのか、どんな取り組みをするのか、事業部長の浅野貴之さんにうかがいました。

エステーが保護猫支援に乗り出す理由

　エステーは「消臭力」「ムシューダ」「脱臭炭」など、知名度の高い商品群を持つ日用品メーカーです。「空気をかえよう」をスローガンに、独自の空気ビジネスを展開しています。

　そのエステーが2022年2月、新ブランド「エステーペット」を立ち上げ、ペット用品市場に参入しました。背景には、コロナ禍以降、新たに犬や猫を飼う人が増えたことなどがあります。

　ただ、ペットブームの一方で、室内トイレの想像以上のニオイに戸惑う新たな飼い主もいます。特に猫の排泄物はニオイがきつく、トイレ掃除が飼い主の負担になっていると考えられました。実際にエステーが実施した調査でも、「室内で猫を飼育していて困ったこと」の1位が「トイレや排泄物のニオイがくさい」だったのです。

「エステーが培ってきた消臭技術をニオイ問題の解決に生かせるのではないか――。そう考え、猫用システムトイレ『実感消臭』シリーズを発売しました」と浅野さんは話します。

　発売後もエステーでは猫に関する調査や情報収集を続けました。その中で、保護猫を引き取って飼い始める人が一定数いることや、飼育放棄や多頭飼育崩壊に関するニュースが後を絶たないことに注目したといいます。保護猫の中には、飼育放棄などにより飼い主を失った猫も少なくありません。

　エステーが重視する事業方針の一つが「社会課題への対応」です。例えば介護のニオイ問題を解決する消臭剤・脱臭剤「エールズ」や花粉対策用品「MoriLabo」など、社会課題の改善につながる商品を展開してきました。浅野さんは次のように語ります。

「保護猫の実態を知り、エステーもこうした社会課題の解決に多少なりとも貢献できることがあるのではと考えました。『実感消臭』シリーズでニオイに関する飼い主さんの悩みを解決するだけでなく、保護猫団体との関係を通じ、幸せな猫を増やすお手伝いをしていきます」

SNSで寄贈キャンペーン、譲渡会参加も

　具体的にどんな活動をするのでしょうか。主なものをご紹介します。

　一つ目は「実感消臭」シリーズの保護猫団体への寄贈です。ツイッターやインスタグラムを活用し、リツイートやいいねの数に応じて「実感消臭」シリーズを保護猫団体に贈るキャンペーンを展開します。

　二つ目は譲渡会への参加です。4月29、30日に東京・有明で開かれる「パナソニック保護犬猫譲渡会2023」に賛同企業として参加し、保護猫の譲渡促進に協力します。

　三つ目は保護猫団体の訪問です。複数の団体を訪ね、「実感消臭」シリーズへの感想を商品の改善に生かすほか、飼育上の悩みや運営面の課題などを聞き取り、今後の商品開発や支援策につなげます。

循環型事業「クリアフォレスト」とは

　エステー初のペット用品である「実感消臭」シリーズ誕生の裏には、意外な発見がありました。

　エステーでは以前から森の空気を研究していて、中でも空気浄化作用に優れた北海道産トドマツを活用した「クリアフォレスト事業」に取り組んできました。トドマツの枝葉から、樹木精油、樹木精水、針葉粉体の三つを抽出し、製品に活用しています。三つの成分はそれぞれ、大気汚染低減や花粉アレルギー低減、森林浴効果、消臭など優れた機能を持っています。

「このうち針葉粉体は高い消臭機能を持っているのですが、研究を進めたところ、猫ちゃんの排泄物に対して特に高い消臭効果があると分かったんです。『猫ちゃんに安心な天然の消臭成分はないか』と考えていた私たちと、会社として取り組んできたクリアフォレストが結びついた瞬間でした」

　こうして、販売中の3商品全て（トイレ本体、チップ、シート）に、天然消臭成分であるトドマツの粉体を配合したのです。

　原料のトドマツは、もともと間伐のため切り倒され、森に放置されていた木々です。エステーは地元の林業会社と提携してこれらを運搬し、独自の技術で抽出した成分を製品に活用しています。クリアフォレスト事業は間伐材の活用、雇用創出、製品化などがうまく組み合わさった循環型事業と言えそうです。

「実感消臭」シリーズは「消臭効果に自信」

「実感消臭」シリーズは他の猫用システムトイレとどう違うのでしょうか？　浅野さんは「特に自信があるのは消臭効果です」と話します。

「チップとシートだけでなく、トイレ本体にも天然消臭成分であるトドマツの粉体を練り込みました。3点セットで使うと『トリプル消臭』の効果を実感していただけます」

　さらに「消臭力」共同開発で、チップには機能性ナノパウダー、シートにはクエン酸を配合。チップはウンチ、シートはオシッコに対する消臭性能をさらに高めました。

　もちろん他社製品と組み合わせても消臭効果を感じられるといいます。エステーでは、他社製のトイレ本体、チップ、シートのどれか一つを「実感消臭」シリーズに変更した消臭試験も実施。3アイテム全てをそろえなくても消臭効果を感じてもらえるよう、こだわりをもって商品開発を進めてきました。

　手入れのしやすさも重視しました。上部には開閉式の布製のルーフカバーを採用。普段は閉じているのでニオイの拡散を防ぎます。「お客さまには『カバーをフルオープンにできるので、排泄物の処理や掃除がしやすい』という声をよくいただきます」と浅野さん。

　布製にしたのは、暮らしになじむデザインを追求したからです。汚れにくくするため、布には防汚、撥水（はっすい）、抗菌防臭の加工を施しました。取り外して手洗いもできます。

飼い主のストレスを軽減。飼育放棄予防にも

「エステーペット」ブランドは発売から2年目を迎え、保護猫支援という新たな試みに乗り出します。浅野さんは言います。

「ニオイで困っている飼い主さんは多く、私たちはその悩みを解決するお手伝いができると思っています。また、飼い主さんのストレスを軽減することで、飼育放棄のような最悪のケースの予防にもつながるのではないでしょうか。全ての猫ちゃんが幸せに暮らせる社会を目指し、保護猫団体の支援にも力を入れていきます」

※「保護ネコ応援プロジェクト」特設サイトはこちら

猫用システムトイレ「実感消臭」シリーズ

　「エステーペット」ブランド第1弾として発売した猫用システムトイレ。本体セット、チップ(2.5Lと4Lの2種類)、シート(4、10、20枚入りの3種類)の3商品を展開中。
　最大の特長は高い消臭効果。北海道産のトドマツから抽出した天然の消臭成分を、本体とチップ、シートの3商品全てに配合し「トリプル消臭」を実現した。
　本体のルーフカバーは開閉可能。閉じた状態ではニオイの広がりやチップの飛散を抑える。フルオープンにすれば掃除もしやすい。暮らしになじむデザイン性も追求した。
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