沖さんの猫写真とオノマトぺが一冊に 「一番のお気に入りの言葉は『やっさもっさ』」
『必死すぎるネコ』シリーズなど大人気の猫写真家、沖昌之さんの新作『ぎおんご ぎたいご にゃんこ』(青春出版社)が7月に発売されました。222点を超える猫の喜怒哀楽の表情を捉えた写真とともに、擬音語や擬態語が載る「ねこ辞典」はどう生まれたのでしょうか。著者の沖さんと、担当編集者に、制作の裏話や本の楽しみ方を聞きました。
可愛いもの同士が融合した世界
今回の本は、身近な音や声を言葉で表す擬音語(「ごろごろ」や「にゃーにゃー」など)と、物事の状態を表す擬態語(「もふもふ」「てくてく」「ぴたっ」など)の総称オノマトぺと呼ばれる言葉と、沖さんの猫写真を合わせた内容。文庫本サイズの小さなハードカバーの本です。
編集を担当した青春出版社の石井智秋さんが、この本が生まれたいきさつについて説明します。
「2年前に『あいうえおパンダ』という同じサイズの写真集を弊社から刊行していて、サイズ感も含めて読者からご好評をいただきました。その流れで生まれた企画です。沖さんが撮影された猫写真と、かわいい響きの擬音語・擬態語を組み合わせて、“かわいいもの同士が融合した世界”を一冊にできればと考えました。多数の猫写真集が並ぶ書店で読者の印象に残る本、『これは欲しい!』『手元に置きたい!』と思ってもらえるような本を作りたかったのです」
500個くらいの写真と言葉の組み合わせ例から、「どの組み合わせが、よりしっくりくるか」を考える「セレクト会議」を経て、250個まで厳選。沖さんはこの会議が「面白かった」と言います。
「写真を見て、僕がツッコミのように瞬発的に言葉に発しながら擬音語や擬態語を当てはめてみるという遊びを勝手にしてみたら、意外と楽しくて。スルッと簡単に生まれた時は爽快!でも苦しみながら当てはめてみたものもある(笑)。小さなサイズのハードカバーというお話は今までなかったので、(話を聞いた時から)作ってみたいなぁとワクワクしました」(沖さん)
「やっさもっさ」にみんなが盛り上がる
制作には1年以上要したそうですが、ある言葉に出会い、編集者も沖さんも盛り上がったといいます。
「本に載せる言葉はできるだけ五十音を網羅したいと思いましたが、「は行」(ぱかっ、ばしっ、ばしゃばしゃ、など)は多いのに、「や行」は少ないなど、全体的なばらつきが課題でした。セレクト会議中に『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)などの参考文献をめくりながら『やっさもっさ』という言葉を見つけ、その場にいた全員が初耳の言葉でしたが、写真を当てはめるとしっくりきて、盛り上がったのを覚えています」(石井さん)
この、「やっさもっさ」は、沖さんも「知らなかった言葉で、勉強になった」と一番のお気に入りなのだとか。
用例も凝っていて、「あんぐり」という擬態語には、「浮気現場を見た猫。ショックであんぐりと口をあけた」というユニークな用例が載っています。
沖さんはこの本について、「本を開いて写真だけ眺めるとか、文章もじっくり読んでみるとか、自由に気軽に好きなように読んでいただきたいな。あと、ねこ好きのお子様への読み聞かせにもいいと思います」と話しています。
猫写真家として8年、すでに40万~50万枚の猫を撮ってきた沖さんに、「猫への思い」を尋ねると、こう即答されました。
「猫は変わらず可愛い!」
猫と日本語、両方の面白さと奥深さを堪能できる、味わい深い一冊です。
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