【雑種犬図鑑.2】純粋で一途な元野犬 “クルエラ系”の柄が印象的な「鈴」
個性豊かな雑種犬の魅力を犬種図鑑のパロディで紹介する連載企画。第2回は、白黒の模様が印象的な「鈴(すず)」。人に関わらず山野で狩りなどをして自活してきた元野犬で、ビビリだけれど、他の犬や大好きな人には大喜びで寄っていく、ピュアな性格が魅力です。
【基礎データ】顔の左半分だけ黒。ダルメシアン柄の和犬
- DATA
- 《名前》鈴 すず
《年齢/性別》推定1歳/メス
《役割》カフェ&旅行付き添い犬
《サイズ》体高40cm・体⻑44cm・体重13kg
《特性》
見た目のインパクト・★★★
犬好き度・・・・・・★★★
暮らしやすさ・・・・★★☆
【チャームポイント】ひと目で覚えられる独特の模様
鈴のチャームポイントは、なんといっても独特の顔の模様。顔の左半分、耳と目の辺りに大きな黒のブチがあります。
「鈴のこの顔のおかげか、知らない人から覚えられていることがよくあるんです。近所のヤクルト販売店に行ったら、配達をしている販売員の女性から『いつも見てます』って言われたこともありましたね」と、飼い主の稲垣さん。
ダルメシアン?ポインター?形は日本犬
犬種などはまったく不明。白いボディに黒ブチの柄から「ダルメシアンっぽいね」とも言われるけれど、稲垣さん自身はポインターの血が入っているのではないかと考えています。獣医師の話では、頭の形などから「日本犬の特徴が強く出ている」とのこと。
カールしたまゆ毛とひげ
白いまゆ毛とひげをよく見ると、くるんときれいにカールしています。
ひとクセあるのが排泄姿勢
他の犬と比べても、なぜかウンチの姿勢は高め、オシッコの姿勢は低め。トイレポーズの段階では下がったままのシッポも、「本格的に出す間際に、ガレージの扉が開くようにドラマティックに最大限上がる仕組みになっています(笑)」と稲垣さん。
見た目が“クルエラ系”だけに、強気な女の子をイメージしていたという稲垣さんですが、実際の性格は……?
【性格】ビビリだけれど、嬉しいと喜び大爆発
元野犬だったこともあり、ビビリな性格という鈴。「家に来たときも、到着後すぐにビビって脱糞し、クレートから出てきませんでした」と稲垣さん。
家ではデレデレ甘えるようになった今でも、外はまだまだ怖いようす。車やコツコツと足音を立てる人には緊張して固まり、スケボーや工事現場の音、トラック、バスにはパニック寸前になります。
突然、子犬のようにはしゃぎ出す
人は少し怖いけれど、犬であれば誰とでも仲良くなりたい派。他の犬や、カフェでよく会う好きな人を見かけると、テンションをコントロールできず喜びを爆発させます。そんな鈴の姿も稲垣さんの好きなポイントだそうで、「ビビって固まっていたところから、急に喜びを爆発させるところのギャップが、まだまだ子犬っぽくてかわいいです」と話します。
生き延びることに一生懸命な元野犬の血を引くだけに、その必死さに惹かれると稲垣さん。そんな鈴が稲垣家に来た経緯とは……?
【生い立ち】茨城県で捕獲された元野犬
鈴は、2022年4月に茨城県の動物指導センターに捕獲されました。地元の動物愛護団体によってセンターから引き出され、その後、ボランティア団体「ペットライフサポートカンパニー保護犬部」に移籍して、プロのドッグトレーナー・上形元恵さんによる社会化トレーニングを受けました。稲垣さんも保護犬部に所属している縁で、鈴に出会います。
先住犬に似ていたことから、一時預かりボランティアに
「鈴の前に、上形さんから元野犬の『ナツメ』を迎えていて、ナツメと一緒に暮らしていた間、全面的にサポートしていただいていました。上形さんのインスタグラムで鈴の写真を見て、どことなく面影がナツメに似てるなと思っていたのですが、ある日上形さんの家に行ったとき、上形さんから『鈴を預かってみない?』と言われたのが、一緒に暮らすことになったきっかけです」
2021年8月にナツメを3歳の若さで亡くし、翌年4月に稲垣さんの母親が急逝、6月には父親も亡くなり、8月に17歳の雑種犬「ミュウ」を看取ったばかり。長く犬と一緒に暮らしてきた稲垣さんですが、立て続けに訪れた別れに胸を痛め、しばらく犬のいない生活を送ろうと思っていたため、当初は引き取ることは考えていなかったそう。
“羽毛布団にオシッコ事件”で引き取ることを決意
「鈴を預かり始めて2週間は、全然心を開いてくれなくて、こちらに近づきたそうなんだけど、居心地悪そうにしていました。2週間経ったとき、鈴が私のベッドの分厚い羽毛布団の上で、大量のオシッコをしたんです。そのとき、ネガティブな感情はまったく湧いてこなくて、なぜか『この子をうちの子にしたい』と強く思いました。人には託せないって。トレーナーさんに話すと、『そうなると思ってた』って言われましたね」
こうして稲垣家の愛犬になった鈴は、目覚ましい成長を見せます。
【暮らし】家では甘えん坊。友人とカフェや旅行にも行けるように!
鈴が稲垣家に来てまだ4カ月ですが、その間にも稲垣さんは鈴の大きな変化を実感しています。
ドッグカフェが人慣れの練習に
預かりをはじめて4日目に鈴とドッグカフェに行き始めたところ、人は苦手だけれど犬を連れている人は平気なことが発覚。特に2~3回会った人には慣れていき、カフェのオーナーや常連など、好きな人にはシッポをブンブン振って自分から寄っていくようになりました。
鈴も徐々に心を開き、稲垣さんに甘えてくるようになります。
お出かけを通して絆を深めたい
そして、2カ月目になる昨年10月には、行きつけのドッグカフェのオーナーとその愛犬たちと一緒に、那須での1泊旅行へ。
「広いドッグランに行ったとき、最初はこんな広いところでリードを外して、捕まえられなかったらどうしようと不安だったんですが、呼んだらちゃんと戻ってきてくれて。信頼関係ができつつあるのを実感しました。鈴とは、一緒にいろんな山を越えることで、絆が深まっていくと感じています」
今後、鈴とはたくさん旅行をしたいと話します。
先代のナツメを迎えるまで、現代の日本に野犬が存在することさえ知らなかったという稲垣さん。野犬は怖い、懐かないといった印象がありますが、むしろ一緒に暮らしやすい部分もあるそうです。
「野犬は真っ先に殺処分の対象になることが多いけれど、敵や人間に見つからないよう吠えないし、人の手からオヤツを食べるのも上手。大好きな人にはシッポを振って寄っていきます。私自身、ナツメや鈴を通して知った元野犬の魅力を、他の人たちにももっと知ってもらえたらと思います」
(次回は2月24日公開予定です)
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