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【獣医師監修】猫に「お手」を教える方法! 上手なしつけ方とNGなしつけ方 

目次
  1. 猫に「お手」を教える方法
  2. クリッカーを使ったトレーニング
  3. 「お手」の応用も!
  4. 猫にトレーニングを行うメリット
  5. 「お手」を教える際の注意点

 猫は犬のように芸を覚えるのが難しいと思われがちですが、じつは、かんたんなトレーニングで「お手」や「ハイタッチ」などを覚えることができます。この記事では、おやつを使って愛猫に「お手」を教える方法や、「お手」を応用したトレーニング、猫にトレーニングを行うメリットや注意点について解説します。

監修:獣医師 入交眞巳
獣医師。「どうぶつの総合病院」行動診療科主任。旧日本獣医畜産大学卒業後、米国パデュー大学で学位取得、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。アメリカ獣医行動学専門医。『猫が幸せならばそれでいい』(小学館)など著書多数。sippoにて「猫との暮らし相談室」連載中

 猫にトレーニングを行う際に気をつけたいのが、「報酬」と「タイミング」の2点です。猫も人間と同じように“タダ働き”にはやる気を出さないもの。新しいトレーニングを始める際は、ぜひその子の好きな、とっておきのおやつを報酬として用意してあげましょう。食べ過ぎやカロリーオーバーにならないよう、小さく砕いて少しずつあげるのがおすすめです。いったん芸を覚えてしまったら、報酬は普段のごはんのカリカリに変えても大丈夫。「新しいことを覚えるときは特に美味しいものがもらえる」という約束を大切にしてください。

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 また、猫は気まぐれで飽きっぽい性格の子が多いため、飼い主が自分のタイミングでトレーニングを始めてもなかなかうまくいきません。愛猫が遊びたがっているタイミングや、おやつをねだりに来る時間を見計らって、トレーニングに誘導してみてください。

手順1. 手の中におやつを持って猫に気づかせる

 おやつを握りしめた手を猫の前に差しだすと、猫は匂いでおやつに気がつきます。「欲しい!」と鳴いてもグッとこらえて、猫が行動するのを待ちましょう。

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手順2. 手をタッチした瞬間におやつをあげる

 猫がおやつを握りしめた手にタッチした瞬間、手を開いておやつをあげます。これを何度か繰り返すことで、「手に触れる」=「おやつがもらえるスイッチ」であることに気づかせます。このとき、タッチが成功の証であることを印象付けるために、「いい子」「グー」などと決まったワードで声がけしましょう。

手順3. 徐々に手を開いていく「ハイタッチ」

 最初は完全に握っていた手を「4本の指だけでおやつを握り、タッチしたらあげる」「3本の指だけでおやつを握り、タッチしたらあげる」と、少しずつ開いていきます。指を5本開いた段階では、おやつはもう片方の手に持ちましょう。この段階で、手を開いた状態でのタッチに成功したら、「ハイタッチ」の成功です。

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手順4. 手の位置を下げていく

 手を開いた状態でのタッチを、徐々に下げていきます。最終的に、手のひらを上向きにし、「お手」の位置でタッチに成功したら習得です。

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 クリッカーとは犬や猫のしつけに利用する道具で、指の中で「カチッ」と音を鳴らすことで音と報酬をひも付け、音を使った行動に対して「それが求めていた行動だよ、あとで報酬を与えるね」と伝えるものです。

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 クリッカーはしつけ教室などでよく使われるため、「しつけがうまくいく魔法の道具」と思われがちですが、実は扱いがとても難しい道具です。扱い方を心得ていないと、音を鳴らすタイミングがずれて猫を混乱させたり、猫の目の前で音を鳴らして怖がらせてしまったりすることがあるため、クリッカーを使用する場合は事前にプロのトレーナーや獣医師に使い方のレクチャーを受けるのがおすすめです。しっかり練習して上手に使うことができれば、猫がスムーズに芸を覚える助けになってくれるでしょう。

手順1.片手におやつを持って片手にクリッカーを持つ

 通常のトレーニングと同様、握りこぶしに入ったおやつを猫に気づかせましょう。最初はクリッカーを鳴らしてフードを与える、という作業を繰り返し行い、クリッカーの音=報酬がもらえる行動であることに気づかせます。これが最初に行う大切な作業です。このとき、①クリッカー→②おやつの順番を必ず守りましょう。①と②が逆になったり、鳴らすと同時におやつを与えてしまうと、音と報酬がうまくひもづかず猫が混乱してしまいます。

手順2. 手をタッチした瞬間にクリッカーを鳴らしておやつをあげる

 猫が手にタッチできたら、クリッカーを鳴らして「この行動、よかったよ」という合図を伝え、ゆっくりおやつをあげます。

手順3. 手を開きながら下げていく

 あとは「いい子」「グー」と伝える代わりにクリッカーを用いて合図を出し、通常のトレーニングと同様に、手順3と手順4を行います。「お手」の位置でタッチに成功したら習得です。

 おやつやクリッカーを使ったトレーニングを応用すれば、「おすわり」や「待て」などのしつけのほかにも、「横について歩く」「キャリーに入る」など、さまざまな行動を教えられます。どのトレーニングも基本的には、行動したら声がけやクリッカーで合図を出し、報酬(おやつ)を与えるという手順で行ってください。

 クリッカーを使わず声がけを合図にする場合は、「いい子」「えらいね」など、その時によって言葉を変えず、猫が覚えやすいよう常に一定のワードで行うのがポイントです。

 愛猫とのトレーニングを習慣づけることは、飼い主とのコミュニケーション以外にも多くのメリットが存在します。

メリット1. 猫のメンタルケアに役立つ

 動物病院に連れて行った際、愛猫が不安で縮こまってしまうという方には、診察台の上で、ふだん家で行っているトレーニングをしかけてみてはいかがでしょうか。ふだんの行動をなぞることで気持ちの切り替えができ、恐怖心を忘れてくれることがあります。病院嫌いな猫ちゃんのメンタルケアのためにも、ふだんから遊び感覚で楽しくコミュニケーションを取れるトレーニングはおすすめです。

メリット2. ケアがしやすくなる

「お手」や「ハイタッチ」を応用し、少しずつトレーニングを進めていくことで、爪切りなど手先のケアがしやすくなります。また、体を触られるのに慣れてくると、ブラッシング嫌いの子のケアもラクになるでしょう。

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 ただし、「お手」からいきなり「ケア」まで進んでしまうと、猫にとっては「楽しい遊び」が「嫌いな爪切りをさせられるもの」に変わってしまいます。一度失った信頼は、復活させるまでが大変。はじめからケアを目的にするのではなく、遊びで信頼を得てから徐々に爪切りなどのケアに慣れてもらいましょう。ケアに慣れていく過程では、別途トレーニングが必要です。動物への医療行為や体のケアを目的とした「ハズバンドリートレーニング」を教えてくれるしつけ教室を探してみてもいいでしょう。

メリット3. 緊急時、災害時も役立つ

「お手」や「おすわり」などのトレーニングを応用することで、「キャリーに入る」「キャリーの中で過ごす」といった行動を促すこともできます。こうしたトレーニングは、緊急時や災害時、猫の命を救うことにもつながるでしょう。

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 アメリカのある論文では、大型ハリケーンの被害にあった地域で助かったペットの多くが、飼い主がキャリーに入れて避難していたという記述があります。また、日本では多くの場合、避難する際だけでなく避難した先でもペットはキャリーの中で過ごすことになります。いつ訪れるかわからない有事に備え、キャリートレーニングを習得しておくと安心ですね。

 猫は、人間でいうと2歳児相当の知能を持つと言われています。人間の子どもと同じように、猫も楽しいことには積極的になり、嫌な思いをしたことや傷ついたことはなかなか忘れないということを心に留めておきましょう。猫に楽しみながらトレーニングしてもらうためには、ご褒美のおやつは忘れずに用意すること、「お手」に成功したからと言ってすぐに爪切りなど、次のステップに進まないことが大切です。

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 また、猫は犬ほど集中力が続かないため、一度のトレーニングで芸を習得できるかどうかはその子の性格次第です。もし途中で飽きてしまっても無理強いすることなく、飼い主自身も楽しみながら、少しずつステップを進めていくことを心がけましょう。

 しつけはコミュニケーションを楽しむ気持ちで

「お手」がなかなか覚えられない子には、「猫が触れやすい位置に手を出してみる」など、アプローチを変えて試してみることも大切です。また、「手は出ないけれど鼻をくっつけてくる」という子は、「お手」ではなく「お鼻」をコミュニケーションにしてしまうのもひとつの手です。飼い主さん自身が、自分とその子にふさわしいコミュニケーションの一つとしてトレーニングを楽しむことで、愛猫との絆をより深めることができるでしょう。

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原田さつき
広告制作会社でコピーライターとして勤務したのち、フリーランスライターに。SEO記事や取材記事、コピーライティング案件など幅広く活動。動物好きの家庭で育ち、これまで2匹の犬、5匹の猫と暮らした。1児と保護猫の母。猫のための家を建てるのが夢。

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